安倍晋三は対森友学園国有地売却の適切性判断は財務省・国交省報告から会計検査院報告に依拠変更せねばならない

2017-12-04 12:33:48 | 政治

 立憲民主党の長妻昭が11月27日(2017年)の衆院予算委員会で安倍晋三が国会で国有地対森友学園売却は「適切に」行われてきたと国会答弁を繰返して来たが、会計検査院の報告で適切でないことが分かった、国会や国民への謝罪はあるかと追及、安倍晋三から「財務省や国交省から適切に処理したとの報告を受けていて、そのような理解で申し上げたものだ」と、それが詭弁でしかないのだが、結局のところ、詭弁を放置したままで安倍晋三に逃げられることになった。

 安倍晋三のこの点に関する答弁が如何に詭弁なのか、長妻昭が如何に詭弁を放置し、安倍晋三に逃げられてしまったかを見てみることにする。

 2017年11月27日衆院予算委員会

 長妻昭「そして、総理ですね、午前中も縷々ありました。森友学園の問題。会計検査院から報告が出ました。我々の福山参議院幹事長が、当時参議院の予算院会で(会計検査院への調査を)提言をして全会一致で決まって、そして出てきたところでございます。

 総理はですね、森友問題、この積算について国会でもですね、ずうっと『適切』を繰り返して参りましたけども、この『適切』というのがですね、会計検査院の報告書で覆されたということでございます。

 これについて総理としてですね、そして国会や国民の皆さんへの謝罪等はあるんでございましょうか」

 安倍晋三「(原稿読み)今回の報告はですね、国会からの要請により独立した行政機関である会計検査院によって実施されたものであり、政府としてはその指摘については真摯に受け止めなければならないと思います。

 国有地は国民の共有の財産であり、その売却に当たっては国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。今般の会計検査院の報告、さらにこれまでの国会答弁の議論の中で厳しいご指摘があったことも踏まえて私としても国有財産の売却について業務の在り方を見直すことが必要と考えております。  

 えー、公共性の高い随意契約は売却価格など全て公表することなどの手続きの明確化を図ること、売却価格の客観性を確保するため財務省が提示した特殊な事案については第三者による算定確認を行うこと。そして且つ十分な文書管理の徹底を測ることという方針で財務省にもしっかり対応させることとしたい、このように考えております」

 長妻昭「いや、全く総理、答えておられんないんです。これ本当に、総理、あのー、真摯な答弁とか謙虚というふうに仰ってるんで、是非、噛み合うような推移(?――「進め方」と言うことか)をしたいと思うんですね。

 それで結局ですね、今の話、午前中の与党の質問に対しても『今後は注意します』と。与党はそれでいいよと。そんなような遣り取りがあって、私は非常に腑に落ちないわけでありますけども、総理はずっと『適切、適切に見積もられている』、『適切だ』というふうに価格算定について仰っておられるんで、これについてずうっと答弁されておられるんですから、国会に対して『これは申し訳なかった』と、『適切ではなかった』というようなことは国民(へ)の謝罪を含めてお認めにならないんですか」

 安倍晋三「先の通常国会に於いては国有地売却の問題について基本的に処分を担当している財務省や国交省から適切に処分したとの答弁があったところにより、私もそのように報告を受けていました。

 これまでの私の答弁についてはそのような理解の上で申し上げたものであります。他方で国有地の売却価格については会計検査院がきっちりと厳正に調査するものとそれも申し上げていたところであります。

 政府から独立した機関である会計検査院が検査を行い、今般国会に提出されたわけであります。報告については真摯に受け止める必要があると、このように考えております。今後関係省庁に於いて業務の在り方についてしっかりと見直しをさせる考えであります」

 長妻昭「あの、ちょっとここまで質問がなかなかうまくいかないというのは予想していなかったんですが、つまり財務省から適切だと言われたから、自分も適切だと答弁したまでだというふうに今聞いたわけですけども、でも、その適切ではなかったわけで、それじゃあ、国会で何度も色んな議員が聞いて、相当な時間を使って、『適切、適切』と仰っていたことが違っていたのでございますから、総理自身の答弁の責任としてですね、謝罪なり、国会に対して、国民に対してそういう発言というのは一切ないんでございますか」

 安倍晋三「あの、政府のですね、いわば支払い、支出等についてはですね、これまでも様々な国会での遣り取りをさせて頂いているわけであります。その際、それを執行した省庁の説明を私たちは、私は総理大臣として受ける場合もあるし、受けない場合もあるわけでありますが、しかし業務の執行がある場合はそれぞれの省庁が適切に判断をしたものを執行していくわけであります。

 で、その際、様々な指摘がある、また会計検査院がですね、様々なこの調査等を指摘、調査をし、指摘するわけであります。それを我々は真摯に受け止め、今後はそういうことがないようにうまく省庁でそれをしっかりと、えー、果たしていく、そういうことになっているわけでございます。

 当然、これはですね、今回もこれは同じことでございます。先程申し上げたように価格については会計検査院がきっちりと厳正に調査するものと思っていると申し上げているわけでございます。

 会計検査院が調査することを否定しているわけではなくて、全面的に協力させて頂きたい、このように申し上げてきたところでございます」

 長妻昭「いや、これはですね、どうなんですかね。取り組みの在り方として部下が適切だと言ったから、自分が適切だと言ったまでであると。しかもこの問題はですね、色んな、確かに適切でないことがたくさんあるんでしょ、会計検査院の指摘では。

 これだけ安倍昭恵夫人が名誉校長を務めて色々な問題が提起される中でずうっと『適切、適切』と仰って、それが適切でなかったときに今の答弁というのは私は到底、国民の皆さん理解できないと思いますよ。

 私もですね、国会で質問した政党の一員としてずうっと適切と言っていて、それが違ったときに、いや、部下が言ったから、それだけで済まされる、会計検査院が指摘した、真摯に受け止める、それだけで済まされるというのは私は如何なものかと思いますよ。

 総理の在り方として、まあ、これ以上言っても、総理はまた文章を読まれるだけだと思いますけども、私はこの姿勢こそがですね、全然治っていないんじゃないですか。謙虚な姿勢とか、真摯な答弁とか、ま、そういうふうにですね、私は言わせて頂きたいと思うんです」

 結局、安倍昭恵と前財務省理財局長の佐川宣寿、 国有財産統括官だった池田靖、今治市職員の首相官邸面会時の応対者と目されている当時首相秘書官だった柳瀬唯夫を国会証人喚問に求めることでこの件の追及を打ち切っている。

 11月30日(2017年)参院予算委でも共産党の辰巳孝太郎が同じような質問をして同じような答弁を引き出している。

 辰巳孝太郎『今般会計検査院の調査によって政府の値引きは根拠の無いと断罪されました。しかし総理は適正な処理だ、これは自分で調べたわけじゃないんだ。官僚の説明を信頼し、紹介したまでだなどと責任転嫁の答弁を行いました。

 総理、政府の値引きは適正ではなかった。それは政府の責任でもある。それはどうでしょうか」

 安倍晋三「先の通常国会に於いては国有地売却の問題について処分を担当している財務省や国交省から適切に処分していたとの答弁があったところであり、私もそのように報告を受けていました。

 これまでの私の発言についてはそのような理解の上で申し上げたものであります。その上で国有地の売却価格については会計検査院が適正にきっちりと調査すると思っていると申し上げきたところであります。

 政府から独立した機関である会計検査院が第三者的立場で検査を行い、今般国会に提出され、その報告については真摯に受け止める必要があると思っています」

 言葉の入れ替えや少しの言い換えがあるが、殆ど同じ答弁となっている。辰巳孝太郎は長妻昭の追及から何も学ぶことができなかったようだ。

 長妻昭は安倍晋三は国有地売却価格は適切に積算された、だが、会計検査院の報告では適切でなかったと判断された、適切ではなかったのだから、国会と国民に謝罪すべきではないかと求めた。
 
 対して安倍晋三は会計検査院は独立した行政機関であり、その報告に対しては「政府は真摯に受け止めなければならない」ゆえに業務の見直し、その他が必要だと今後の行政上のあるべき在り方を答弁している。

 長妻昭は安倍晋三の答弁を捉えて、「国有地売却に関して政府が適切としてきたことが正しかったのか間違っていたのか自体についは触れていないではないか」、あるいは「『国有地は国民の共有の財産であり、その売却に当たっては国民の疑念を招くようなことがあってはなりません』と仰っているが、現実に疑念を招いている事実はどうするのか、それを省いた答弁になっている。このことについてどう考えるのか」と問い詰めなければならなかったはずだ。

 ところが、長妻昭は「いや、全く総理、答えておられんないんです」と自分が望んだ答弁にだけ拘っている。だから、「答えていない」と言うなら、どこをどう答えていないのかを指摘しなければならないはずだが、頭にあるのは自分が望んだ答弁だけだから、指摘もできない。

 長妻昭は「午前中の与党の質問に対しても『今後は注意します』と。与党はそれでいいよと。そんなような遣り取りがあって」と発言しているが、午前中、同じような遣り取りがあったなら、少しは考えた追及を工夫すべきだが、工夫がないから、適切だと言っていたことが適切でないと分かったのだから、謝罪すべきだと一本調子の追及しかできない。

 そして安倍晋三は次のように答弁する。

 「先の通常国会に於いては国有地売却の問題について基本的に処分を担当している財務省や国交省から適切に処分したとの答弁があったところにより、私もそのように報告を受けていました。

 これまでの私の答弁についてはそのような理解の上で申し上げたものであります」

 要するに国有地売却を担当した財務省と国交省が適切に処分したと国会答弁し、安倍晋三自身も適切処分の報告を受けていたから、適切処分の理解で国会答弁してきた。

 このような経緯を以って、答弁に何の問題はないという意味を持たせている。そして会計検査院の「報告については真摯に受け止める必要がある」と答弁している。

 安倍晋三が言っていることは自身の「適切」とする国会答弁は財務省・国交省の「適切処分」とする国会答弁とその国会答弁に添った財務省・国交省から「適切」とする報告に依拠して適切性の判断を自らも行ってきたということである。

 だが、会計検査院の報告は地下埋設物の算定量や処分・撤去費用の見積額を根拠不十分だとした。そして安倍晋三はその報告を「真摯に受け止める必要がある」と答弁している以上、適切性の判断を財務省・国交省の国会答弁や報告に依拠していたことから、いわば「不適切処分」としている会計検査院の報告へと新規に依拠しなければならないことになる

 ところが安倍晋三は会計検査院報告の「不適切処分」に適切性判断の根拠を置き替えずに適切だとした自身の過去の答弁は何も問題はないとすることで会計検査院の報告に「厳正に」依拠して実際には適切であったか否かの判断を出すことを拒否している。

 要するに詭弁を用いて巧妙に責任逃れしている。国有地売却を不適切な取扱いだとした場合、責任と処罰を問うことになる原因究明の過程でどのようなトバッチリが安倍昭恵にいつ飛び火して、それが自身に及ばない保証はないために適切性の判断を財務省と国交省の国会答弁とその報告への依拠止まりにしておくということなのだろう。

 いずれにしても、安倍晋三が「適切でしたとしてきたことは誤りでした」と一言でも言った途端に財務省と国交省に対する責任追及が開始され、その追及は格安売却の動機にまで突き詰められることになる。証人喚問という形での安倍昭恵の国会登場を阻止できない絶体絶命のピンチに立たされない保証はナシとすることはできなくなる。

 長妻昭は安倍晋三の答弁がどのような意図を含んでいるのか思いを巡らすべきを、それができすに「あの、ちょっとここまで質問がなかなかうまくいかないというのは予想していなかったんですが」などとノーテンキなことを言い、「適切と言っていたことが違っていたのだから」といつもの如くに堂々巡りの追及に落ち込んでいる。

 要するに安倍晋三の詭弁を用いた巧妙な駆引きに太刀打ちできずに一人相撲を取っていに過ぎない。結果、安倍晋三の詭弁を放置し、逃げられてしまうことになった。

 長妻昭はこの日の質問の冒頭で与野党の質問時間を配分を元に戻すように安倍晋三に求めていたが、これでは野党にいくら時間を配分しても的確な追及は求めるべくもない。

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