〈検証Ⅰ〉「1/7付『韓国における口蹄疫の発生について』農水省動物衛生課長通知」は周知徹底されたのか

1月7日付の「韓国における口蹄疫の発生について」との農水省動物衛生課長通知を受けて、一部の県ではホームページ上でも地元農家に対して注意喚起を行っていますが、宮崎県ではホームページで情報提供・注意喚起を行った形跡はありません。1月7日の農水省通知が宮崎県でも徹底されていたなら、感染の拡大を防ぐことが出来たのではないかと今更ながらに強く思います。

4月9日、児湯郡都農町の農家で、口内がただれた牛が見つかりました。宮崎県は獣医師を派遣しましたが、症状が軽く他に症状のある牛もいなかったという理由で「経過観察」とし口蹄疫の検査を行いませんでした。二週間後の4月23日、あらためて東京の独法・動物衛生研究所に検体を送り、この牛は口蹄疫陽性と判定されました。

また、それ以前の3月31日、都農町の別の農家の水牛に風邪のような症状がありました。農家がかかりつけの獣医師を通じて宮崎県家畜保健衛生所に、「水牛が発熱している。牛乳の出も悪い」と連絡したところ、その日のうちに同衛生所の家畜防疫員(獣医師)が立ち入り検査を実施しましたが、4頭の水牛に発熱・下痢等の症状を確認するも「普段の下痢」と判断して通常の風邪の検査だけを行うにすぎませんでした。このとき採取した検体が保存されていたので、あらためて検査を行った4月23日、この水牛は口蹄疫陽性と判定されました。

この2例に対する県の対応は、国が定める「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」に明らかに違反しています。同指針では、確実な診断が得られるまでは農場を閉鎖し防疫関係者以外の立ち入りを禁止しなければならず、その場で口蹄疫が否定できない場合には家畜保健衛生所は都道府県畜産主務課に連絡するとともに、家畜防疫員(獣医師)は独法・動物衛生研究所に検体を搬送し検査を受けなければならないとしています。

宮崎県は1月7日の農水省通知をきちんと踏まえ、上記二例の場合も直ちに口蹄疫を疑い、「指針」に則った対処をしなければなりませんでした。指針に則り対処していれば、4月12日・13日、安愚楽が川南の牧場からえびのの預託牧場に牛を移動・出荷することも、防ぐことができたはずです。口蹄疫を否定できる根拠がない限り、農家は農場を閉鎖し口蹄疫の検査を受けなければならず、この指針通りに動いていれば、宮崎県がこれほどまでの口蹄疫パンデミックに陥ることはなかったのではないかと思います。

1月7日の農水省通知を、何故すべての都道府県が周知徹底できなかったのか。農水省は周知徹底を確認したのか。何故、口蹄疫類似症状を前に、指針に則った対応を宮崎県はとることができなかったのか。その検証は、今後のリスクコントロールの在り方を考える上でも非常に重要です。

→「1月7日農水省動物衛生課長通知」はこちら

→「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」はこちら

(訂正)この文章の8行目「4月23日」を「4月19日」に訂正します。6月20日付〈検証Ⅲ〉では「4月19日」と記していますが、このたび東国原英夫知事のブログで指摘を受けましたので、あらためて訂正させていただきます。(6月22日23:16)

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