先週の朝日新聞に、登山家の尾崎隆氏が12日エベレストで遭難死したというニュースが
載っていました。
記事によると
”尾崎さんは4月中旬、エベレストのネパール側ベースキャンプ入り。
エベレスト登山をテーマにしたテレビ番組の撮影が目的だった。11日深夜、ネパール人の
高所ポーター2人と約8千メートルの最終キャンプを出発。
だが、頂上直下で体調を崩して下山を始めた。8400メートル付近で動けなくなり、
そのまま死亡したと見られる。”と。
http://www.asahi.com/national/update/0513/TKY201105130555.html
ポーターが二人もいて何故”そのまま死亡”しちゃったの?
助けることはできなかったの?と私は思ったのです。
丁度、本屋で野口健の「落ちこぼれてエベレスト」という本を見つけたので
読んでみました。
最年少で7大陸最高峰登頂記録を達成した野口健とは
どういう若者だろう?という興味を持っていたのです。
これが意外に面白かった。
外交官の父はエジプト人の女性と結婚、次男として生まれた彼は
サウジアラビア、日本、エジプトで育ち、イギリスの英国立教学院に中学から入る。
ここで徹底的に落ちこぼれ、劣等感の塊だった彼はケンカして停学中だった時に
植村直己の「青春を山に賭けて」を読んで登山に目覚める。
富士山から始め、八ヶ岳、穂高と訓練を重ね、
高校2年でモンブラン、キリマンジャロ登頂に成功する。
その頃の彼は、自分を馬鹿にする先生や学友を見返すためには
山登りしかないと思い込んでいたようです。
そして一芸入試で亜細亜大学に入学、コジアスコ(オーストラリア)、アコンガクア(アンデス山脈)、
マッキンリー、ビンソン・マッシーフ(南極大陸)、エルブルース(ロシア)と
高山病に襲われたり肋骨を折ったりしながら成功していく。
しかし世界最高峰のエベレストは甘くなかった。
天候急変や体調不良で彼は2回失敗する。
今度失敗したらさすがにスポンサーも助けてはくれないという緊張の中、
3度目の挑戦で成功したのは99年、25歳の時。
しかしその間に、読み書きもできないというシェルパの娘と一目惚れで結婚したり、
結局2年で離婚したり、酒に溺れたりとまあ本当に波乱万丈です。
高校生でモンブランやキリマンジャロに登れたというのは
外交官である父親の経済力や、海外で育ったための英語力といった幸運もあったでしょうが
彼の不撓不屈の根性は素晴らしい。
エベレストについてのこんな描写がありました。
”かつて、チベット側からこの山の登頂を目指したロシア人の男性と
アメリカ人の女性のカップルがいた。山頂を目前にして妻が力尽き、
「私はここで待っているからあなただけでも登頂して」と夫を見送った。
夫が登頂して妻の所に戻ってきた時には、妻の両足はすでに凍傷でやられていて、
一歩も歩けない状態だった。上半身は何の問題もなく、意識はしっかりしている。
(中略)日が暮れ始め、夫はどうしようもないことを悟り、そこからジャンプしたという。
妻の目の前で自らの命を絶ったのだ。その夜、妻は凍死した。
この夫婦の間で交わされた会話、そして各々が救援を求める声は
無線で逐一下のキャンプに届いていた。
だが、誰も彼らを助けることはできなかった。
標高8000メートルというのは、そういう世界だ。”
そこで亡くなった人の遺体をどうすることもできず、
いくつもの遺体が転がっているのだと。
1924年に行方不明になった英国人登山家ジョージ・マロリーの遺体が
99年、丁度野口がベースキャンプにいるとき75年ぶりに発見されたのだとか。
納得しました…
「落ちこぼれてエベレスト」 http://tinyurl.com/3ndomkt
ご無沙汰しております。
唐突ですが、yahooブログがヤフー以外もリンクできるようになっているらしいので、リンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
どぉぞよろしくお願いいたします。
そう、昨日 ブラックスワン 観ました。飛行機内の小さな画面でうつらうつら見ているのと全然印象が変わりました。
この本は、期待もしないで読んだのですが
拾いものでした。
ジムの仲間と時々、どうなさってるのかしらねなんて噂してますよ。
お元気そうで何よりです。
ブラックスワンは、あれは飛行機の小さな画面じゃ迫力が出ないでしょうねえ。
リンクの方、よろしくお願いします!
何だか親しみを覚えて以前から聞きたいことがあるので
聞いてみたい気がしてきました。
レイテ島で戦死された人の遺族会を取り仕切っておられたような・・・
でも直接関わらないのでお節介になりそう・・・
今は環境保護活動でも活躍しておられるようですね。
高校時代の友人が新聞社のスポーツ部にいて
彼とは飲み仲間なのだそうです。
何かお聞きになりたいことがあれば
お伝えしますよ?
この2人が単なるポーターだったのか、それともガイドを兼ねた『シェルパ』だったのか、それが知りたくなりました。
単なるポーターならば、彼らに責任はありません。しかしガイド、つまりシェルパとして同行していたのなら、彼らの責任は『重い』と思います。『ゲストの安全、それはシェルパの最大の仕事』ですから。
野口健さんがハーフだとは初めて知りました。そして彼が行っている活動にも、とても共感しています。私自身もネパール・エヴェレスト街道を歩いた経験がありますから、なおさらです。
私は登山については何も分からないのですが
ただこの本によると
野口氏がエベレスト登頂に成功したときには
シェルパが4人ついていました。
そしてシェルパが何人いようと
アイスフォールで足を滑らせたり、クレバスに落ちたり、高山病になったり、
駄目な時には駄目なのだというように私は理解しました。
実際、シェルパも死ぬこともあるようですし。
そのくらいエベレストというのは厳しい世界なのだと。
この本、私は一晩で一気に読みました。
慕辺さんにも面白いかもしれませんよ?
彼の成長物語だったような・・・?
山での悲惨さはあまり書かれていなかったと思います。
エベレストに関しては、1996年の日本人女性も参加していたツァー登山での大量遭難事故を描いた「空へ」(ジョン・クラカワー著)が凄まじいです。
テントまであと少しのところで難波康子さんは力尽きるのですが、誰も助けてはくれません。
まだ生きているのにです。
極寒のエベレストでは人のことまで構っていられないのが現状でしょうね。
「死者として残されて」ベック・ウェザース著
にもそこのところが書かれています。
先日日本映画「岳」を観ました。
「ありえない~!」と何度も突っ込みたくなりました。
娯楽としては楽しめましたが、やはり甘いですね。
彼の生い立ち、家族との関わり、学校でのこと。
それでも登山に詳しくない私には、山の悲惨さも伝わったように思います。
難波康子さんのこともチラリと出てきます。
日本人として、田部井淳子さんに続いて7大陸最高峰登頂を成し遂げた後の悲劇だったのですってね。
>まだ生きているのにです。
極寒のエベレストでは人のことまで構っていられないのが現状でしょうね。
本当に厳しい世界のようですね。
また色々と読んでみたくなりました。
「岳」は…
まあ漫画が原作といいますしねえ。
>外交官である父親の経済力や、海外で育ったための英語力といった幸運もあったでしょうが
>彼の不撓不屈の根性は素晴らしい。
七大陸やってたときの野口さんの三度目のエベレスト挑戦のときに村口徳行さんて山岳カメラマンも参加してて、かれが著書のエベレスト登頂請負人で、同行した登山家の一人に野口さんがでてくるんですが
なかなか評価が辛辣です。野口さんの章副題が「なにも考えてない男」ですからね
もともこの本は同行した登山のタクティクス(登山計画・行動)について書いたマニアック本なんですが
行動力はすごいが、タクティクスについてはなにもかんがえてない(立て方をしらない)
商業登山隊に参加して二回失敗しているが、(低い高度)で簡単につぶれる野口君はいいお客(カモ) であっただろう
みたいななかなか悪辣な評価をくだしてます(笑)
自分の隊を組むようになってからはかなり成長したみたいで評価があがります
裏方がどう見たかって本でタクティクスについてあれこれかいてるんでおもしろいです
三浦雄一郎さんとか渡辺玉枝など最高齢登頂者の隊に同行した話もあるし
これですね。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%99%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E7%99%BB%E9%A0%82%E8%AB%8B%E8%B2%A0%E3%81%84%E6%A5%AD-%E6%9D%91%E5%8F%A3%E5%BE%B3%E8%A1%8C/dp/4635171698
日本人として最多のエベレスト登頂を誇る人なのですね。
面白そうな本のご紹介ありがとうございます。