2008年10月20日(月) 読者のひろば
世の中が長寿社会になったことは喜ぶべきことだ。しかし高齢者の数が増えると、必然的に認知症患者も増加する。これは先進国共通の問題になってきている。
ものわすれクリニック院長で「認知症の人と家族の会」常任理事の松本一生さんは、著書「認知症を生きる」で認知症の実態や介護について詳しく書いていた。認知症の症状はさまざまで、社会的に十分機能を果たせる患者もいるのだが、家族が病気の発症を恥じ、外部に隠すことが多いのだという。
かつて「鉄の女」と異名をとった英国のサッチャー元首相(82)の娘が、先日、サッチャー氏が認知症であることを回想録で公表した。一部で「元首相の尊厳を損ねる行為」と批判が出たが、「認知症は恥なのか」という反論も出ている。
2035年には国内の認知症患者の数が、2倍以上になるという推計があるが、最近の研究の進歩で、早く発見すれば薬で進行を抑えられることも分かった。認知症の恐れが少しでもあれば早期に受診し、治療することが何より大切だ。
「認知症の増加と対応」2008年10月4日
参照:私のあんしん提言「認知症初期対応が肝心」松本一生(2008/9/2)読売新聞
ものわすれクリニック:松本診療所(大阪市)
松本一生:(まつもと いっしょう 1956年11-)
『認知症を生きる―思い出は薄れても希望の日々は消えない』:2008年4月,昭和堂
英国のサッチャー元首相:マーガレット・サッチャー(Margaret Hilda Thatcher, Baroness Thatcher、1925年10月13日 - 2013年4月8日)イギリス保守党の政治家・初の女性首相(1979-1990)