沖縄米軍ヘリ部品落下事故:小野寺五典の国民の1人2人の犠牲をも可とする米軍側に立った安全保障優先姿勢

2017-12-14 10:46:34 | 政治
 
 12月7日(2017年)に上空がアメリカ軍機の飛行ルートになっている沖縄県宜野湾市保育園で屋根に物が落ちる大きな音がしたため職員が確認したところ、長さ約20センチ、直径約7センチの「US」と記名のプラスチック製の筒状の物体が落下していたということだが、6日後の12月13日午前10時過ぎに沖縄アメリカ軍普天間基地隣接の普天間第二小学校グラウンドに縦横約90センチのヘリコプターの窓が落下した。

 保育園の場合は落下した建物隣の園庭で園児たちが遊んでいでいて、後者の小学校グラウンドでは落下地点から10メートル程離れた場所で4年生の児童約30人が体育の授業を受けていて、男子児童1人が落下による破片が飛んできて左手に軽いケガをしたという。

 保育園の落下物は米側は米軍の物ではないと否定している。

 2017年12月12日「小野寺五典記者会見」(防衛省) 

 保育園落下に関する箇所のみを取り上げる。

 記者「今月7日に沖縄県宜野湾市の保育園に落下した筒状の物体について(と、11月29日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて、それぞれ)新しい情報があればお願いいたします」

 小野寺五典「保育園への落下でありますが、本件のような事案の発生は保育園の関係者のみならず、地元の皆様に不安を与えるものであることから、政府としては、特に防衛省は、発生直後から沖縄防衛局長を中心に情報収集と地元対応をさせていただいているところであります。

 これまでに米側からは『今般の部品については、IBIS(アイビス)というCH-53Eヘリのブレードの損傷を検知するための装置の保護に用いるカバーであり、本件事案が発生した当日、今月7日、10時15分頃に普天間飛行場からCH-53Eヘリが1機離陸しているが、この機体に使用している7個のカバーは離陸前に全て取り外され、保管されていたことを確認した。

 また、普天間飛行場で運用されているCH-53EヘリのIBISのカバーは全数が適切に保管されていることも確認をした。引き続き日本側関係機関と連携し、事実関係の究明に協力する』という旨の説明がありました。この内容について、昨日、沖縄防衛局から沖縄県及び宜野湾市に情報提供したところであります」

 記者「沖縄の落下物の件ですが、米軍から報告があったということですが、防衛省としては、米軍のヘリからの落下物の可能性というのは否定できないと考えているのか、その受け止めについてどのように考えているのでしょうか」

 小野寺五典「米側からはIBISが全て保管されていることを確認したということであります。現在、米側と警察が対応をされているということであります。防衛省としては、現時点においてなんら結果を予断するものではないということであり、繰り返しになりますが、米軍及び警察の関係機関による調査の結果を待ちたいと思っております」

 記者「関連ですが、CH-53のヘリの飛行時間や飛行の位置というのは当該の音がした、落下した時間との関連性はどのようになっていますでしょうか

 小野寺五典「防衛省として、普天間飛行場の航空機に関してはモニターをしています。当然、どの時点でどの飛行機が飛んでいたかということは確認をしているのだと思いますが、これは、米側、そして調査に当たっている警察等にも連携して情報共有をしているものだと思います」

 小野寺五典は米側の説明をそのままオウム返しに記者たちに伝えるのみで、誰もが持つ疑問――記者が指摘した飛行ルート・飛行時間・落下時間との関連性と、CH-53EヘリのIBISのカバーの全数が適切に保管されていることとの整合性を米側に問い質すこともせず、また防衛省が普天間飛行場航空機の飛行をモニターしているなら、目視で解析不可能で何らかの解析が必要なら、12月7日に落下してから5日後の12日の記者会見だから、解析が間に合わないとうことはないはずで、解析した情報を伝えるべきを伝えもせず、防衛省は「米側と調査に当たっている警察と連携して情報共有をしているものだと思います」と他人事のこととする発言をしている。

 要するに小野寺五典は日米安全保障に於ける日本側の米軍に対する管理機関であると同時に国民の生命財産を与る政府の閣僚として防衛省の最高責任者を務めていながら、米軍側に立っていて、日本国民、あるいは沖縄住民の側に立っていない。すべてが米軍優先となっている。

 保育園は上空が米軍機の飛行ルートになっていて、職員が屋根に物が落ちる大きな音がした、いわば衝撃音を耳にして「US」名入りのプラスチック製の物体を確認している以上、米軍機と衝撃音と物体の一体性を否定することはできない。

 だが、米軍側は「CH-53EヘリのIBISのカバーの全数が適切に保管されている」としていて、ヘリからの落下物であることを否定している。

 矛盾したこの二つの否定に整合性を与えるとしたら、今年9月29日に新石垣空港にオスプレイ2機がエンジントラブルで緊急着陸し、10月11日に沖縄県東村の牧草地にヘリが不時着、炎上・大破しているヘリの運航にマイナスとなるこの立て続けの事故に続く2カ月しか経過していない、今後の運航へのマイナスを積み重ねかねないヘリ部品落下事故ということで情報隠蔽を謀ったと見ないわけにはいかない。見ることによって矛盾が解ける。

 保育園でも小学校のグラウンドでも部品の落下物が園児や小学生に直撃しなかったのは不幸中の幸いだと片付けることはできない。また部品の落下はヘリがエンジントラブルで墜落する重大事故とは異なると見ることはできない。もし片付けたり、見たりしたら、些細な事故だと重大視していないことになる。

 機体からの落下物にしても、機体の急激なエンジントラブルで直ちに制御不能となった墜落にしても、落下させる、もしくは墜落させる側も落下を受ける、もしくは墜落を受ける側も、落下・墜落の場所・時間は当たり前のことを言うことになるが、予測可能ではなくて、予測不可能と決まっている。

 落下・墜落の場所・時間のこの予測不可能性が、こうも様々に事故が頻発すると、それが結果的にケガや死亡を伴わないヘリや戦闘機からの部品の落下事故に過ぎなかったとしても、墜落が無人の場所を選んだ不時着で片付いたとしても、ヘリや戦闘機の飛行を上空に見ただけで、住民をして落下物や墜落の直撃を受ける不安に駆られたとしても、自然過ぎる心理であって、不安に駆られない方が不自然に過ぎることになる。

 特に子どもを持つ親としたら、子に対する事故の不安は大きいはずである。

 このような沖縄住民の極く当たり前の不安心理を何とも思わずに無視できるからこそ、小野寺五典は事故に関して米側の説明をそのままオウム返しに記者たちに伝えるだけの他人事のような米軍側に立った安全保障政策優先の姿勢を見せることができるのであって、不安心理無視のこの姿勢は否応もなしに国家安全保障の手前国民の1人や2人の命を犠牲にしてもいいという意味を取ることになる。

 安倍晋三の北朝鮮が軍事的・経済的に追いつめられたときの危険性としてある暴発によって、あるいはアメリカが北朝鮮を軍事攻撃した場合の北朝鮮の反撃によって日本人の犠牲が生じるケースを国家危機管理として想定しない北朝鮮圧力一辺倒政策と同様の小野寺五典の飛んだ国家主義である。

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