成長ホルモン入り牛乳が巨乳をもたらした! 4月15日

近年、米国のティーンエイジャーのバストが、異常に巨大化している。それは、成長ホルモン入りの牛乳の影響だとする認識が、米国でも徐々に浸透し始めている。その成長ホルモンとは、牛ソマトトロピン(rBST:米国での商品名ポジラック)という物質だ。rBSTは、泌乳量を増加させる目的で搾乳牛に投与される。rBSTは、牛が乳を出すときに分泌するホルモンから人工的に分離した遺伝子でつくられる成長ホルモンで、牛に注射すると、4倍量の乳が出るといわれている。

米国も日本と同様、牛乳の生産者価格はここ数年安値のまま。rBSTを投与して、1頭あたりの搾乳量を増やすしかなく、米国の乳牛の30%以上がrBSTを投与されていると言われている。乳業者は、人気アイドルを起用し「Got Milk?(牛乳飲んだ?)」という大々的なキャンペーンをはり、子どもたちに成長ホルモン入りの牛乳を、半ば強制的に飲ませてきたのだ。そしてそれこそが、女子の乳房がホルスタインのように巨大化した原因だと言われているのだ。

rBSTを投与された牛の中には、異常に膨れ上がった乳房をズルズル引きずりながら歩くものもいるという。そこまでいくと、奇形と区別がつかないではないか。更に、女性ホルモン「エストラジオール」が、乳がんの誘発因子であることと同様に、rBSTの大量投与も、乳がんの発生のリスクを高めている可能性が高い。米食品医薬品局FDAは、「rBSTは人体に一切影響はない」との公式見解を発表しているが、米国富裕層は、牛肉同様にホルモン不使用のオーガニック牛乳を選んでいるという。

一方我が国では、使用申請がこれまで一度も挙がったことがないために、牛ソマトトロピン(rBST)が承認された経緯はなく、国内の乳牛に投与されたデータはない。しかし、承認されていないということは残留基準がないことを意味し、米国から輸入される牛乳にrBSTが使用されていたとしても、まったくチェックのしようがないというのが実情なのだ。食品添加物に関するFAO/WHO合同専門家委員会は、rBSTは消費者に無害であると一旦は報告しているが、EUは、1990年来、正式にrBSTを使用禁止とし、rBSTが残留する米国産牛乳をシャットアウトしている。もっとも、EUの場合、域内酪農家の保護の観点が強く、建前では「rBSTは牛に乳房炎や四肢障害をもたらすため、動物の健康・愛護のために禁止する」とは言うものの、実際には貿易調整の意味合いが強いのだ。

rBSTにかかわらず、日本ではエストラジオールなど天然型のホルモンに関する使用規制はない。米国では天然型3種類(エストラジオール・プロゲステロン・テストステロン)合成型3種類(ゼラノール・トレンボロンアセテート・メレンゲステロール)合計6種類の成長ホルモンの使用が認められており、これまで天然型成長ホルモンは、税関でノーチェックだったわけである。EUでは成長ホルモンの一切の使用を禁止しており、1989年からは成長ホルモンを投与した牛から生まれた牛の肉の輸入についても禁止したために、とうとうWTOまで巻き込む貿易戦争となった。結局、衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)違反との裁決が下されたが、その後もEUは、健康被害の恐れがあるとして禁輸措置を継続している。

徹底的にリスクを排除しようとするEUの姿勢には、人間と併せて動物の健康をも勘案した、持続可能な社会への配慮がうかがえる。自然の摂理に満足せず、成長ホルモンを投与して人工的に乳量を増やす米国の酪農は、工業主義で、人体や牛への影響を無視した酪農家の傲慢なビジネスでしかない。

欧米の1/6~1/5でしかなかった日本女性の乳ガン発生率が、近年急増している。1996年には、女性が罹患するガンの第1位が乳ガンとなり、2005年の罹患者数41,500人に対し、なんと2004年の死亡者数は10,542人にものぼる。日本女性にとって、乳ガンが重大な疾病となった今日、日本政府は、やっと今年5月29日に、天然型の成長ホルモンへの残留基準を設ける措置を講ずる。国内で承認されていない農薬については、残留基準もなく、まったくノーチェックで流通していた現状を改善するために、承認されていない物質について0.01というゼロに近い残留基準値を設定し、基準を上回る食品の流通を阻止する狙いで定められる「ポジティブリスト制度」の一環で、天然型成長ホルモンについても基準値が設けられることになるのだ。

食品安全委員会が「ポジティブリスト制度」の審議を始めて以来3年もの月日を費やし、やっと来月この制度はスタートする。審議委員は、会議に出席する度に3万円の報酬を得る。食品安全委員会常勤委員については、なんと年収2,000万円とささやかれている。そんな人たちが米国産牛肉輸入再開のお先棒をかついでいたのだ。この国の食品安全行政はいったいどうなっているのだろうかと、疑問を抱くのは私だけではないはずだ。食品関係業者の利益確保が目的なのか、「食の安全」を実現することが目的なのか、さっぱりわからないのが日本の食品安全委員会の実態なのだ。

牛ソマトトロピン入りの牛乳を飲まされた結果、乳房がホルスタインのように巨大化した米国女性の実態は、他山の石ではない。BSE問題で判明したように、米国畜産業界の飼料規制はあまりにも杜撰だ。米国の言いなりになり米国産牛肉や乳製品を日本が再輸入することになれば、間違いなく日本人の健康は阻害される。日本は主権国家として、世界の公衆衛生のためにも、断固として米国の食品衛生管理の質の向上に寄与する必要がある。そのためにも、まずは日本国内の衛生管理システムの徹底構築が急がれる。

昨日の内閣委員会での川内博史議員に対する食品安全委員会の見上氏の答弁で、食品安全委員会は、BSEが発生した米国から、牛肉の輸入を再開するために活動していた委員会であったことが露呈した。「食品安全」の名のもとに国民を欺くことが目的の委員会なら、即刻解散したほうがマシだ。何よりも、私たち消費者が食の安全に関心を高めていくことが必要だ。見て見ぬふりをするのをやめ、鋭い眼差しで食品の裏側に潜む様々な利権に目を凝らすことが重要だ。日々口にする食材について、私たちが「健康を阻害する食品は受け付けない」という強い姿勢で臨むことが、国を動かす原動力になるのだ。
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