
出版社/著者からの内容紹介
大正年間、身分違いの恋から故郷を追われたマタギの青年、松橋富治の波乱の人生を描く。自然に対する畏敬の念あふれる雄大な物語
内容(「BOOK」データベースより)
「家に帰って、妻の手を握りたい」熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。俊英がおくる感動の物語。
http://www.amazon.co.jp/%E9%82%82%E9%80%85%E3%81%AE%E6%A3%AE-%E7%86%8A%E8%B0%B7-%E9%81%94%E4%B9%9F/dp/4163225706

「最初とまどった。時間が逆戻りしたような古めかしさを持っている。」「活字を追うにつれ強引に物語の世界に連れ込まれた。」「洗練された初恋の女性の描き方は感心しないが、遊女上がりの女房が魅力的だ。この小説は、素朴な人間ほどリアリティがある。」林真理子(選評出典:『小説新潮』平成16年/2004年7月号)
http://homepage1.nifty.com/naokiaward/jugun/jugun131KT.htm

男の中の男という感じのマタギを描いている。すべてが強烈だ。地主の娘に夜這いをかけて密会を重ねて孕ませ、村を追われる。全くの未経験の鉱山に送り込まれるが、やっとひとり前になった頃には、産まれ育った村からさらに離れた鉱山に移される。
繰り返し出てくる性愛表現、鉱山での男色、幼くして身売りされ娼妓として逞しく生き抜く女、また純愛。それらをベースに山の神に畏敬の念を払いながらマタギに生涯を捧げる富治、単純素朴な行き方の中に筋を通していく姿に魅力を感じた。ショッキングが何回も出てきた(笑)。
著者の熊谷達也氏は東京電機大学工学部数理学科卒業、中学校教員、保険代理店を経ている。最近手にした本の著者には理科系の人が多い。
マタギ(東北地方・北海道で古い方法を用いて集団で狩猟を行う狩猟者集団。一般にはクマ獲り猟師として知られるが獲物はクマだけではない。ウィキペディア)
先日訪れた飛騨の庄屋や、熊牧場が思い出されました。
マタギとは、集団で猟をするのですか?
今ではあまり聴かれない言葉ですね。
熊牧場の愛らしい熊たちに混じって、何倍もの大きさのヒグマにも出会ってきました。
あんな大きな熊に出会ったら、腰が抜けて動けなくなりそうです。
毎日が命がけの仕事をしている人と言うのは、思いこんだら
一筋にすすんでしまうのかもしれませんね。
この熊谷竜也という人を検索してみたら、この小説は
マタギ三部作の第二作目なんですね。
主人公の富治のマタギ見習いから、抜群の勘と才能で技や統率力を磨きあげていくさまが延々と書きおろされていますが、ヌシと呼ばれる伝説の熊との対決は、壮絶です。
ストリーの全体がここに凝縮されているのでしょう。
マタギ三部作なんですか!この作品で直木賞を受賞していますね。
この作品は圧巻です。