日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 今朝は成田空港に行けませんでした。残念。ダライ・ラマ十四世が訪米途上で今日(4月10日)、日本に立ち寄るのです。……もう成田に到着しているのではないかと。

 日本でも記者会見を開く予定とのことでした。時あたかもサンフランシスコで聖火リレーが始まったばかり。チベット問題で国際世論が盛り上がっているいま現在のこの状況下で、何が語られるのかに国際社会は注目していることでしょう。もちろん中国も。

 日本も何かアクション起こさないのかな。でもフフン♪こと福田首相じゃ無理だよなあ。……と思っていたら、何とまあ妙手炸裂!

 これが事実で本当に実現するなら、もうただうなるしかありません。正にお見事の一言。



 ●安倍前首相夫人がダライ・ラマと会談へ(MSN産経ニュース 2008/04/10/01:07)
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080410/stt0804100109001-n1.htm

 安倍晋三前首相の昭恵夫人が10日、訪米途中に日本に立ち寄るチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と面会することが9日、分かった。一方、政府はチベット騒乱などをめぐりダライ・ラマ氏を非難している中国に配慮し、「政府として接触する予定はない」(児玉和夫外務報道官)としている。昭恵夫人とダライ・ラマ氏との面会は、日本全体が人権問題を軽視しているわけではないことを国際社会に示す意味がありそうだ。

 昭恵夫人とダライ・ラマ氏の面会は、日本政府ではなく、ダライ・ラマ氏の亡命先のインド政府を通じてセットされたという。

 チベット騒乱に関連しては、安倍前首相も3月18日、ダライ・ラマ氏のアジア・太平洋地区担当初代代表を務めたペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授と会談し、「チベットに住む人たちの人権が確保されるように努力していきたい」と強調、中国側に働きかけていく考えを示している。

 また、欧州連合はダライ・ラマ氏を12月に欧州議会に招く考えを表明。ブッシュ米大統領は中国の胡錦濤国家主席に対し、ダライ・ラマ氏と実質的な会談を持つよう要請している。




 私はファンタジスタこと麻生太郎・元外相による「偶然バッタリおやこんにちは」あたりを期待していたのですが、安倍前首相の昭恵夫人とは驚きました。フフン♪なんてのはもちろん、安倍氏自身や麻生氏が会うよりも、これはピンポイントといえるかも知れません。

 外角低めストライクゾーンいっぱいのところに、速球がビシリと決まったようなもの。バッターは手も足も出ずに見送り三振といったところではないかと思います。

「昭恵夫人とダライ・ラマ氏の面会は、日本政府ではなく、ダライ・ラマ氏の亡命先のインド政府を通じてセットされたという」

 という部分に注目です。インド政府とのパイブは、首相在任中に訪印した安倍氏のものなのか、それともファンタジスタか森喜朗・元首相あたりのラインなのか。日本の政界事情に疎い私にはわかりません。

 ただ前掲記事にもあるように、安倍氏は先月のチベット弾圧事件が起きた直後、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表のペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授と会見しています。

 ●日本が舐められています。もはや「五輪でのボイコット」あるのみ。(2008/03/19)

 首相時代の訪印経験とともに、この縁が作用したとみるのが妥当なところなのでしょうか。あの安倍首相のインド訪問に際してはファンタジスタの「自由と繁栄の弧」の実践と受け取ったのか中国当局が異様に神経質になっていたのを思い出します。

 ●パール判事の息子と会ったら中共がもんのすごいパワープレイ。(2007/08/24)
 ●「公約」実行で中国が騒ぐ騒ぐ。内閣改造も気になる模様(笑)。(2007/08/28)
 ●安倍首相訪欧で痛点刺激、中共がピリピリピリリ。(2007/01/13)

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 ともあれ、福田内閣には到底できようのない芸当が、別口によって行われたことになります。第二の外交が機能して、日本を支えたといっていいかも知れません。

 ダライ・ラマと会見するということは、当然ながら中国を横目で意識しつつ……ということになります。フフン♪に望んでも無理であることは言うまでもありません。

 安倍氏や麻生氏なら出来ることかも知れませんが、将来のフリーハンドを確保しておくためには、いまは会わない方がいいともいえます。あるいは福田政権下にあっては二人とも反主流派のようなものですから、ダライ・ラマと会うことで、

「これは内閣揺さぶりか?倒閣の準備行動?」

 などといったネガティブな見方が自民党内で流れるのを避けたいタイミングという判断があるのか、このあたりの機微は私にはわかりません。しかしダライ・ラマの日本立ち寄りに際しては何らかのアクションを示す必要がある、と考える向きにしてみれば、ここで何かしておかなければなりません。

 そこで昭恵夫人。……という絶妙な人選に、私などはうならざるを得ないのです。

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 まずは安倍氏の影が当然ながらチラつきます。毒餃子事件、チベット弾圧、聖火リレーと続いて中国への不信感が日本国内で高まっている折も折。フフン♪も弱腰対応で国民から呆れられていますから、本格的な政治活動を再開してほどない安倍氏が中国を相手に示した別口外交で存在感を示す好機といえるでしょう(そこにファンタジスタが絡んでいればいよいよGJ)。

 そこで持ち出された
「昭恵夫人」というカードには、フフン♪相手に楽を続けてきた中国も久しぶりにピリピリせざるを得ません。

 安倍氏は小泉政権下における官房長官就任時に
「コイズミよりコイズミ」と警戒心を込めて国営通信社・新華社に評されたものです。

 その後のポスト小泉を決める自民党総裁選に際し、新華社をはじめとする中国国内メディアは安倍氏を冷遇する一方で、結局は出馬しなかったフフン♪を一時期、ものすごい勢いで持ち上げていました。ところが安倍氏が首相となってしまったため、気に入らない相手ながらも薄っぺらい融和ムードを漂わせて日中関係改善に動くこととなりました。

 安倍首相による中国訪問がその転機ということになり、訪中は「氷を破る旅」と中国国内でもてはやされました。ただ「コイズミよりコイズミ」ですから、安倍氏自身に対して手放しで評価することはありませんでした。

 その代わりに中共政権が大いに持ち上げたのが,他ならぬ「昭恵夫人」なのです。これは安倍首相時代を通じて一貫して変わることがありませんでした。
安倍首相をチクリと刺す際には「昭恵夫人」をほめあげてバランスをとっていた、といっていいでしょう。

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 その「昭恵夫人」が事もあろうか、中国が目下「人面獣心」「卑劣漢の親玉」「大嘘つき」などと極彩色に染め上げ、大悪役に仕立て上げているダライ・ラマと会見するのです。

 事件発生当初から中国当局によって悪者認定されている「ダライ集団」、昨日(9日)あたりからその鉾先が「チベット青年会議」へと集中し始めた気配が出て私はちょっと注目しているのですが、ダライ・ラマへの個人攻撃が明らかに下火になったという訳ではありません。

 その大罪人扱いしている憎きダライ・ラマと会見するのが、これまで一貫して持ち上げてきた「昭恵夫人」であることが中国にとってピンポイントではないかと。まずは顔に泥を塗られるような扱いを受けた、と中共政権は感じるでしょうから、どう反応するかが楽しみです。

 そして安倍氏の影。表舞台で振る舞うのは昭恵夫人であっても、実は同行していて裏でダライ・ラマと密会、という可能性もあります。そういう可能性を感じさせる人選ではあるでしょう。

 それからダライ・ラマの会見相手として中国がもてはやしてきた昭恵夫人をあえて登板させるということ自体が
中国に対する「宣戦布告」めいたメッセージにもなっている。……というのは邪推のし過ぎでしょうか。

 安倍氏ひいては麻生氏をも含むかも知れない、中国にしてみればフフン♪のように楽には扱えない「反主流派」からの、

「われわれは福田とは違う」

 だから覚悟しておけ、という意思表示です。「反主流派」とはいえ福田内閣は支持率が危険水域に突入して年内解散がささやかれるような状況。そして「反主流派」ながら、麻生氏はポスト福田の有力候補のひとりなのですから、決して重みに欠けるメッセージとはいえないでしょう。

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 ちょっと期待し過ぎでしょうか(笑)。ただダライ・ラマを迎えてフフン♪路線とはかけ離れた本来あるべき「別口外交」が行われることには昂奮を覚えずにはいられません。

 そしてその人選の妙、この点にやはり感じ入ってしまうのです。

 このところグダグダ感の続いていた日本の政治状況にあって、久方ぶりに閃光の走るような鮮やかさを思わせるアクションといえるのではないでしょうか。

 空戦機動。空戦機動ですよ、これは。




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