成長ホルモンとウシ「危険な米国産ウシ」 3月17日

新谷弘実著「病気にならない生き方」という本では、牛乳などの乳製品が完全否定されている。毎日、愛飲していた私にとっても衝撃は大きかったが、真っ先に危惧されるのが学校給食ではないだろうか。生乳に含まれている脂肪の塊は、そのまま放置するとクリームの層になって浮上し膜をはるため、ホモゲナイザーという攪拌機を使って脂肪の塊を細かく砕く。その際、生乳の中に含まれている乳脂肪が酸素と結合し、錆びた脂である過酸化脂質に変化して、ガンや高血圧・心臓病の原因になるのだ。

搾乳直後の生乳は、抗酸化作用・抗炎症作用・抗ウイルス作用・免疫調節作用などで知られるラクトフェリンなどの体に良い成分を含んでいるが、雑菌の繁殖を防ぐために行われる加熱処理の段階で、それらは完全に失われてしまう。日本の加熱処理の主流は「超高温短時間殺菌法」で、120~130度で2秒間(または150度で1秒間)加熱する。ラクトフェリンなどの成分は、熱に弱く48度から破壊をはじめ115度で完全に破壊されてしまう。62度~65度30分加熱という低温殺菌法を行っても、ラクトフェリンなどの破壊を抑えることはできないのだ。

アトピー性皮膚炎や小児喘息が、牛乳など乳製品の摂取を止めたらピタッと治ることからも、いかに牛乳が人体にとって「毒」であるかがわかる。近年、花粉症などアレルギー症状を訴える患者が急増したのは、1960年代から始められた学校給食の牛乳が原因だと新谷医師は分析する。過酸化脂質を多く含む牛乳は、腸内細菌のバランスを崩し、腸内に活性酸素・硫化水素・アンモニアなどの毒素を発生させる。牛乳が、小児の白血病や糖尿病の原因になっていることをうかがわせる論文は、幾つもあるそうだ。

担当した患者のガンを二度と再発させない新谷医師は、患者に、乳製品と同時に脂肪やコレステロールを大量に含む肉類も出来る限り摂取しないよう指導する。肉類には、ライオンやトラに見られるように瞬発力と、確かに子どもの成長を速める作用とがある。しかしライオンやトラは、発達した筋肉がもたらす草食動物の持久力には叶わないし、成長促進は人間の老化を早めることと表裏一体なのだ。

新谷医師の主張を聞くだけでも、牛乳や肉類を摂取する気分にはならなくなるが、その上、BSE感染の恐怖と比肩するくらい重大なリスクが、実は米国産ウシには隠されている。成長ホルモンの問題だ。米国食肉輸出連合会が公式に発表しているように、米国産ウシには法律で認められた6種類の成長ホルモンを投与することが許されている。飼料効率を上げるために、殆どの米国産ウシに、成長ホルモンは投与されている。これらの成長ホルモンが牛乳や牛肉に残存し人体に蓄積されたら、女性ホルモンであれば女性化が、男性ホルモンであれば男性化が起こり、ガンをはじめ様々な病気を惹起する要因になるのだ。

1996年米国で、遺伝子組み換え微生物によって量産されたrBG(rconbinant Bovine Growth Hormone)という成長ホルモンを投与したウシの牛乳を飲んだ人に、乳ガンや大腸ガンを発症しやすいという研究論文が発表されている。rBGHは米モンサント社が製造し、遺伝子組み換え成長ホルモンとして米国で唯一認められたもので、全米15%の畜産農家が使用し、全米ウシの約30%が月2回のrBGH投与を受けている。

しかし、驚くべきことは、発ガン性が認められながらも、1993年、FDAがrBGHの使用を正式に認可している点だ。FDAは同時に、rBGHを使用したミルクか使用していないミルクかを見分けるための表示を、なんと、禁止する法律もつくっている。消費者の選択の権利を、完全に奪ってしまったのだ。

モンサント社の暴挙は、まだまだ続く。rBGHを使用したミルクのカナダでの流通を企てた同社が、カナダ政府に提出した申請書類の中には、動物実験で雄のラットに甲状腺腫が発生し、血中に発ガン物質であるIGF-1が活性を持って存在したと明記しているのだ。当然、カナダ政府は、このミルクの輸入を禁止する結論を出したが、FDAは、米国内での流通を許可している。とりもなおさず、モンサント社とFDAとの癒着が、その根底には存在する。最大の問題点は、現状では、米国から日本に輸入されている乳製品に、rBGH処方に由来する活性型IGF-1が混入していても、まったくなす術がないという点だ。勿論、罰則規定もない。

1999年スイス政府は、使用が禁止されているはずの2種類の成長ホルモンを、米国から輸入した牛肉から検出している。うち一つの、合成女性ホルモン「ジエチルスティルベストロール(DES)」は、投与すると肉質が柔らかくなり牛乳の出が良くなるため、1954年以来米国で使用されてきたものだが、DESを服用した女性患者から生まれた子どもが、思春期になると膣ガンや他のガンを発症しやすいことが判明し、1979年、米国でも家畜への使用を禁止していた。

スイスはもとより、EUは、成長ホルモンを使用した牛肉の輸入を全面的に禁止している。FDAにより禁止されていたにもかかわらず、DESが米国畜産農家によって使用されていた実態を踏まえると、日本政府は早急に、成長ホルモンを使用した牛肉の規制にも、EUなみに乗り出さなければならない。BSE対策のみならず、発ガン作用を有する成長ホルモンについても有害性を正確に認識して、米国産牛肉の輸入再開の是非を検討していかなければならないのだ。

仮に成長ホルモンが残留していたら、ウシ血清やゼラチンなどを原料とする医薬品にも影響がある。事態は深刻だ。これ以上の厚労省や農水省の不作為は許されない。いつまでも成長ホルモンの使用を許す米国産ウシには、世界の公衆衛生の観点からも厳しい評価を下すべきだ。

ホモゲナイズされ過酸化脂質を大量に含んだ牛乳には、発ガン性を有する成長ホルモンが残存している可能性も含まれている。先行するEUの対応策を見習って、被害が出る前に成長ホルモンへの備えも講じる必要がある。日本政府は、牛乳や牛肉に対する認識を抜本的に見直して、国民に正しい指針を示すべきだ。牛乳は、飲めば飲むほど毒ではないのか。このまま学校給食に取り入れ続けても良いのか。牛肉も、食べれば食べるほど人体を蝕んでいくのではないのか。国家の責任として、国は正しい「食の安全」政策を構築し、国民の健康をしっかりと守り抜いていかなければならないのだ。
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