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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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あの『環球時報』が自省報道!? 日本研究のレベルの低さを断罪。
中国観察
/
2006-08-05 21:14:40
前回の続編というつもりはないのですが、それにやや近い内容を散漫に語らせて下さい。世間的には土曜日らしいので、週末恒例の余談とでも思って頂ければ幸いです。
……いや、私の方は御盆休みを控えて日本側のスケジュールがタイトになっており、それに合わせざるを得ないため「プチ年末進行」状態で月月火水木金金、まさに気息奄々としているところなのです。
私の関わっている業界ばかりでなく、例えば週刊誌なども合併号で夏休みをひねり出すところが多いでしょうから、この時期は大変だと思います。
――――
廃話少講(閑話休題)。
安倍官房長官が4月15日に靖国神社を参拝していたことが「突如発覚」(笑)しましたが、これまた『日本経済新聞』の「それが私の心だ」メモ同様に「空気読めボケ」型の姑息な小細工でした。いまこの時期にそんなネタ出したって、頼みの中共政権は国内事情の処理に忙しくて一緒に躍ってくれやしませんってば。
安倍晋三・官房長官の靖国参拝が発覚?それで場違いな抗議声明みたいなものが中共政権から出ることはあっても、それ以上は騒ぎ立てないでしょう。もし表立って安倍氏攻撃を始めてしまえば靖国問題についての日本の世論に変化が生じ、同時に自民党総裁選でかえって安倍氏を利することになるでしょうから。
……と前回書きました。ところが胡錦涛はこの問題について目下のところは騒ぐつもりが本当にないようで、中国外交部から出た公式声明には「抗議」とか「遺憾」といった言葉さえ登場しませんでした。
「我々は日本メディアの関連報道に関心を持っている。日本の指導者がA級戦犯を祀る靖国神社への参拝を停止するという実際的行動を以て、中日関係の正常な発展を妨げる政治的障壁を解消することは、両国人民共通の願いであり、両国の根本的利益にも符合する。日本側が中国側とともに向かい合って努力し、中日関係を早期に正常な発展の軌道に戻すよう希望する」
http://news.xinhuanet.com/world/2006-08/04/content_4921130.htm
……だ、そうです。直接的な批判もなく、
「靖国参拝をやめろ」
「関係悪化の責任は全て日本側にある」
といったような従来の高圧的な物言いは影をひそめてしまっています。
――――
「我々は日本メディアの関連報道に関心を持っている」
とわざわざ「日本メディアの関連報道」という表現を持ち出したことからは、安倍氏の参拝について中国側はまだ完全な事実確認をしていない、という空々しいニュアンスを感じます。あるいは
「余計なことするんじゃねえボケ。有難迷惑なんだよ(怒)」
という日本のマスコミに向けられたメッセージかも知れません(笑)。
A級戦犯を何とかすれば靖国問題に終止符が打たれる訳ではないこと、そもそも靖国問題への容喙は日本に対する中国の内政干渉であることは前回指摘した通りです。この点については、小泉首相の対中関係構造改革路線を次期首相が継承することで、今後は遠慮することなく、
「内政干渉はやめろ。日中間で取り交わされた3つの政治文書に明確に違反する行為だ」
「そもそも中国にはA級戦犯を云々できる根拠がない」
と日本側から公式声明が出せるようになればいいなと思っています。
――――
胡錦涛政権がそんな調子ですから、中共系メディアによる関連報道にも熱が入っていません。相変わらず『朝日新聞』や共同通信など日本側の報道を翻訳・整理して記事にしたものばかりでした。親中紙の『香港文匯報』(2006/08/05)には反日評論家として糞青(自称愛国者の反日教徒)に人気がある邱震海・鳳凰衛視時事評論員が寄稿していましたが、これまた普段の電波系とは打って変わって、
「靖国問題は当面、『一歩退いて二歩進む』の原則で、互いに譲り合って簡単なルールを定めればいいのではないか。例えば公式参拝をしない、重要・敏感な時期の参拝は避ける、国会議員による集団での参拝はしない、そして分祀などの処置を急ぐといったものだ」
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=WW0608050004&cat=005WW
てなことを言っています。当人は精一杯ソフトにしたつもりなんでしょうけど、根っこのところで事実認識に誤りがあることにわかっていません。靖国問題は純然たる日本の国内問題で、中国が公式に口を出せばそれは内政干渉になるということ、そして中共政権にはA級戦犯をどうこう言える資格も根拠もない、ということです。小泉路線以前の日本の対中外交が極めて不健全なものだったために、かようなトンチキをのさばらせることになるのです。
――――
そういう中で、反日基地外紙として有名ながら最近は電波が弱めで私などは心配している『人民日報』系の国際情報紙『環球時報』が興味深い署名論評を掲載しました。中国の日本研究は未だに『菊と刀』を超えることができない、と嘆きつつ、その理由についてあれこれ考察しているものです。
●中国人はなぜ日本研究に長じていないのか(新華網 2006/08/05)
http://news.xinhuanet.com/world/2006-08/05/content_4921679.htm
この記事によると、中国における日本研究に進歩がみられない理由の第一は、自由で独立した環境の下で研究が行われていないからだ。……といきなり際どい趣旨のことを言ってのけます。
いわく、中国の対日研究部門はその多くが政府機関や国立大学に所属する形になっており、いきおいその研究内容は政府の動向に沿って行われる傾向が強く、常に政府や指導部の求めに応じた研究が中心になっている。……というもので、対日研究が政府の対日政策や戦略に奉仕するだけの状況にあることを批判し、もっと自由かつ全面的な、様々なテーマについての研究が行われて然るべきだと指摘。同時に日本の対中研究はこの点で環境が整っているとしています。
――――
第二の理由は「心の問題」だそうで、中国の対日心理における最大の特徴は「軽視」なのだそうです。侮日とか「小日本」といったものでしょう。この「軽視」には2種類あって、ひとつは「絶対型軽視」、つまり自分の方が優れているという根拠のない自信に基づくもので、この記事はそれを「夜郎自大」「唯我独尊」と厳しい言葉で批判しつつ「これは無知型軽視だ」と断じています。
それから「偏見型軽視」というもので、これは一種の西洋崇拝。常に欧米を重くみて、日本については何がどうであれ重視しようとしない、という心理だそうです。
これについては、
●伝統的に日本が中国から文化を受容する関係にあったことで、明治維新を端緒に日本が列強の仲間入りを果たしてからも日本を下にみる意識が抜けなかった。
●20世紀初期には中国知識人の日本への留学が盛んで、『資本論』や『共産党宣言』も日本語版を翻訳したものが中国に入ったりするなどこの時期に日本から学んだ成果は決して少なくなかったものの、第二次大戦そして日本の敗北で日本を手本とする風潮は消えてしまい、「偏見型軽視」が根付いてしまった。
などという説明がなされています。
――――
この風潮に関してこの記事は「兎と亀」の話も引き合いに出しています。それによると、中国文化を吸収していた時代の日本と日本人は伝統的に中国という兎の快速ぶりに必死でついていこうと努力していた、ところがいまや立場は逆転して日本が先を走る兎になっているのに、中国人には亀たるものが持つべき謙虚さと努力が欠けている、となかなか手厳しいことを言っています。
最後に第三の理由として、勤勉で丹念な民族性が日本の対中研究にも反映されていて微に入り細を穿ったものになっているのに対し、中国の対日研究は大雑把で粗放な嫌いがある、とのこと。中国の対日研究が「官」に奉仕する性質に偏っていることがそれを助長している、と言いたいようにみえます。
「ある意味、相手国を研究するそのレベルこそが中日関係の重要な部分といえる」
として、この点が重視されるべきであることを強調してこの記事は結ばれていますが、「なにこれ本当に『環球時報』?」と言いたくなるようなマトモな記事です。少なくとも現状に警鐘を鳴らし自省を促すという内容は中共系メディア全体を見渡しても珍しいものとしなければなりません。
この時期にこういう際どい、また下手をすると糞青どもにネット上で袋叩きにされそうな内容の記事が出たというのも、あるいは胡錦涛の靖国問題で殊更に騒ぐことを避けようとする意思が反映されたものかも知れません。
――――
私はかねてから中国の学者さんたちの中でいちばん厳しい環境にあるのは中国近現代史と日本についての研究者だと考えています。いずれも党の定めたドグマから踏み出すことを許されないため自由な研究が行えず、いきおい学界の水準向上が阻害されていると思うからです。
中国の対日研究が政治の枠組みの中でのみ呼吸することを許されている……という状況なのであれば、小泉政権の対中外交における「構造改革路線」に対応することができず、中共政権がほぼ受け身一方に終始しているのも致し方ないことかと思います。
以下は前にも書いたことがありますね.
――――
一、さくら さくら 今、咲き誇る 刹那に散りゆく運命(さだめ)と知って
二、さくら さくら ただ舞い落ちる いつか生まれ変わる瞬間(とき)を信じ
三、さくら さくら いざ舞い上がれ 永遠(とわ)にさんざめく光を浴びて
――――
御存知、森山直太朗氏のヒット曲「さくら」の歌詞から抜き出したものですが、中共政権下の日本研究者どもは、日本の若い世代がこういう詩を書き、それが広範に支持されたという点に深い考察を加えた方が、いまさら『菊と刀』を熟読するよりためになるのではないか。……と私は思うのです。
●構造改革。・上(2006/03/28)
●構造改革。・下(2006/03/28)
――――
靖国問題に話を戻しますと、中共政権は安倍官房長官の参拝や小泉首相の「八・一五参拝」には殊更に騒ぎ立てることなく事態の推移を注視しているといった格好です。ただその一方で、東シナ海のガス田で新たな動きが出ているのは気になるところです。これも胡錦涛の意思なのか、それとも対抗勢力がしびれを切らして実力行使に出たというものなのか、しっかり見きわめたいところです。
8月15日といえば、香港の保釣行動委員会が台湾の漁船などとともに尖閣諸島へ向かうと発表しています。これについても政治的保護者がどういった勢力なのか、胡錦涛はこの動きにどう対処するか注目です。従来通りなら見殺しなのですが、国民感情がそれを許すかどうか。
……ああ報道統制で「なかったこと」にしてしまうという手がありますね。海外からニュースがネット上に流れても影響は限定的なものになると思います。ただ軍部が我慢できるかどうか。胡錦涛を支える軍主流派は、電波系対外強硬論を吐く非主流派ほどでなくても制服組であることに変わりはありません。軍人である以上、尖閣問題となれば血が騒ぐでしょう。このあたりは見物ですね。
もし保釣の馬鹿どもが本当に船出してくれば、容赦することなく法に則った処置を講じてほしいものです。連中は初犯ではありません。日本の領海に入ったところで海上保安庁による拿捕に始まって、今度こそ逮捕、送検、起訴、有罪判決……とサクサクと処理することで、日本は毅然とした態度を示してほしいものです。
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