スマトラ沖地震 12月28日

スマトラ沖地震は、空前の被害をもたらしている。世界の一大事だ。インド洋の島々に暮らす人々が、「津波」に対する認識がほとんど皆無であったことが被害を拡大した要因のようだ。しかし、「津波」を知らないなんて、地震大国・日本に暮らす私たちからは、到底想像できない事態だ。サザンの曲も、中国・台湾までは浸透していても、インド洋までは届いていなかったのか。

それにしても、世界各地から観光客が訪れるリゾート地でのエマージェンシー対応の脆弱さには、改めて驚かされる。モルジブなどは、むしろ高級リゾートの範疇だ。しかし、水上コテージは見るも無残に崩壊し、為す術も無く多くの観光客が津波にのみ込まれている。津波に対する認識がまったくなかったことの責任を、被災地域の国家に対して、果たして追及できるのだろうか?あくまでも震災であって、人災ではないということになるのだろうか。

ASEANは、日本が最も多くのODAを拠出している地域だ。ASEAN地域の発展のために、ODAは有効活用されていると信じているが、これからは、まずは、地震・津波・火災などのエマージェンシーに対する最低限の知識と訓練の浸透が必要だ。避難の術を知らないのでは、どうしようもない。

今回の被災者の中には、意外と名前を公表されたくない観光客が存在する。所謂、お忍びの旅なのだろう。特に、旅行会社のパックツアーを利用せず、ダイレクトに交渉して現地入りしている観光客の安否確認は、容易ではないだろう。ついに、海上自衛隊の艦船とヘリもプーケットへ向けて出動した。外務省は31億円の資金援助を決定した。我が国は、各国の要請に対して、最大限応えていくべきだ。そして、二度とこのような惨劇が起こらぬよう、地震経験の豊富な国として、これまでの経験と知り得るすべての情報の提供に努め、環太平洋・インド洋ベルト地帯をはじめ七つの海が一体となって、エマージェンシー対策を共有する環境整備を構築していく必要がある。

今回の津波の高さは、10mの地点もあれば、ほんの2,3mで甚大な被害が発生した地域もある。我々先進諸国が排出する地球温暖化ガスによって、海面が上昇し、南太平洋からインド洋にかけての島々の海抜が、年々削られているという事実から、私たちは目を背けることは出来ない。現にツバルは国家を挙げての移住を余儀なくされている。何がどうあろうとも、地球は1つ。代わりはないのだ。宇宙船地球号の乗組員である私たちは、21世紀は、地球環境に優しい生き方を選択するほかないのだ。

2004年の年の瀬を迎え、このような一大事が地球を襲った真の意味を、我々人間は、真剣に考えていかなければならない。支援金31億円も、ムダなダムや空港の建設を見直せば、直ちに回収できる金額だ。イラクでの流血が、いかに無意味なものであるかを、あらためて痛感させられた今回の大地震だった。
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