歩かない旅人

 彼がなした馬鹿げたこと・・・彼がなさなかった馬鹿げたことが・・・人間の後悔を半分づつ引き受ける。ヴァレリー

拷問にかける情熱のすさまじさ!!

2016-05-08 00:04:52 | 月刊雑誌「正論」を読んで

 

  

 

 おなじみ雑誌「正論」の巻頭コラム【折節の記】の6月号の最初の部分は、拷問をテーマに、欧米のキリスト教徒の考え作り出された拷問の数々が書かれています。実に世界はさまざまな人種が住んでいますが、肉食人種の、苛烈な生存力と人種差別の底に流れた人間の業を感じます。

  

 カトリックのシスターほど善意に満ちた挙措動作、物腰の温かさを私たちは映画の世界で知っていますが、人間の思い込みほど恐ろしいものはありませんが、しかしこのような苛烈な世界は知らないほうが幸せでしょう。

 

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 (月刊雑誌『正論』6月号より一部抜粋掲載)

 【 折 節 の 記 】 より抜粋

       

      高山 正之

 70年代安保が終わって間もなく、日本赤軍の3人がテルアビブ空港で銃を乱射し26人を殺した。

 奥平剛志ら二人は、その場で殺されたが、岡本公三は捕まった。2ヶ月後、イスラエルの法廷に現れた彼を見た日本人は驚愕した。言葉も表情もまともではなかった。つまり壊れていた。

  

 後に彼の身柄を引き受けたヨルダン政府は、「拷問で廃人になった」といった。ユダヤの民のために言えば、彼らは拷問の達人ではない。彼らは常に拷問の被害者だったと歴史は伝えている。

 レコンキスタのあとキリスト教会は富めるユダヤ人を嫉妬し、彼らに異端の嫌疑をかけ、拷問した。耐えられず異端を認めると火炙りにされ、彼らの財産は協会が没収した。

 火炙りにされたくないから、みな耐え始めた。ではと教会はもっともっと残忍な拷問道具を次々案出して審問した。

 拷問の手順はまず汚水を18リットル飲ませる水攻めが相場だったようだ。かなり効果があった。それで今も米軍はイスラム過激派の口を割らせるのにこの水責めの改良型を使っているほどだ。

 しかし異端審問ではそれで落ちるものは少なかったようで、次は親指を万力で潰す親指攻めが待っていた。万力はより痛いように改良が施され、最も効果的とされたのが18世紀オーストリアの女帝マリアテレジア考案のものとされている。

 それで落ちないと逆エビ逆さ吊とか三角木馬とか焼けた鉄靴とか。因みに白雪姫の物語は毒リンゴを食べさせた母が白雪姫の結婚披露宴で焼けた鉄靴を履かされて踊り狂う場面で終わる。で、ハッピーエンドだとキリスト教の本質を覗く思いだ。

 こういうえげつない拷問をユダヤの民は被害者の立場で思い知らされてきた。ある意味、拷問に精通していた。ヨルダン政府によれば岡本公三はそれを試された。ただ日本人はそんな歴史も経験も持たない。

 かつて日本共産党の宮本 顕治が同志の小畑達夫にスパイの嫌疑をかけた。裸にして針金で縛り、足を炭火で焼いた。錐で股間をさし、腹にちょっと硫酸をかけた。小畑はそれだけでショック死した。日本人は耐える免疫はない。岡本はあっさり壊れたわけだ。

 キリスト教徒の拷問にかける情熱はすごい。アンリ・トロワイヤが「ピョートル大帝」で紹介した串刺し刑はその精緻さと残忍さで最高の拷問処刑とされる。太さ5センチのポプラの若木に銀のキャップを被せる。

 朝方、それを被処刑者の肛門から挿入し、どこかで腸壁を破り、肺腑をかき分け左肩まで達する。執行吏が左肩をナイフで切るとそこから銀のキャップが現れ、夕日に輝く。被処刑者を貫いたポプラの木は地上に建てられ、水だけが与えられて、1週間苦しみぬいて死ぬ。

 そういう技術が欧州のキリスト教社会で死んでいなかったことを今度のパリ連続テロ事件が見事に証明した。

 イスラムのテロリストがパリ10区の繁華街など3か所で自爆テロをやって、130人を殺した。非常事態宣言下でベルギーに逃げ込もうとした一味6人が捕まった。彼らは死をも厭わないイスラム国戦士だ。

 尋問されても落ちるはずもないと思われたが、それは長い拷問史を持つ欧州の人たちを見損なう見方だ。水責めだけで苦労する米国とは違った。一味と関連を持つ者たちが次々と捕まり、3月18日、欧州テロの指揮官アムデスラムら2人がベルギー警察に逮捕された。

 その4日後、ブリュッセルの空港などで自爆テロがあった。当局はそれが捜査の手が速すぎたため「パリの再アタックを諦めてのやけっぱちテロ」だったことを突き止め、さらに現場から逃げた仲間2人を即座に逮捕している。

  

 ほとんど一網打尽。驚くのは捕まった命知らずのイスラム戦士が仲間の名や出身地から犯行後どこで上着を脱ぎ棄てたまで詳細かつ速やかにかたっていることだ。

 実に素直だ。おそらくポプラの木をお臍辺りまで突っ込んだのか。日本人には想像したくもない取り調べであったのだろう。

 

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  人間が人間に対して憎しみを持つことは、人間いる限り永遠に続くでしょう。それをコントロールするものが多分宗教でしょうが、宗教の持つ力は、まさに諸刃の剣です。

 民族の育ってきた環境も大いに関連があります。大陸系民族は民族同士が地続きで、狩猟民族が最も好戦的で、実戦に慣れていたのでしょう。言葉の通じない他民族は、彼らにとっては常に狩る動物と変わりがなかったかもしれません。またはそれに限りなく近い心情だったかもしれません。

 ギリシャ時代にあった奴隷制度は、ヨーロッパではなかったと言われています。彼らが世界中に広まっていく際の労働力として、アフリカ系の人々を、奴隷として、取り扱ったのは、日本の農耕に、牛や馬を使ったのと同じ考えから来たのかもしれません。

  

 人類の最高点に最も白人を当然のように考えたのも、それまでのいきさつから考えれば当然かもしれません。しかし彼らは最も動物に近い肉食動物と同じ残虐なことを、かなり平気で行える精神力を持っていたのかもしれません。

 未開な人間のどう猛さを一生懸命プロパガンダしていますが、事実は時と共に、明らかになってきます。彼らは実にまた狡猾です。日本が作られた残虐性や狡猾さは、彼らが自分たちを正当化するために作られた一種の創作です。高山氏はその経緯を容赦なく解き明かして、爽快なる読み物にして見せるまさに名人です。


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