世間的には土曜日のようなので和みたいところなのですが、今週はニュースが盛り沢山なのでなかなかそうもいきません。
個人的にみて最も印象的だったニュースはこれでした。
●人民元対ドルレート、1ドル=7.8元を突破 11日(人民網日本語版 2007/01/12/13:31)
http://j.peopledaily.com.cn/2007/01/12/jp20070112_66847.html
11日のインターバンク外国為替市場で、人民元の対米ドル平均レートが1ドル=7.7977元に達し、初めて7.8元の大台を突破した。中国人民銀行(中央銀行)から権限を委譲された中国外匯取引センターが同日明らかにした。(後略)
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●人民元が1ドル=7.8の大台突破、香港ドルとの地位逆転(中国青年報 2007/01/12/07:04)
http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-01/12/content_5595764.htm
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要するに元高ドル安が一定のレベルに達し、米ドルにリンクしている香港ドルよりも人民元の価値が高くなってしまったということです。私が香港に住んでいたころは人民元なんざ糞のように見えたものですが、今度香港に行くときは人民元だけで買い物や食事から乗り物まで全て事足りしてしまうかも知れません。
……ちょっと想像したくない光景ですけど香港にとっては抗えない流れでしょう。わが愛機パワブク(Mac)は私の気分を察するかのように「じんみんげん」を「人民減」と変換してくれます(笑)。
いやホント頼みます「人民減」の方向で。13億にせよ15億にせよ黙って寝転がっている分にはまだいいのです。ところが当然ながらこの13億ないし15億人は飯も食えば水を飲むし糞もする。それに服を着るし靴もはく。んでゴミも出す。環境保護などは全く念頭にないし、しかも中国のエネルギー消費効率の悪さは日本の9倍だか10倍だった筈です。シャレになりません。
てな訳で、その蓄積によってこんな仕儀に立ち至ります。
●海中への廃水放出口、8割以上が安全基準値オーバー(大公報 2006/01/12)
http://www.takungpao.com/news/07/01/12/ZM-677657.htm
記事標題の通りです。基準値を超える汚水が河川だけでなく海にも直接流されているため、沿岸部の汚染が進行中とのこと。特に深刻な地域は広西チワン族自治区沿岸部、長江河口付近そして渤海沿岸部。特に渤海沿岸の汚染度が突出しているとのこと。
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その渤海、地理的にいうと山東半島と遼東半島という両腕で抱え込まれたような形の湾で天津がこれに面していますが、ここはもうダメだそうです。
●渤海の生態系、絶滅の危機(明報電子版 2006/01/12/20:30)
http://hk.news.yahoo.com/070112/12/1zv8u.html
絶滅の危機というより「お前はすでに死んでいる」の心電図ピー状態。カニとかエビなどは辛うじて棲息しているものの、魚類はほぼ姿を消したそうです。しかも、地形的に外海との対流に乏しいため、水はよどむ一方で、排出された汚染物質も100年以上居座ってしまうとのこと。
確かに衛星写真をみると渤海が石灰色に濁って映っていますからねえ。それにしても「魚類はほぼ絶滅」って深刻という段階をすでに越えているような気がしますけど、どうなんでしょう?
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さて本題の安倍晋三・首相の訪欧です。ドイツや英国などを歴訪し、NATO(北大西洋条約機構)やEU(ヨーロッパ連合)の首脳とも接触。名刺交換だけでなくNATOに対しては連携提案、EUには対中武器禁輸措置の解除に反対したりと、中共政権にとっては無視できない「遠交近攻」外交を展開しています。一方で麻生太郎・外相が東欧諸国とよしみを通じるのに働いているようですね。
中共政権は防衛庁の省昇格でも外交部報道官がソフトな談話を発表しただけで対外的には表立って文句をつけませんでした。とはいえ、表面上は友好ムード維持という対日外交の基本方針があるものの、小泉純一郎・前首相とはひと味違ったスタイルの外交路線に油断ならぬものを感じたようで、
●安倍訪欧を欧州メディアは冷遇、夫人がニュースの主役に(新華網 2007/01/11/14:23)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/11/content_5593284.htm
という中国新聞社(華僑向け中共系通信社)による嫌味ったらしい記事を配信したりしていましたが、痛点をチクチクと刺激されることに耐えかねて、とうとう外交部報道官(キモヲタデイブ)が釣り上げられてしまいました。1月11日の定例会見でのことです。
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安倍首相の対中武器禁輸解除への反対について(人民網日本語版 2007/01/12/09:58)
http://j.peopledaily.com.cn/2007/01/12/jp20070112_66834.html
外交部の定例会見で11日、劉建超報道官が質問に答えた。
――日本の安倍首相は8日、英国のブレア首相との首脳会談で、欧州連合(EU)の対中武器禁輸措置の解除問題に言及し、解除された場合、東アジアの安全保障に影響を及ぼすおそれがあると指摘した。中国は安倍首相の発言をどう評価するか。
中国はEUの対中武器禁輸措置解除問題における立場を、すでに繰り返し言明してきた。中国が禁輸解除をEUに求める目的は、中国に対する政治的差別の撤廃にある。EUは潮流に従い、早急に正しい決断を下すべきだ。関係国も、EUの禁輸解除を妨害するようなやり方を止めるべきだ。中国は平和発展路線を歩んでおり、禁輸解除が東アジアの平和に脅威をもたらすという日本側の見解には、道理もなければ、成立もしない。(後略)
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「禁輸解除が東アジアの平和に脅威をもたらすという日本側の見解には、道理もなければ、成立もしない」
……ってことは禁輸を解除してもしなくても影響がないんですから、禁輸のまんまだっていいじゃないですか。「政治的差別」なんてことをまだ言っているから禁輸措置が解除されないことには頬被りですか、そうですか。
若い世代の方はあるいは御存知ないかも知れませんけど、1989年に中国全土で大学生・知識人による民主化要求デモが発生し、その中枢たる首都・北京に集結していた学生や知識人を、中共政権はあろうことか人民解放軍を投入して完全武装の歩兵に手当り次第の無差別実弾射撃を行わせ、戦車が縦横に走っては人間をひき殺すという鬼畜極まりない所業を平然とやってのけました。市民多数も巻き添えとなって、正確な死者数は未だに判明していません。いわゆる天安門事件です。
これに対し西欧各国が一斉に対中経済制裁を行ったのですが、その中に上の「対中武器禁輸措置」があり、これが未だに継続中なのです。難しいことはわかりませんが、民主・自由・人権といった普遍的な価値観を西欧諸国がいかに重んじているか、また国際社会に対する事件の衝撃がいかに大きかったかがわかるかと思います。
措置が解除されないことには様々な理由があるようですが、基本的には「ヨーロッパは中国をまだ許していない」という意思表示かと思われます。実は2005年にフランス主導で禁輸解除になりそうな雰囲気がEUに流れたのですが、日米がこれに反発、さらに中共政権自身が台湾独立に向けた動きを牽制する「反国家分裂法」を制定し、対台湾武力侵攻を国内的には合法とする法整備を行いました。このために解除気運が一気に冷え込んだという経緯があります。
天安門事件や反国家分裂法、それに自由派知識人、ウイグル人、チベット人などに対する様々な人権侵害を欧州が見過ごしてくれないことを中共政権は「政治的差別」として批判しています。大層なすれ違いぶりですが、これもまた、身を置く次元が互いに異なるため全く対話が成立しない事例のひとつといっていいでしょう。
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上の外交部報道官による反発は安倍首相がブレア・英国首相に対中武器禁輸措置の継続を訴えたことに反応したものですが、実はそれよりも前に、安倍首相はドイツを訪問してメルケル・首相と会談し、日独が禁輸措置継続の方針で合意しています。
……このニュース、中共系メディアはスルーするかも知れないと私は思っていたのですが、外交部報道官談話が出たからなのか、翌1月12日に報じられました。
●対中武器禁輸、解除考えていない……独首相が安倍氏に保証(mil.eastday.com 2007/01/12/08:25)
http://mil.eastday.com/m/20070112/u1a2562038.html
たぶんワンセットなのでしょうが、ほぼ同じタイミングでこういうニュースも流れています。
EU委員長「対中武器禁輸の解除へ引き続き努力」(央視国際 2007/01/12/07:53)
http://news.cctv.com/world/20070112/100480.shtml
この記事は新華社電として、EUのバローゾ欧州委員長は安倍首相と会談した際、
●解禁するかどうかは全てのEUメンバー国によって決められる(=日本が口を出すことではない)
●EU加盟国は現在禁輸解禁に向けた活動を進めており、技術的な問題に関する折衝が行われている
と表明したと伝えています。ただこの記事は冒頭で、
「EUのバローゾ欧州委員長は日本の安倍首相に対し、『EUは対中武器禁輸措置の解禁に向け引き続き努力していく。ただ解禁がすぐに実現する訳ではない』と話した」
として、解禁が短期的には実現しない見通しであることを示唆しています。
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中共側は現在の日中友好ムードがあくまでも表面的なものに過ぎないことをもちろん承知しているでしょう。ですから安倍首相についても甘くみていたことはないと思いますが、小泉政権時代とは一線を画した外交活動に、「予想以上にやりやがるな」という感触に由来する警戒感やいら立ちがみてとれるように思います。
なぜいら立つかというと、「友好気運の維持」という目下の対日基本路線に沿って李肇星・外相、温家宝・首相さらに胡錦涛・国家主席の訪日が予定されている以上、この程度ことは大騒ぎすることなく、防衛省誕生のときのように、鷹揚にあしらわなければならないからです。
ところが、やはり一言口をはさまずにはいられなかったのでしょう。前述した嫌味ったらしい記事や外交部報道官の反応がその証です。
また『朝日新聞』や共同通信では物足りないからでしょうか、国営通信社・新華社は『産經新聞』の論評記事まで引っ張り出しています。「安倍訪欧の真意は対中牽制」という趣旨のタイトルのようですが、私は原文を見つけられませんでした。
●日本『産經新聞』記事:安倍訪欧の真意は対中牽制(新華網 2007/01/12/10:51)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/12/content_5597493.htm
こういう記事を配信したことも安倍首相に対する警戒感やいら立ちを示すものとみていいでしょう。
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さらにさらに。
●中国のアフリカ進出に懸念で一致 日英財務相会談(Sankei Web 2007/01/12/10:54)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/europe/070112/erp070112001.htm
【ロンドン=蔭山実】英国を訪問している尾身幸次財務相は11日、ロンドンでブラウン英財務相と会談した。財務相筋によると、両財務相とも、中国が資源確保のため、アフリカ諸国への進出を加速させ、融資も積極的に展開していることに懸念を表明し、中国の動向を注視していくことで一致した。(後略)
こんな動きもあるのです。打つ手打つ手を封じられそうな気がして、中共が焦れるのもわかるような気がします(笑)。
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このまま放置すれば、汚染は日本海にまで拡がって逝く事になる。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/20/20060720000044.html
どうも中国人は自分のとこが死滅しても、いいよ、どうせ引っ越すしみたいな印象を受けるんですが。(というか現地の工場の人はみんなそんな感じ。どうせ5年もしないうちに移動だよ!アッハハ)
望郷の念とか共産党下ではないんでしょうか?w
ほっとけば、日本海も死滅するんですが、下手に手を出すと「なあんだ。ほっといたら日本人がしてくれるじゃん。じゃあドンドン垂れ流そう」とか本気で思いそう・・
侵略兵器をバカスカ買うなら環境装置かえって思う。
あと、兵器関連のニュース・・さすがダイナミックチャイナですなあ。
中国軍、「ミグ15戦闘機」360機や戦車1800両や装甲車などが「紛失」転売
http://jp.epochtimes.com/jp/2007/01/html/d17270.html
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