菅首相、「消費税」発言原因の支持率低下に敏感に反応した記者会見なのか(3)

2010-06-22 11:04:00 | Weblog

 
【質疑応答】――(記者発言では、「オー」、「アー」、「イー」・「エー」抜き。消費税に関する質疑応答のみ抜粋)

(記者)

 TBSの緒方です。総理は先ほど冒頭発言でも税制改革についてお触れになりましたけれども、次の衆院選後の消費税増税では、税率に関して、自民党が掲げた10%を一つの参考にするというふうにおっしゃいました。これは党の公約という認識でよろしいのでしょうか。

 また、この総理発言をめぐって、民主党内から参院選への影響を懸念することが出ておりますほか、国民新党の亀井代表が消費税増税の方針が正式に決まれば、連立離脱の自体もあるとしています。党内や国民新党の理解をどのように得ていくお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、あのー、私が申し上げたのは、エー、早期にこの問題についてですね、超党派で議論を始めたい。・・・その場合に、エ、参考にすべきこととして、自民党が、提案されている10%というものを、一つの参考にしたい。こう申し上げた、わけであります。そういった意味で、そのこと自体は、公約と受け止めていただいて結構ですが、それはあくまでこのマニフェストに、申し上げたように、こういう方向での議論を始めたい。そのことについて、エ、その努力は、当然のこととして、参議院の選挙後にはやってまいります。

 また同時に、エ、では、アー、それまで何もしないで、エー、いるのかということになれば、エー、先だっての記者会見でも申し上げましたように、ニセン、エー、2010年度内には、アー、この問題についての一つの、オー、考え方を、オー、民主党としても、まとめていきたい。

 ですから、何かあの、この選挙が終わったら、すぐ何か、あのー、すぐに消費税を引き上げるようなですね、そういう間違った、メッセージが、もし国民の皆さんに伝わっているとすれば、それは、全く間違いでありまして、まさに参議院選挙が終わった段階から、この問題を、本格的な、アー、形で議論をスタートさせたい。それを、ヲー、公約という言い方をされるなら、まさに公約とおとらえいただいても、結構であります。

 また、あのー、国民新党の、オー、中でいろいろな意見が出ていることは、アー、聞いておりますけれども、ま、選挙のマニュフェスト、オー、になると、エー、それぞれの党が、それぞれの独自性を、これまでも出してきた、わけでありまして、そういう点では、アー、今回の問題もですね、例えば夫婦別姓なども、ア、国民新党は、ア、反対だということを、明確にしておられますので、それは、選挙に於ける主張が、異なるということと、オー、ま、政権離脱ということは、私は若干の、オー、違いがあるのかなと、このように思っております。

(記者)

 産経新聞の船津といいます。先ほどから話になっている消費税の議論、我々からすると突然消費税という言葉が出てきたような感じがするんですけれども、そもそも総理、所信表明演説のときには消費税ということは言っておられなくて、国会を閉じた後のマニフェストの発表でいきなり消費税という言葉を出されて、国会論戦を避けたようなタイミングでの方針表明のように思えるんですけれども、この点いかがでしょう。

(菅総理)

 まず、昨年の12月の、税制大綱の中に、ま、当時、イー、税制調査会会長は藤井財務大臣でありましたが、その中にも消費税を検討するということは入っております。その後、私が財務大臣になり、税制調査会会長になった中では、エ、特に所得税、法人税、消費税についてもしっかり議論してほしいということで、専門家の、アー、皆さんを中心に議論を進めていただいてまいりました。

 エー、そして、エー、このマニフェストについては、まあ、自民党が出された時期と、そう、大きく違わないと思いますが、ぎりぎりの、オ、党内調整を、する中で、先程、オー、申し上げたような形の、表現をしたわけでありまして、決して、アー、消費税ということがですね、突然に出てきたとは、いうふうには、私はこの経緯を、踏まえても、思っておりません。まさにマニフェストに沿った中で、その扱いについて、私から申し上げたということであります。

(内閣広報官)

 それでは、外国プレスのディッキーさん、どうぞ。

(記者)

 フィナンシャルタイムズのミュア・ディッキーと申します。総理は、選挙のすぐ後、消費税が上がるということはないですが、一番早いのはいつごろ上がると思いますか。

 それと、世論調査には結構消費税が上がることに反対の有権者がいると見えますが、そういう反対の有権者のことは、どれぐらい心配でしょうか。よろしくお願いします。

(菅総理)
 
 ま、これは、アー、玄葉政調会長もですね、テレビ討論などで、エー、言っておられますように、イー、勿論超党派での、オー、協議というものがどうなるかということ。更には、アー、逆進性を緩和するためには、複数税率を入れようと思えばインボイスというものの準備が必要になります。還付という形を取ろうと思えば、エー、やはり番号の、導入が、必要になります。ま、番号などについても、オー、既に検討は開始しておりますけれども、それを、最終的に設計し、エー、実現するまでには、やはり、2年とか3年という、時間が必要に、一般的にはなりますので、それを考えればですね、余程早くても、どうなんでしょう、オー、余り私が、アー、日程を区切るのは、好ましくないかと思いますが、少なくとも、オー、これから、2年、3年、あるいはもう少しかかるのではないかと思っております。


(内閣広報官)

 予定の時刻が迫ってきております。手短にお願いしたいと思います。そちらの方で、五十嵐さん、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の五十嵐(女性記者)です。今、総理は元気な日本を復活させるというふうにおっしゃいましたけれども、例えば消費税を10%上げても、総理御自身が御指摘されたように、社会保障の穴埋めにしかならないで、成長戦略を進めるのはなかなか難しいのではないかという指摘があります。総理御自身としては、最終的に税率としては何%ぐらいまでを確保した方がより強くできるとお考えでしょうか。

 また、今度G20で財政再建と成長の両立を訴えるということですけれども、消費税上げについては国際公約として方向性をしっかり打ち出すお考えはおありでしょうか。

(菅総理)

 あのー、ま、消費税の議論の中でですね、エー、、私もこの場でも申し上げたんですが、その前提になっている現実というものを是非、国民の皆さんにも、御理解をいただきたいと思うんです。決して私は、増税がいい、消費税を引き上げることがいいと言って、いるんではないんです。そうではなくて、今は、税金ではなく、赤字国債、でもって、多くの社会保障、に関わる費用が賄われている。その結果、GDP比170、180%を超える、ウー、いわゆる債務残高が、累積しているわけです。

 この状態を、同じように、毎年、赤字国債、一部建設国債を含めてですね、発行していって、果たして持続可能性があるのか。あと100年持続できるということを、どなたか保証してくださるんであれば、それはそういう道筋もあるでしょう。しかし、もし持続できなかったときに何が起きるかというのは、これは、ギリシャの例を見ても、まず起きることは、アー、福祉の切り下げであり、場合によっては人員整理であり、あるいは、アー、給与の引き下げであるわけでありまして、そういう、ことにならないために、強い財政を復活するにはどうするかということを、申し上げているんです。

 ですから、何か、あのー、オー、新しいものをですね、その、オー、新たに、こう、どんどん、買うためにですね、といいますか、使うために、エー、こう、上げたいという、ウー、ように、もし、イー、誤解をいただいているとすれば、そうではなくて、現在、既に、例えば、予算総則、ウー、の例、例と言いましょうか、ことを出せば、もともと、消費税で、ま、高齢者に関わる福祉の費用は、賄うという、充当するということに、一応、なっているわけですが、実際にかかっている費用は17兆円かかっています。しかし、今の消費税で、国分で約7兆円。ですから、その差額の10兆円は、実質的には赤字国債で毎年それを埋めているわけですね。そういう形で、継続できないとしたら、どうするんですかということを申し上げて、いるわけです。

 ですから、そういう意味で、エー、まず、そうした認識を、共有できる皆さんと、しっかり議論を、したい。ま、その議論の一つの、オー、材料としてですね、自民党から提案されている、10%というものを一つの参考にしていこう。こういう考えです。

(内閣広報官)

 予定の時刻が迫っておりますが、最後の一問ということで受けたいと思います。どうぞ。

(記者)

 日本経済新聞の藤田です。今のお話に関連してですが、2011年度予算の新規の国債発行額について、先ほど総理は44.3兆円を超えないように全力を上げるとおっしゃいましたが、具体的に来年度予算をどのような方針で編成されるお考えなのか。

 それから、消費税の具体的な引き上げについては、今後2~3年をかけてとおっしゃいましたが、その前に国民に信を問うというお考えはあるのかどうか。それをお聞かせください。

(菅総理)

 来年度の、ま、予算について、ま、1つはですね、新成長戦略、・・・というものを。ヲー、汲み上げ、ましたから、これは単にウィッシュリスト的に扱うのではなく、ウー、どの分野に財政投入すれば、どういう、成長が、アー、見込めるか。エー、つまりは、最も成長という観点から効果の高いものをですね、エー、判断する。そういう基準として、エー、この成長戦略を、特に、エー、マクロ経済部分、については、位置づけたところであります。

 そういった意味ではですね、従来の予算編成がややもすれば、こういう、えー、まあ、ウー、力のある政治家が言っているからとか、こういう団体が言っているからとかですね、あるいは天下り先を、守るためとか、別の要素で財政配分が、ア、されていた面が相当程度あったと思いますが、エー、この次の予算、私の内閣ではですね、成長ということを一つの、大きな軸に置いて、勿論、他の部分が全くなくなるわけではありませんが、成長ということを大きな柱に置いて、予算編成に、当たりたいと思っております。

 えー、ま、基本的には大きな税制改革を、やるときには、やはりそういうものが、まとまった段階で、国民の皆さん、にですね、判断する機会を、ヲー、持ってもらうというのは、私は必要なことであろうと、こう思っております。

(内閣広報官)

 それでは、時間がまいりましたので、これをもちまして、記者会見を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

(菅総理)

 どうもありがとうございました。

 発言していることの殆んどはこの記者会見の冒頭で「新内閣のスタートと、通常国会の閉幕に当たって、エー、国民の皆さんに、エ、こういう形で、私の考え方を、お伝えする機会が得られたことを、大変うれしく思っております。」と言っているものの、代表立候補記者会見や総理大臣記者会見、所信表め演説、マニフェスト発表記者会見の発言のほぼ同じことの繰返しとなっている。

 自分が種を撒いた内閣支持率と党支持率の下落を自ら刈り取るための記者会見と見ると、撒いた種の訂正もしくは再確認を迫る箇所が存在することになる。

 マニフェスト発表記者会見では、消費税の逆進性に関しては、「ここに書かれたものをもう少し私の言葉で噛み砕いて言いますと、既に消費税について、政府税調の方で、議論を始め、始めていただいておりますけれども、今年度内、2010年度内に、そのあるべき税収や、あるいは逆進性対策、を含む、この消費費税に関する、改革案を、取りまとめていきたい、今年度中の、とりまとめを目指していきたい、と考えております」――

 あるいは「税率や逆進性対策を含む、改革案を取り纏めると同時に他党とも議論を呼びかける」と言っているのみで、複数税率や税の還付方式には直接触れていないが、この記者会見では、「消費税の持つ逆進性を改めるために複数税率、あるいは税の還付といった方式についても、併せてしっかりと、議論をしていきたい。このように、考えております」と初めて直接的に触れている点はまさしく訂正もしくは再確認を迫る箇所に当たる。

 また、消費税の法案提出時期に関してはマニフェスト記者会見で、「幅広い、合意が、得ることができれば、超党派で、法案を提出し、成立を目指していくことになります」と言ったことに対して、参院選で勝利したら、それを以て民意を得たとして法案を提出するのか、次の衆院選で信を問うのかと記者から具体的な日程を問われても、「基本的には大きな税制改革を行う場合は、予め実施する前に国民のみなさんに信を問うというか、その内容を判断をいただくいうことは本来あるべき道だと、こう思っております」と一般論・原則論で逃げて誤魔化したが、この記者会見では次のように言っている。、

 「消費税については、参議院の選挙が終わった中で本格的な議論をスタートさせたいと思っております」

 「何かこの選挙が終わったら、すぐ何かすぐに消費税を引き上げるようなですね、そういう間違ったメッセージがもし国民の皆さんに伝わっているとすれば、それは全く間違いでありまして、まさに参議院選挙が終わった段階から、この問題を本格的な形で議論をスタートさせたい。それを公約という言い方をされるなら、まさに公約とおとらえいただいても、結構であります」――

 要するに私が公約としていることは参院選後に消費税に関する本格的な議論をスタートさせることであり、参院選挙には関係ないことだとし、具体的年数としては、「最終的に設計し、実現するまでには、やはり2年とか3年という時間が必要に一般的にはなります」と言って、一般論・原則論で逃げていたことを訂正、やはり来月の参院選には一切関係ないことだとしている。

 こうみてくると、どうしても自身の「自民党税率10%参考」発言が撒いた支持率下落の種を自身で刈り取るための記者会見に思えて仕方がない。

 尤もここで訂正・再確認の例として出した発言はどちらも質疑に対する応答の中での発言だが、マニフェスト記者会見で受けた記者の質疑にほぼ重なっている。

 当然内閣支持率と民主党支持率を下落させた消費税発言だから、似た質問を受けることは十分に予測できたはずである。

 いわば予めこの手の質問を予測して冒頭発言の中では自分から発言せずに記者に言わせて受け答えする形式に持っていき、自らの「消費税」発言が招いた支持率低下に敏感に反応した記者会見だと悟られないように謀ったことは十分に疑うことができる。

 まあ、どうでもいいことだが、記者会見を「オープンにすることは非常にいいが、取材を受けることで政権運営が行き詰まるという状況も何となく感じている」と記者会見に強い警戒心を働かせていながら、そのことに反して自身の発言がどういう影響を与えるのか、他の政策とは比較にならない影響が生じることは誰もが承知している特に消費税に関する発言でありながら、それを見抜く先見性を欠いていたと言えることだけは確かである。

 前任者同様、あるいは自民党政権の歴代首相のように自身の発言に対する危機感能力を欠いていたと言い換えることもできる。



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