日本小唄
これは、祇園小唄のパロディです。
著作権法改正は、youtube規制のほかにも、こうしたパロディ抵抗楽曲や、抵抗ポスターなどをつぶしたいのでしょう。
元歌の祇園小唄については、meihinaさんという舞妓さんが踊っておられる画像・音声のリンクを参照。(← Fumiyaという芸妓さんの三味線と唄もなかなかいいです。純粋にクラシックな日本音楽風に編曲して弾いてらっしゃいます!)
↓ 祇園小唄
http://www.youtube.com/watch?v=FRPRWZLXlI4
1.
筆で署名の 条約に
月の夜空の 議事堂に
人は集まり 抗議して
首相の私邸 取り囲み
日本 恋しや 請願デモの国よ
2・
夏はお堀の 水やせて
ジグザグデモの 行列は
車の流れ せきとめて
燃えて身を焼く 安田講堂
日本 恋しや 若衆の国よ
3.
三島先生 イヤ 三島さん
学生さんと さしむかい
連帯できず むせび泣き
晴れて身を散る 市ヶ谷の
日本 恋しや 防衛庁の国よ
4.
雪はしとしと 議事堂へ
キャンドルの影 冷たくて
守れ 憲法 教基法
生存権の 川千鳥
日本 恋しや 自由の国よ
<解説>もともと祇園小唄は、祇園・京都の四季と、悲恋を描いたであろう作品です。
映画のBGMとして作成されたのち、いろいろな振りつけで踊られ、またさまざまな編曲で演奏されています。
分かりにくそうなところに説明をつけていきます。
1.
>筆で署名の条約に
1960年、アイゼンハワー大統領と岸首相が、日米安保条約に調印したときのひとこまです。当時の岸首相が筆を使って純日本式の署名をしているところをアイゼンハワー大統領が興味深そうに見つめています。
>月の夜空の 議事堂に
夜を徹して、日米安保条約に反対する人たちが国会議事堂前でデモをやっていました。
>首相の私邸 取り囲み
当時の岸首相の私邸をもデモ隊は取り囲みました。そこにまだ小さかった今日の安倍首相がいました。
2.
>燃えて身を焼く 安田講堂
1960年代おわり、東京大学の安田講堂に学生たちがたてこもった事件のことです。これを元唄の「大文字」の送り火と入れ替えました。
3.
>三島先生 イヤ 三島さん
東大全共闘が、三島さんとの対話集会で、はじめはいつものクセで「三島先生」と言ってしまう。その後すぐに「じゃなくて、三島さん」と言い直す。三島 由紀夫も周囲の学生たちもほほえましく笑っている。その権威主義に抵抗する姿勢を日本に根づくべき「リベラルの伝統(丸山 真男)」として唄いこみました。
>学生さんと さしむかい
東大全共闘vs三島 由紀夫のことです。
>連帯できず むせび泣き
もしも東大全共闘が「天皇陛下万歳」を叫べば三島は全共闘と連帯する予定でした。
だけどムリでした。
>晴れて身を散る 世田谷の
三島 由紀夫さんが世田谷にある防衛庁で演説し、自刀されたことを意味します。
>日本恋しや 防衛庁の国よ
今では伝説となった三島さんの腹切り。これも立派な日本の伝統になっています。
防衛庁を防衛省に変えることは、この歴史的記憶への侮辱なのです。日本の歴史・伝統を愛するならば、許してはならない蛮行ではないでしょうか。
なお、この3番の歌詞は、三島さんと学生さんとの悲恋を暗示するものにも受け取れます。とりわけ、>連帯 を恋愛と発音すれば、そうなります。
これは、80年代に花開いた日本のオタク文化の一つ、「ヤオイ」というジャンルに当たります(笑)。
こうした日本のおおらかな性規範は大切にしたいものです。
4.
>生存権の 川千鳥
>川千鳥は冬の季語。若い人たち、それにまるでこの世に新しく生まれてくることをストライキしているようなこれからやってくる新しい命たち。
まさに生存権にとって厳しい冬が今の時代をおおっています。
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