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そもそも労働って何?

2005-10-30 22:21:31 | 哲学・思想
 ここ数日、体調を崩したので、体を労わっていた。
 日本語では、中古・上代では、「悩み」は精神的苦痛のみならず肉体的苦痛も意味した。
 今でも、精神的な悩みは、肉体的な悩みにも通じている。肩こりがひどくなって、腕や手首まで痛んだこともあった。それがひいたころには、喘息の発作がやってきた。

 薬を飲み、家で寝ていた。なるべく休むようにした。すると、いくつかの苦しみのピークをむかえたのち、静まった。

 労働とは、労わって働くことと書く。「いたわる」は大事にするということだ。「働く」は、動き回る、活発に動くという意味だ。

 いまどきの労働は、ちっとも自分自身を労わらない。かといって、他人をいたわるわけでもない。単なる苦行になっているみたいだ。どうして、いつからこうなってしまったのだろう? 自分や他人をいたわる働きは、再生産労働に一括されてしまった。人生が充実するような労わり、かつ働く行為は可能だろうか?

 20代~30代くらいの同世代を見渡すと、労働関係で体を壊している人が多い。勤務先の乗っ取りにまいって寝込んだり吐いたりする人がいる。人間関係の苦痛により過呼吸症候群になったりしている。長時間の神経の疲れる労働に昼休みからバテてしまい、毎日のように昼食をとれない職種の人たちもいる。
あるいは、ストレスで極端にやせるか太るかしていたりする。
 精神的な苦痛もある。人と5分おきくらいに携帯の電話かメールでつながらないと、イライラ・ソワソワして落ちつかない人もいる。アニメやゲームのオタク趣味が、生きる気力をつなぐ命綱になっている者さえいる。 

 それらはすべて、不適当な労働がもたらしたものだ。長時間の勤務、プライバシーの保障されない共同体ゆえの苦しみ、不安定な雇用と不安定な企業存続の生み出す体調と気分の不安定。睡眠不足。
 いったい誰が、子どもにこうしたことを真似させたいと願うだろう。子どもたちも、親の世代の自己破壊型労働を好ましく思わなくても当然だ。
 
 (1)タイの少数民族・アカ族の子どもは、「お母さんについて森のことを学びたい」と語るという。資源の管理や薬草の知識など、彼らの森についての知識は相当なものがあるという。(2)カナダでは、先住民が、サケなど水産資源の管理法を熟知しており、それは白人の方法より優れていると最近の科学的研究により判明している。
 明治維新以降、わたしたちは学校を作り会社を作り役所を作って、よくなったということにしてきた。しかし、それとひきかえに、大切な世界を壊してきたのも事実だ。
 今この世界で、人が豊かで幸せであるための労働とは、そして将来労働をするための教育とは、いったいどのようなものだろうか? わたしたちはまだそれをつかんでいない。ということは、これからよく働き、よく学ぶ可能性もあるということだ。

 日々の生活が苦しくとも、決してあきらめずに探してゆこうではないか。
 どんなマイナスのなかにもプラスが、どんなプラスのなかにもマイナスが含まれている。肉体や精神の痛み・悩みは、決して無意味ではない。
 不思議にも、美しいものを作り出す原動力にもなりうる。泥沼の中には蓮の花が咲き、水鳥の群れは優美に泳いでゆく。秋には夕焼けを背景に赤とんぼが飛び交うだろう。水面には紅葉が散っている。
 
 未来に確かな約束は、ない。だからこそ、そこに向かってゆける。約束の地も約束の時もない。それでも人生は続く。他人も自分も信じられない状態から、それでも信頼できるものができれば、より強固な信頼が芽生える。絶望から希望は生まれる。
 
 ならば、現代に可能なよき労働をあきらめまい。その再生産である学習も。

 自宅で体を労わりながら、そんなことを考えた次第だ。

(1)講座 人間と環境 第一巻 自然は誰のものかーー「コモンズの悲劇」を超えて  福井 数義  秋道 智ヤ  田中 耕治 編 昭和堂1999 216P 総合討論(秋道 智ヤ 岩崎・グッドマン・まさみ 熊本 一基 佐伯 弘次 田中 耕治 野中 健一 葉山 アツ子 福井 勝義 宮路 淳子 鬼頭 秀一 山田 勇 家中 茂)のなかの福井の発言「たとえば、北タイの少数民族であるアカの人たちの調査で、少女に大きくなったときの夢を聞いたら、『お母さんから森の知識を受け継ぐことだ』と言う。それくらいかれらの森の知識は豊富です。そこへ国やNGOが『地球に緑を』ということで、焼畑の休閑林の若いところなんか荒廃農用地にみえるからマツを植えてしまう。結局、住民が使えなくなる。」
(2)同上書 81-82p岩崎・グッドマン・まさみ サケ資源減少とナムギースの人々 「新しいサケ漁管理法は専門教育を受けた漁業管理者によって導入された方法であり、その結果、サケ資源の減少を招いたことは明らかに先住民族の漁業の経験と知識が勝っていたことを証明していると指摘している。」
 

 

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2 コメント

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おひさしぶりです (shiro)
2006-03-20 22:48:44
お元気ですか?久々に、今働いている職場で感じている事を書きました。働くとは?ということを少し書いています。また感想お聞かせください。
うれしい! (ワタリ@管理人)
2006-03-21 23:32:45
shiroさん、久しぶりにこうしてお話できてとてもうれしいです\(^o^)/。トラックバックありがとうございます。



ちょっと今日はもうダメなので、今度そちらのブログにコメントさせてください<(_ _)>。