安倍晋三の解散はアベノミクスの失敗が国民の目に明らかになった場合に備えた小泉任期超えを狙った個利個略

2014-11-19 05:41:21 | Weblog



      生活の党PR

       《11月14日(金) 鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見》    

      『今解散総選挙をするというのは、党利党略を超えた個利個略に近い』

      【質疑要旨】
      ・衆議院解散総選挙の争点
      ・自民党、高村副総裁発言について
      ・民主党との連携について
      ・民主党以外の野党との連携について

 安倍晋三は昨日11月18日夕方の解散記者会見で消費税10%増税の先送りの理由について、アベノミクスは成功しつつあるが、消費税の8%への増税が成功の阻害要因となるためだとしている。

 安倍晋三「ここで皆様に申し上げておきたいことは、3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります。経済政策において最も重要な指標、それはいかなる国においても雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています。

 ですから、私は何よりも個人消費の動向を注視してまいりました。昨日発表された7月から9月のGDP速報によれば、個人消費は4月から6月に続き、1年前と比べ2%以上減少しました。現時点では、3%分の消費税率引き上げが個人消費を押し下げる大きな重石となっています。本年4月の消費税率3%引き上げに続き、来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断いたしました」

 だが、格差について何も触れていない。「政権発足以来、雇用は100万人以上増え」たとしても、正規社員は減少し、非正規社員が増加していく流れを辿っている。このことは賃金抑制の圧力を示し、格差拡大を意味する。

 当然、「有効求人倍率は22年ぶりの高水準」にしても、非正規社員が漸次増加していく傾向の「高水準」であって、格差を内包した「高水準」ということになる。賃金もこの格差を反映することになって、「平均2%以上給料がアップ」も、正規社員、それも大企業の正規社員により多くの金額が集中した「給料がアップ」であって、非正規社員は除外されていることは断るまでもない。

 今年の春闘の回答は、「NHK NEWS WEB」記事が伝えるところでは、正社員の平均賃金引上げ額(「ベースアップ+定期昇給」)は月額5981円であて、非正規労働者の時給の平均は昨年比+1.36円の11.43円。

 非正規労働者の1日労働時間を8時間、月25日労働とすると、8時間×11.43円×25日=2286円。正社員平均賃金引上げ月額5981円-非正規均賃金引上げ月額2286=3695円の格差である。

 しかも非正規雇用は労働者全体の4割弱の計約2000万人で、労組に加入している人は80万人に過ぎないという。残る1980万人は時給当たり1.36円の賃上げに恵まれたかどうかである。

 格差は拡大している。アベノミクスが成功すればする程、格差は拡大していくことになる。いわば安倍晋三は格差を隠蔽したアベノミクスの成功を語っているに過ぎない。

 富める者が益々富む中で貧しき者が少しでもお裾分けに預かることができるならいいが、安倍晋三がもう一つ隠していることがアベノミクス成功を阻害する要因となって立ちはだからない保証はない。人手不足である。

 安倍晋三は東京に一極集中した人口を地方に戻して企業を起こし、地方を活性化させることを主体とした「地方創生」を掲げて、「アベノミクスの効果を全国津々浦々に波及させていく」と豪語しているが、東大日本大震災復興によって人手不足が生じ、アベノミクスによる僅かな景気回復がそれに輪をかけた。いわば景気が回復する程に人手不足が増していく。しかも日本の人口は縮小の方向に向かっている。人口統計上も労働力は減少傾向にあることになる。

 いわば人手不足と人口減少を合わせた労働力のパイが縮小していく状況下で全国津々浦々、各地方の経済を万遍なく活性化させていくために必要とする人手・雇用を確保するということは自己矛盾そのものである。

 アベノミクスが成功の道を歩むとしたら、人手不足の壁にぶち当たり、あるいは「地方創生」によって各地方が多くの若者その他を集めて津々浦々経済的に活性化していくとしたら、同じく人手不足の壁にぶち当たることになって、無理に人手を掻き集めようとしたら、経済の活況に基づいた賃上げではなく、員数揃いのための賃上げ競争が起きて、逆に企業の経営を苦しめ、見えてくるのは虻蜂取らずの苦境といったところだろうか。

 既に人手不足が賃上げの誘引となっている。よりよい給与を提示しなければ、人が集まらない、あるいは既存社員の給与を据え置いたなら、転職されてしまう恐れがあるからと、賃上げを行う。だが、GDPは二期連続のマイナスである。賃上げをしたものの、業績が芳しくなく、経営が苦しくなっている中小企業も存在するということを聞く。

 格差と人手不足。外国からの「高度人材活用策」も「外国人技能実習制度」の拡充も根本的な解決策となるわけではない。

 しかも安倍晋三に残されている時間は短い。人手不足は待ったなしで、格差拡大が悪性の癌腫瘍のように進行している。これらによってアベノミクスの成功が覚束なくなったなら、支持率は下がって、政権が立ち行かなくなる恐れが出てくる。

 だが、ここで解散しておけば、例えアベノミクスの失敗が国民の目に明らかになったとしても、選挙に勝利して4年間どうにか政権を維持したなら、戦後、佐藤栄作、吉田茂に次ぐ第3位の5年5カ月の在任期間を誇った小泉純一郎を抜いて6年の在任期間を記録することができる。

  安倍晋三は昨日の解散記者会見で記者から勝敗ラインを問われて、次のように答えている。

 安倍晋三「自民党、公明党連立与党によって過半数を維持できなければ、私たちの三本の矢の経済政策、アベノミクスを進めていくことはできません。過半数を得られなければアベノミクスが否定されたということになるわけでありますから、私は退陣いたします」――

 要するに勝利を予定している。余程のことがない限り4年間の任期を獲ち取ることができることになる。

 外国を何カ国訪問して、首脳会談を何回開いたと、単なる数字でしなかい記録を以って自身の外交能力とするような政治家である。当然、任期という記録に拘ったとしても不思議はない。

 鈴木克昌生活の党代表代行・幹事長 11月14日の定例記者会見で、「今解散総選挙をするというのは、党利党略を超えた個利個略に近い」と言っているが、まさにそのとおりだろう。

 安倍晋三の任期に立ちはだかるとしたら、来秋の自民党総裁選であろう。そのときアベノミクスの失敗が国民の目に明らかになっいたなら、石破茂か誰かに取って変わられる恐れが出てくる。

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