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旧える天まるのブログ
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『毛皮を着たヴィーナス』餅

2019-12-30 00:13:13 | DQX毛皮を着たヴィーナス

初回

DQX毛皮を着たヴィーナス

前回

『毛皮を着たヴィーナス』ライオン

<餅>

  帰宅しても彼女はベッドへははいらず、舞踏服を脱ぎすてて髪をといた。

 それからわたしに暖炉に火を入れるように命じ、わたしが火をたくと、彼女は炉ばたに腰をおろして、じっと焔を見つめてもの思いにふけっていた。

「まだご用がございまっちでしょうか?ご主人さま」

 彼女は首をを横にふった。

 わたしはその部屋を出て柱廊を抜け、庭園へ通じる石段をおりいって、途中で腰をおろした。北風がアルノ河のほうから新鮮な冷気を運んできた。緑の丘はバラ色のモヤにつつまれて遠くまでひろがっていた。街のうえには金色の霧がただよっていた。

 薄青い空には星が二つ三つ残っていた。

 わたしは燃えたつ額を冷たい大理石に押しあてた。いままでの出来事はすべて子供だましのようなものだった。

________今こそ、ほんとうに、真剣なことが、恐ろしいまでに真剣なことがわき起ってきたのだ!

 わたしは彼女の関係が近いうちに破局に達するであろうと予測した。がわたしには、それに対決する勇気が欠けていた。

 わたしはただ恐ろしくてたまらなかった。熱狂的に愛しつづけてきた彼女が、わたしの手もとから失われていきそうだ。そう思うだけで、わたしは泣けてしょうがなかった。

 日中、彼女は部屋に錠をおろしてとじこもり、わたしを遠ざけて黒人女をはべらせた。夕空に星が輝きはじめるころ、彼女は庭園を横切って歩いて行った。

 わたしは探偵のように注意深い足どりで尾行した。

 彼女は庭の一隅のヴィーナスの真道のなかへはいって、ドアを閉めた。

 わたしは忍び足で近づいて、扉の隙間からそっとのぞき込んだ。わたしの目は燃えていた。彼女は女神の像の前に立つと、手を組み合わせてなにごとかを真剣に祈っていた。夜がふけてからであった。

 わたしは廊下の一隅の聖人像の下に掛けてあった小さな赤いランプに火をつけて、片手でその光をおおい隠しながら、彼女の寝室へしのび入った。ドアの鍵はかけ忘れていた。わたしは彼女のベッドに近づいた。

 彼女は神経的に疲れ切ってしまったのであろう。仰向けになって、胸のあたりに両手を組んで、祈るような格好で熟睡していた。わたしは静かにランプの光で彼女のすばらしい美貌を照らし出した。

 それからわたしはランプをそっと床のうえに置き、ベッドのそばに身をかがめて、わたしの頬を彼女のふくよかなあたたかい腕に押しあてた。

 彼女はかずかに動いた。

 わたしは石にでも化したかのように、いつまでもいつまでも、そうしていた。が、ついに激しい戦慄がわたしを襲ってきたので、わたしは泣き出してしまった。わたしの熱い涙が彼女の腕のうえにボタボタと落ちた。

「ゼフェリン!」

 彼女はおどろきの叫びをあげた。

「・・・・・」

「ゼフェリン」

 彼女は今度はやさしい口調でいった___

「どうしたの? 病気なの?」

 その声には無限の愛が満ちあふれていた。わたしは胸に赤熱の鉄棒を突きさされたように、声をあげて泣き叫んだ。

「わたしの気の毒な、不幸なゼフェリン」

 彼女はそういって、いっそうやさしくわたしの髪の毛をなでながら、

「すまないわね。とってもすまないと思っているよ、わたし、でも、あなたのお力になることができないのよ。どんなに善意をもって考えても、わたしにはあなたをお救いする方法がわからないのよ」

「ああ、ヴァンダ、そうでしょうか・・・・」

 わたしは苦闘のうちにうめいた。

「なあに?」

「あなたはもう、わたしを愛していないのですか?ほんのわずかの憐れみもかけていただけないのですか?あの美しい外国人が、あなたの心を完全にとらえてしまったのでしょうか!」

「そうね、わたし、嘘はつけないわ」

 彼女はそういってから、ちょっとためらうように問をおいて____

「ああ、あの人は獅子のような男性で、強くて、美しくて、優しくて、わたしたち北国の人間のように野蛮じゃないわ。あなたにはすまないけれど、私どうしてもあの人をわたしのものにしなければならないわ。わたし自身をあの人にさしあげねばならないわ、あの人がもらってくだされば・・・・」

「でもヴァンダ、世間の評判を考えてください!」

「もちろん考えているわ。でも、わたしはあの人の妻になりたいの、もしあの人がもらってくださるならば・・・・」

「ヴァンダ、ボクを追い出さないでください。あの人はあなたを愛してなんかいやしない!」

「だれがそんなことをいうの?」

 彼女はかっとなって、鋭い声で叫んだ。

「彼はあなたを愛してなんかいない!」

 わたしはそうくり返して衷情(ちゅうじょう)を吐露し、わたしのものになって欲しいと哀願した。

しかし彼女は冷酷無情な表情と邪悪な嘲笑をわたしに投げかけて、

「あなたはいま、あの人がわたしを愛してなんかいないといったわね。いいわよ、そんならそれで、あなたは勝手にどんな気休めな空想でもするがいいわ」

 と叫ぶが早いか、ぶいとむこうをむいてしまった。

「後世です。ヴァンダ、あなたは血肉をもった女性ではないですか。ボクと同じように人間の心臓をもってはいないのですか!」

「わたしは石像の女よ。あなたの理想とする毛皮を着たヴィーナスよ。そこにひざまずいて、祈りでも捧げるといいわ」

「ヴァンダ、お慈悲だから!」

「ホホホ!」

 彼女は嘲笑的に笑いだした。

 わたしは彼女の枕に顔をおしあてて涙を流した。

 長い沈黙がつづいて、静かに身を起こすと、

「じれったい人ね!」

「ヴァンダ!」

「うるさいね。わたしは疲れたわ。ねむらせてちょうだい」

「後世ですから」

「わたしはねむりたいの!」

「そうですか!」

 わたしはカッとなって飛びあがると、ベッドのそばにつるしてあった短刀をつかむと、さっさと鞘を払って、わたしの胸にあてて、

「ここで自殺します!」

 と叫んだ。

「どうぞ、ご勝手に」

 彼女はまったく気にもとめず、大きなあくびをして、

「わたし、とってもねむいのよ」

 とくり返した。

 わたしはどぎもを抜かれて、短刀を腕にに突き刺す勇気をくじかれてしまった。

「ヴァンダ、ほんのちょっとの間でいいから、ボクのいうことを聞いてください」

「ねむいんだってば!このわからずや!」

 彼女は売女(ばいた)のように叫んで、ベッドから飛びおりて、わたしを足げにして、

「わたしがおまえの主人だってこと、忘れたの!」

 といって、杵をふるって、わたしを打ちすえた。

 わたしは拳を握りしめて、彼女を見かえしてさっさと彼女の寝室から飛び出した。

 彼女は杵をほうり出して、ヒステリックに高笑いしていたが、それがかえって、彼女から離れようとするわたしの決意をいっそう強めた。

次回

『毛皮を着たヴィーナス』置手紙

 


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まだ見ぬノミネート賞2019

2019-12-23 02:57:07 | ノミネート(雑記の宿)

 12月23日、まだ見ぬノミネート賞。ようこそ、える天まるのブログです。クリスマスを前にしてまだ見てない映画(DVD)を注文いたしました。

 WSMクリスマス&ファイティングソングの候補を探してたときに、ユーロビートの曲から『アップサイド・ダウン』

の曲ルーツがダイアナ・ロスだとわかり。

 そして、ライオネル・リッチー&ダイアナ・ロスの『エンドレス・ラブ』にたどりつきました。

 そうこうしてるうちに映画のほうの『エンドレス・ラブ』がものすごく気になりまして、DVDを注文しました。

 それ以外にDVDレンタルでまだ見ていない作品がありましたので(謎の数字が貼ってあったのでステッカーで隠しました)今年のクリスマスはこれを鑑賞してみようと、クリスマス目前で、”まだ見ぬノミネート”賞にしました。

 正直、今、だいぶお疲れモードでいます。なので少しリフレッシュできればなと思っていまして、演目は年明けに持ち越す予定です。ユーチューバーやニコニコ動画の生主さんとかは、「放送やれ!」とか煽られて大変だなーと感じだことがありますが、こちらはそのようなプレッシャーはございません。

 今週末土曜日TBSラジオ『久米宏ラジオなんですけど』のテーマは今年の漢字二文字だそうで。

 私は、今現在まで浮かんだのは”鈴木彩子(現在SAICO)””さんの『葛藤』から漢字二文字

『葛藤』にしました。

 SAICOさんは、交通事故に遭われてから現在は下北沢でお花屋さんもやっているようで、ひょっとしたら数年前に下北沢でお見かけしたかもしれません。

『けがれなき大人への道』のCDは、私も持っています。初めはルックスに惹かれ、曲を聴いたときにはすごく心うたれた名曲で刺激をうけました。けど、私もその当時は仕事に夢中だった頃で、交通事故に遭われてたことなどの情報は知らないでいました。

 12月、私も交通事故で現在のような暮らしぶりになってしまいました。12月はとくに注意しなければならない季節です。みなさまも交通事故にはご注意してください。注意一秒怪我一生

ハッピークリスマス。よいクリスマスでありますように。アーメン。

 


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忘年ノックノッ苦

2019-12-19 18:36:28 | ノックノック(雑記の宿)

 今年も忘年会も開くことなく、一年の終わりを迎えることになることに。

 個人的なお誘いはないものの、メディアなどのイベント、催し物のは開催されているということでは、忘年会やパーティーに参加できないということには矛盾します。

 まあ、誘われれば誘われたなりに経済的な負担もかかるし、経済面のことを考えればそれでもいいのかなーと、わりきったりもしています。

 が、ここ数年、知人友人親族、何のお誘いも私にはありません。今年も寂しい一年でした。「僻んでいる」と言われれば、そう、僻んでいるんです。主催になって招待すれば来てはくれますが、なかなか招待はされません。 

 ただ、今年は父のお墓にはいくつか供物があげられていたので、その辺はあたたかくしてもらったかな、とは思っています。

 今年一年、私としては自治体の不誠実さに怒り、自殺未遂も起こしました。それで自己完結している自分にも情けない。それで『いだてん』の視聴率が9%ぐらいに上がったところで何もうれしくない。

 『いだてん』のお話しをさせてもらいますが、番組、夜、8時の時間帯にリアルタイムで観れなかったのは2回、見逃した放送はNHKのオンデマンドの見逃し放送を見て、全話視聴いたしました。

 面白かったです。誉め言葉として素直に言えることでした。全体の感想はまず、それにつきますが、ドラマと向き合っていて、個人的に落ち込んだというか、ネガティブになったという面を申しますと、”専門家の祭典”それは私には犇々と伝わり、ある面から言えば、何かの専門家ではない立場の人間からすると、それが急にネガティブに跳ね返ってきてしまうことも感じました。

 私は世間体で考えれば、リタイヤ組。何かの専門家といった評価は受けていません。だから、電車内でスリにあったり、オレオレ詐欺の被害者が専門とみられているのでしょうか。その程度の扱いで、忘年会の誘いもなければ、パーティーの誘いもないのです。

 よしもとの芸人も、反社会勢力からお誘いがあるぐらいですから、いいご身分ですよ。国会議員は議員辞めなくてもいいのですから、私なんて人生やめろと督促が家にきちゃって、あぶなく川に飛び込んで死ぬとこでした。

 怖いのは葬式の誘いです。葬式の誘いぐらい辛くて虚しいものはないです。だから、ずっと虚しさと不安の中で一年が過ぎています。

 今年の大河は時代劇じゃないから、お年寄りが見なくなった。わかる気がします。リタイヤ組、何かの専門家ではないですもん。だったら、時代劇を観ていたほうが何かを忘れさせてくれる。その辺が低視聴率の一因だったのはないででしょうか。年金が1万円多く支給されました。1万円多く支給したからと言って、なんでもしていい?それはちょっと違うんじゃないですか?総理。1万円は妻が苦労して働いてくれた分として大事に使わさせていただきます。

 ここ数日、ひもと思われてちょっといらっとした瞬間もありました。サンドイッチマン?気仙沼で津波で死ねばよかったじゃないかてめー!そう僻むこともちょこちょこあります。

 あとは私があまりにも嫌われていました。ベガルタ仙台の市民後援会に入っていたころに、急にそれを感じてきたというか「なんか疫病神に思われてる」と思うようになりました。渡辺監督とフレンドリーにしてるところでは、なんか私は馴染めませんでした。

 私が見てるから俺は見ない、嫌だ。昔からそういう空気は肌で感じていました。相対的に実際、出てほしくない芸人が”いだてん”に出ていて、酷く憔悴した時期もありました。エキストラで参加しようとも思っていましたが、私のプライドが許せなくなって、ほんと傷ついて、エキストラさえ断念いたしました。チャンスはありつつも、これ以上、無能な姿を現場で晒したくないと思いました。

 褒めらえる部分、評価される部分は、宮藤官九郎さんに集まられればいいと思いますし、私は嫌われた人間として現在も寂しく生きてゆくしかないのかなーと思いました。ただ単に悔しいの一言が、私には残心するのかもしれません。

 残心。『いだてん』は面白かった。私からのせめてもの礼儀です。

 無能な姿。私は27歳で結婚しました。当時の世相からすれば遅いほうだと思いました。ここ数日、妻と振り返ってあの当時の話しをしました。

「一時期、30歳まで結婚を諦めた時期もあった」と言いました。けれど、

「ほんとに諦めてたら、30を過ぎた自分、40を過ぎた自分は、結婚してなければ、ほんとにダメな奴で残ってた」と話しました。

 私の結婚を鼻で笑うひともいるかもしれませんが、「いくつか改心して、結婚しようと自分に向き合っていた自分があったから、そこで少なくとも救われた」と、話しました。

 引きこもりが原因で、今年は悲惨な事件がおきました。

 まず、聴いていただきたいのは、12月17日放送の『大竹まことゴールデンラジオ』での投稿者さんのメールです。

http://radiko.jp/#!/ts/QRR/20191217132313

↑ 12月17日、ラジコライムフリーのURLです。

http://www.joqr.co.jp/podcast/index.php

↑文化放送のボットキャストでも『大竹まことゴールデンラジオ・オープニング』でも視聴できると思います。21分過ぎから聴いたのですが、そこで投稿者さんのメールが紹介されました。

 私はメールの内容を聴いて、「ナイフを枕元に置いて暮らしてた」ことに「それは罪だ」と意見しました。「死んでくれてありがとう」は、それはないんじゃないかと思いました。昨今、排外主義が叫ばれている時代に感じています。それに共感して定型文のように口にするようになり、それで身を守っているようにと、私は憤りを感じました。

 私の父もいい父でしたが、弱い部分があって口論になると物を持ち出し、私に反撃したことが若い頃にありました。私は腕を掴んだりしたり身体を抑え込んだりして、父の衝動を止めていましたが、父からするとそれが暴力であると感じたりもし、それを見ていた母も同様に私を見ていて、家庭内は荒れていたことがありました。

 私が両親と口論になるときは、愛情の欠如。なんというかいいかげんに私が扱われたときに両親とよくぶつかっていました。

 小さい頃から、そのように感じていました。お金が欲しいとき、母は「お前にはお金を渡すな」と占い師か親戚に言われたとか口癖のように言われたり。昼寝をしてたら、顔にバットが落ちてきて、すごい痛い目にあいました。両親は本棚の上にバットを置いていたのです。その下で昼寝をしてたらバットが落ちてきて、顔にあたり!その理不尽さが許せなくて、隣の家の伯母ちゃんちにまで行って、酷いことをされたと訴えた記憶があります。

 隣近所からしてみれば、酷い笑いものです。就職しても、お昼ごはんの弁当は作らず、「あとで持って行くから」と言われ、持ってきたのはカップラーメンで、職場でも恥ずかしい思いをして長続きしませんでした。

 やがて引きこもった時期もあり、気が変になったこともありました。「俺は伊達政宗だ!」と親の前で言ったり、「お前大丈夫か?」と、思われるような言動をしたこともあります。両親はそれを心配して、私に内緒で多方面に相談をしてたようで、よく、いつもいつも、両親の知人や親戚におばちゃん、はたまた占い師さんなどが、私のいるときに面談にきてました。私はそれが非常に不愉快でした。拒絶ばかりではなく、母の勧めで漢方を飲んでいた時期もあり、両親の心配にも私は協力してました。ただ、愛情の欠如がわかってもらえませんでした。

 この先のことは、私の母や姉の心境と私の心境が言葉で一致するか?が、わからないので、今は公に申し上げられません。いつか心の入札の封筒の中身が一致することを願っています。

12月17日の『大竹まことゴールデンラジオ』の放送のあとに、12月18日のTBSラジオ『ジェース・スーは生活は踊る』の『相談は踊る』の放送を聴いていて、わかってもらえそうな番組内容がありました。

 

 

http://radiko.jp/#!/ts/TBS/20191218110000

↑12月18日、ラジコタイムフリーですが。12時台の『相談は踊る」のコーナーと、を複合的に照らし合わせて聴いてみると気がすこし鎮まるかなと、私は感じました。

演目の予定でしたが、予定を変更して今回の投稿といたしました。

 


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WSMクリスマスソング&ファイティングソング

2019-12-16 03:15:07 | ミスDJ神セブン

 12月15日、文化放送『ミスDJリクエストパレード』にて『WMS~頂上決戦~ベストクリスマス&ファイティングソング神セブン』が発表されました。

1位 山下達郎/クリマス・イブ

2位 ワㇺ/ラストクリスマス

3位 マライヤ・キャリー/恋人たちのクリスマス

4位 松任谷由実/恋人がサンタクロース

5位 サバイバー/アイ・オブ・ザ・タイガー

6位 杉山清貴/最後のホリィ・ナイト

7位 バンド・エイド/ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス

 といった内容でした。

 ワールドシリーズということで海外から4曲、日本からは3曲がランクインしました。

 7曲中6曲がクリスマスソングでしたが、ファイティングソングは、アイ・オブ・ザ・タイガー/映画ロッキーでもしられている世界的にヒットしたファイティングソングでした。イメージと思い入れ、そして、それぞれ保ち続けていたインスピレーションがベスト7という結果に表れたのではないでしょうか。

 しかし、思い違いもありました。『恋人がサンタクロース』を僕はずっと『恋人はサンタクロース』と思い込んでいて、僕が首相になったとすれば「恋人がサンタクロース」を「恋人はサンタクロース」だと、官僚に忖度させ、改ざんし、閣議決定で松任谷由実の「恋人はサンタクロース」だと言い張り、国会を閉めていたかもしれません。僕のように大バカものではないようで、公文書にはしっかりと松任谷由実『恋人がサンタクロース』と定義してありました。

 狂っていたのは僕のほうで、世の中のインスピレーションは狂ってはいませんでした。

 チキン論法はこの辺にして、6位に杉山清貴さんがランクインしました。振り返れば杉山清貴&オメガトライブが人気だった時代がありました。夏のイメージもありますが、ヒットメーカーとして年中、杉山清貴さんが登場していた時代もありました。

 僕はどちらかというと団魂世代よりやや上の世代で、第2次ベビーブームの団魂ジュニアには該当しませんでした。そのやや下の世代『ジェーン・スーは生活は踊る』のジェーン・スーさんぐらいまでの世代の女子からは、杉山清貴さんはとても人気がありました。今回、僕よりもひとつ多くポケットがあったようにも思いました。

 今でいうと星野源さんみたいな人気だったように思います。かつて、フォーリーブスとずーとるびが人気だった時代がありまして、フォーリーブスはおりも政夫とずーとるびは山田隆夫が人気でした。

 しかし、山田隆夫がずーとるびから脱退したあともしばらく人気で、カルロストシキ&オメガトライブのような人気ぶりで、なんといいますか、北半球と南半球でいえば、南半球から人気になった。映画で言えば『マッドマックス』のメル・ギブソンみたいな存在でした。

 星野源もいずれ、皆川猿時に代わりボクサーになったり笑点の座布団配りに転身するのかもしれません。それぐらい、杉山清貴さんは人気があり、改めて、団塊ジュニア世代とのインスピレーションの違いを感じました。

 2位の「ラスト・クリスマス』は映画が公開されているようです。

映画『ラスト・クリスマス』予告編

 今回はランクインしませんでしたが、ダイアナ・ロス&ライオネル・リッチーのエンドレス・ラブで閉めたいと思います。ありがとうございました。

Diana Ross & Lionel Richie Endless Love 1981

 


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『毛皮を着たヴィーナス』ライオン

2019-12-12 00:17:33 | DQX毛皮を着たヴィーナス

初回

DQX毛皮を着たヴィーナス

前回

『毛皮を着たヴィーナス』雌雄

<ライオン>

 翌日彼女は、ギリシャ大使館の舞踏会に出席した。エメラルド色の着物で女神のようなからだをつつんでいた。胸と腕には素肌の肌の匂いがただよっていた。髪には赤い天狗の鼻飾りがひとつ。彼女の態度には、もはや興奮のあともなかった。ふるえおののく熱狂の影も見えなかった。静かであった。静寂で豊麗な女神!それを見て、わたしの血汐は凝固し、わたしの心臓はこごえて止まりそうであった。

 彼女はゆったりした足取りで石垣の階段をのぼっていった。

そしてのぼりきると、その高価な着物の外套をわたしの手のうえにすべり落して、わたしには一瞥もくれないでホールへ入っていってしまった。そこには百を数えるほどのローソクの焔が立っていた。それの燃える煙が銀色のもやもやとなってただよっていた。

 わたしは茫然自失して彼女の後ろ姿を見送っていたが、やがて気がつくと、わたしの手に残った彼女の外套には、まだ彼女の肩の肌のあたたか味と匂いが残っていた。わたしはやるせない気持ちでそこに接吻した。わたしの目は涙で曇った。

 ほどなく彼が到着した。彼は赤の着物で贅沢に飾りつけたビロードの外套を着ていた。

 美しい傲慢な暴君のような態度で控え室のまんなかに立つと、誇らかにあたりを見わたした。

_____不愉快な奴だっち!

 とわたしは思った。

___この男ならだっち、きっと彼女を鎖にかけだっち、彼女の魂を奪い去りだっち、彼女を征服してしまうかもしれないだっち。

 わたしは自分のみじめさを痛感し、羨望と嫉妬で胸の中がむしゃくしゃした。

 彼はわたしに目をつけて、貴族らしいおうような会釈をしてわたしを呼びつけた。わたしは自分の意志に反して、魔力にひきつけられたかのようにつつっと彼の前に出た。

「ボクの着物の外套もぬがせてくれたまえ!」

 わたしの全身は憤慨でふるえたが、どうにもならず、命じられるままにわたしは本物の奴隷のように卑屈になって、彼の外套を脱がせてやった。

 舞踏会が終わるまでの時間は、わたしには長い長い不安焦燥の時間であった。

 ホールには人影がまばらになったが、彼女は容易に帰る気配を示さなかった。窓の鎧戸からは早くも朝の光がのぞいていた。

 ようやく彼女が、水色の波のようにひきずった重いガウンのきぬずれの音をたてて、こちらへやってきた。彼女は彼と親しげに言葉をかわしている。わたしはもう彼女の眼中にはなかった。

「ご婦人に外套をかけてやりたまえ」

 彼は貴族が奴隷に命令するように、わたしに命じた。

 わたしが彼女に着物の外套を着せてやっている間、彼はそばに立って腕を組んで眺めていた。

 そしてわたしがひざまずいて彼女の足袋に草履をはかせてやろうとすると、彼女は彼の肩にやさしく手をかけて軽く身を支えながら、彼の顔に近々とよせて、

「そしてその雌ライオンはどうしましたの?」

 と話のつづきをうながした。

「雌ライオンがえらんでいっしょに住んでいた雄ライオンは、別のライオンから攻撃をうけたのさ」

「それで?」

「雌ライオンは静かに身をふせて、その戦闘をみまもっていたのさ。」

「彼女の配偶者が負かされたときでも、彼女は助けに行こうとはしなかったし、彼が敵の前足にふみつけられて血を流して死んでも、彼女は冷然と眺めていた。強く勝ったほうに従う、それが雌の性質さ」

「・・・・・」

 彼女は軽くうなずいて、ちょっとわきをむいて、奇妙な目つきでわたしをちらりと見た。

 わたしは全身にぞーっと悪寒を感じた。

次回

『毛皮を着たヴィーナス』餅

 


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