新たな病ビジネス:まやかし「メタボ健診」

お腹のまわり、気になりますよね。ビールや脂っこいものを控えなきゃ、そう思っている中高年の皆さん、流行の「メタボ健診」にだまされないでくださいね。動物性脂肪とコレステロールの多い卵などの摂取を減らし、リノール酸の多い植物油を増やすと、血清コレステロール値は下がり、動脈硬化や心疾患を予防できるという「コレステロール仮説」が、欧米の研究者の間では、もはや過去の神話になってきているのです。

例えば、長期追跡の結果、卵を1日に1~3個食べる人よりも4個食べる人のほうが、コレステロール値が低いことが、2000年米国で報告されています。体内にあるコレステロールは、3割を食物から、残りの7割は体内で合成されますが、コレステロールを多く摂取すると、体内でコレステロールの合成を抑える機能が働くのです。

また、短期間では、紅花油を使用したほうがバターを使用した場合よりもコレステロール値は下がりましたが、米国で大規模に行われた数年にわたる追跡調査の結果、紅花油(リノール酸)であろうがバターであろうが、コレステロール値に大差がないことが判明しました。また、「リノール酸」を積極的に摂取するよう栄養指導を受けた群ほど、心疾患のリスクが高いことがわかり、更に、コレステロール値が高いほうが、心臓病の罹患率が低いことも判明しました。

今では、リノール酸(ω6)を減らしα‐リノレン酸(ω3)を増やして、ω6/ω3の比率を低くすることが、心疾患の予防につながることがわかっています。すなわち、コレステロール値と心臓病とは、まったく関係ないということです。むしろ、コレステロール値の高い人のほうが、心臓病はもとよりガン罹患率も総死亡率も低く、長生きすることが、欧米で認められるようになりました。総コレステロール値に高い相関関係のある悪玉コレステロール(LDL)を、「悪玉」と呼ぶ理由がなくなったのです。バブルの頃から盛んに行われてきた、薬剤によりコレステロール値を下げようとする「コレステロール医療」は、もはや過去の神話と化しているのです。

金城学院大学薬学部・予防薬食学・「脂質栄養」オープンリサーチセンター奥山治美教授は、摂取油脂のω6/ω3比(n‐6/n‐3比)を低く保ち、有害因子を含む食用油の摂取を減らすことが、動脈硬化、癌、アレルギー症、精神神経症を予防する有効な手段であると明言しています。このように、国内外での長期追跡調査の結果、コレステロール医療が神話化しつつあるのに、厚労省は、これらの研究発表を無視して、なんと本年、「メタボ健診」の義務づけという強硬手段に打って出たのです。

2008年4月から健康保険組合などに義務づけられた特定健康診査いわゆる「メタボ健診」は、検査が重複する人や既に加療中の人を除き、40歳から74歳までのすべての人を対象とし、ウエストサイズの基準値を設けたことで注目を集めたことからもわかるように、内臓脂肪すなわちコレステロールに重きを置いた健診です。2008年9月14日の読売新聞朝刊では、体内でのコレステロールの合成を抑制する「HMG-CoA還元酵素阻害薬」(~日本でも多くの人が飲まされています。リピトール・リバロ・リポバス・セルタ・メバロチン・ローコール・クレストールetc思い当たる人は多いのでは?)を、ノーベル賞級の薬と大絶賛し、メタボ健診の普及によりこれらの薬剤の使用が更に広がると示唆しています。記事は、当該薬剤は、LDL値を25~35%下げる。LDL値を40下げると冠動脈疾患による死亡率が19%減ると、医学誌ランセットからも引用しています。

メタボ健診には、当然コストがかかります。国・市町村・健保組合が1:1:1の割合で負担することが決まっていますが、何故か国は、総費用の予測をあえて隠し、市町村にも試算する必要はないとし、必要なら交付金を国に要求するよう進言しています。意味不明です。メタボ健診の項目である中性脂肪やコレステロール・血糖値・肝機能を調べるには、血液検査が必要です。医師の判断で、心電図・眼底検査・貧血の検査が実施されれば、更に費用は嵩みます。厚生労働省は、メタボ健診のコレステロールの測定に、LDL値を採用しています。しかし、これは先に述べたように、奥山治美先生らの研究結果と相矛盾します。すなわち、厚労省は、LDL値が高い方が、むしろ心疾患リスクが低いとされる最新の報告を無視し、LDL値に固執し、結果的に先に商品名をあげた薬剤の使用を促進しようとしているのです。そうです、言うまでもありません。メタボ健診は厚労省とその天下り先である製薬会社、更に健診を請け負う開業医との癒着が生んだ、新しい「病ビジネス」なのです。

嘘で塗り固められたメタボ健診の大義名分のもと、医療費は更に膨むことが確実です。メタボ健診によって、新たに病気がつくられるからです。内臓脂肪の蓄積を判断するために、男性85cm女性90cmのウエストサイズの基準値が設けられているのですが、内臓脂肪の蓄積は、男性85cm女性90cmという一律の基準で、推し量れるものなのでしょうか?それこそ身長も体型も人それぞれなのに、笑うしかありません。更に言えば、やせ過ぎも代謝異常すなわちメタボリックシンドロームの1つです。しかし、メタボ健診は、太りすぎだけを対象とし、やせ過ぎを無視しています。いかに、厚労省の建前がまやかしであるかが、よくわかります。

少年の異常行動とタミフルの服用との因果関係を主張する浜六郎医師の言葉を借りると、メタボ健診は、仕掛け人にとって、「こたえられない病ビジネス」です。40歳~74歳の2/3の3,600万人が受診勧奨者となり、初診料と生活習慣管理費だけで年間5~6兆円の医療費が試算されています。降圧剤だけでも2兆円増、先のコレステロールの薬は1兆円増と見込まれています。厚労省は、いったい何を考えているのでしょうか?タガがはずれきった厚労省は、まさに日本のガンとしか言いようがありません。

メタボ健診を拒否したからといって、国民にペナルティはありません。病気街道まっしぐらの道を選ぶのか、暴飲暴食をやめ適度な運動を継続する自主自立の道を選ぶのか、選択権は国民にあるのです。一人一人の、賢い選択を期待します。しかし、一見悪事に見えないメタボ健診は、多くの国民を惑わすでしょう。後期高齢者医療制度も、厚労省の筋の通らない横暴でした。厚労省のやることに、ろくなことはありません。厚労省ひとつとってみても、霞ヶ関の解体は急務です。何が何でも来るべき総選挙では、民主党が政権をとり、しがらみのない立場で、霞ヶ関にメスを入れなければならないのです。リーマンやメレルリンチは、「つぶれちゃったあ!?」で済むけれど(すまないけれど)、厚労省の横暴によって日本の医療が崩壊し、日本という国家の財政が破綻してしまったら、私たち国民は、いったいどうなってしまうのでしょうか・・・・・。
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