エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

台風一過で、無雪期の北漁山(1129m)

2017年09月19日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
カウントしていない1000m超峰の山・・・
台風一過で無雪期の 北漁山 (1129m)
■ 山 行 日     2017年9月19日 (火)    日帰り
■ ル ー ト     北西側の林道ルート
■ メ ン バ ー      夫婦登山 №18
■ 登 山 形 態      林道歩き&藪漕ぎ(ピン長靴)
■ 地 形 図     1/25000地形図  「札幌岳」
■ 三角点・点名    三等三角点  点名「北漁(山) キタイザリ」
■ コースタイム    登り 1時間45分    下り 1時間20分
<登り>
09:55   空沼6号作業道出合出発
10:45   北漁山 C980西斜面取付き
11:40   北漁山頂上

<下り>
11:55   下山開始
12:25   C980出合
13:15   P



一部ですが、辿ったルート図です

★ 不謹慎か?台風一過の山登り・・・
18日は、日本を縦断する大型の台風18号が北海道にも上陸し各地に大きな被害をあたえていた。
わが街も朝から雨が降り出し徐々に風も強まって台風が近付いている事が実感出来た。
交通機関も乱れ飛行機やJRも運休が相次ぎ、「不急不要の外出は控えるように・・」と
テレビでも注意を呼び掛けていた。

そんな日、私たちの予定は「札幌ドームでのファイターズ戦を応援」する日だった。
いつもの観戦スタイルは、車で札幌まで走りある場所に駐車。地下鉄かシャトルバスでドームまで
たらふく生ビールを飲んで応援、最後はホテルハイエースの車中泊である。
しかし、翌19日は台風一過で晴れ予報もあり車中泊すると山はパスの公算が大きかった。

悩んだ末・・・
今年初だったドーム観戦は中止し、一日中家の中で台風を見守りテレビでファイターズ戦を応援
する事になった。その間、不安ながらも19日の計画を立て「北漁山」を検討していた。

台風が過ぎ去るも被害の出た地域がニュースで流れる・・・。
何も被害なく無事過ごす事の出来たわが家にとって、被害のニュースは他人事のように忘れ去り
登山の計画を進めていたが、これって不謹慎な行動なのではと疑心暗鬼になる。
でも、結論は「登山決行」を選んだ。


★ 無雪期の北漁山情報・・・
ほんと偶然だった。
たまたま岳友Tさんのブログを見ていた時、北漁山の記録がアップされていた。
北漁山って無雪期に登れるんだ!と興味津々に紀行文を食い入るように何度も読み返した。
頂上近くまで延びている林道を利用していて、歩くのは登り2時間程度、下りも1時間30分の
ようだった。これなら私たちでも行けそう・・・と気持ちが高揚してきたが、林道利用のルートが
分からず、直接問合わせる事にした。そして、納得。準備は整った。



登山口となる作業道入口の前に駐車する。ここまで17.8キロ林道を走った。


鬱蒼としたように見えるが笹が被っているのは一部でその後は非常に快適の道路だった。

★ 北海道の山々・・・
北海道の山々と言えば、昨年8月1594座に及ぶ全山を登頂した故・児玉保則氏を思い出す。
彼の記録は、今後も前人未到・揺るがぬ大記録だと思うが、そこに至る苦労話もよく本人から聞いていた。
登山道のある山は2割程度しかなく、他の多くは林道や作業道を利用し沢を詰め藪を漕いだり
積雪期の道なき道を辿って登頂に及ぶ方法しかない。

多くの管理された林道出合には、ゲートが設置され施錠されている所がほとんどだ。
目指す山に登るためには、その林道に立入る事になるとすれば色々なご意見もあるだろう。
敢えて言及する事は避けるが、多くの登山愛好家はそうした制限を理解した上で「自己責任」
とか「安全に憂慮して」と言って利用させて頂いている現状は否めない。

繰り返しになるが、「善」か「悪」かの議論をするつもりは無い。
北海道の山事情・・・今回のようなケースは稀な事ではないと私は思う。





こんな感じの道が最後まで続く・・・

★ いよいよ核心部のアタックへ・・・
鍵の掛かっていない林道ゲートを通過し、ピークに最も近いところまで車で入る事が出来た。
迷路のような林道をGPSを使って約18キロ、約1時間を要して辿り着いた。
ここからは車が入れない狭い作業道が続き歩く事になる。その距離は約3キロだった。
ほとんど高低差の無い整備された作業道だが、ここでもGPS無しでは迷いそうな分岐が幾つか出て来る。

登りで約50分掛かったがハイキング気分で歩けた。
駐車地点の標高は約820mで作業道の終点とした場所は約980m。
3キロで僅か170mした登っていないのでその勾配は想像出来るだろう・・。

北漁山の標高は1129mなので標高差は150m程しかない。直線距離でも250mも無いのだ。
まず、ここまで楽をしてこの山に近付けるとは改めて驚かされるし、このルートを考えた人は凄いと思った。

さて、ここからが核心部。
取付きは北漁山の西斜面だが、微妙に複雑な地形と鬱蒼とした藪山の世界だ。
ルート取りをミスると大きなアルバイトを科せられるから慎重にならざる負えない。
幸い藪の取付き場所らしき所にピンテが付けられていた。そこを侵入すると沢形となり
僅かに水流もあるところだった。地図とコンパス更にGPSを駆使してその沢形を少し辿り
ピークへ直登するポイントを探した。その最終場所は広い湿地帯になっていて、頂上から
真西の良きポイントと判断しここから藪の直登を挑む事にした。標高差は僅か130mだ。
急斜面だが最初は灌木帯を縫うように登り、後に背丈ほどの笹に突入となる。
ピンテを頻繁に付けながら徐々に高度を稼ぐと上部が明るくなって来てピークが近いと分かる。
そして、頂上直下の小さなテラス上に辿り着くとT氏のブログにも載っていた大きな瘤を持つ木と
対面し目の前には頂上らしき高みがあった。


11:40 初登頂である。
駐車地点から登り約1時間45分。
アタック開始からだと55分掛かったが、これだけ楽をしてこの山に登れるとは罪なのかも知れない。
昨日の台風が嘘のように天候が回復し、遠望は出来なかったが本峰漁岳の方向や北西3.5キロに
位置する懐かしい「狭薄山」を望むことが出来て満足の一言である。



たまには被写体の私・・・西斜面を50mほど登ったところ




頂上直下にあった大きな瘤を持つ木・・・


チーヤンが先頭でピークを踏む・・


三等三角点 「北漁 キタイザリ」に到着


三角点とチーヤン


頂上南陵は狭く崖状に見える・・・


上空は雲で遠望が出来なかったが、南東方向に本峰と言える漁岳がある


北西約3.5キロに位置する「狭薄岳1296m」


9/19 初登頂 北漁山1129m 頂上にて・・・真新しい赤い布が枝に付けられていた(写真左)


下山して取付きポイントになった広い湿地帯で一枚・・・

★ 幸運もやっぱりドキドキの一日・・・
下りは、ピンテを回収しながら約30分で作業道に出合い、3キロをひたすら歩いて車に戻った。
不安定な気象の中、幸いにも行動中雨に当たる事はなかった。
車に乗り再び林道を引き返す時どこか後ろめたい罪悪感は隠せずドキドキしながら運転する。
ゲートを通過した時、ようやく大きな安堵感と「やったー!」と歓喜の声を心で叫んだ。

積雪期しか登れないと思っていた山に、無雪期にしかもこれほど楽に登れたのは岳友T氏の情報が
あればこそである。そのT氏も同行したリーダーが十分に下調べをしてくれたので登れたと言って
いたので改めてその方に感謝したい。

また、残念ながらこの山の登行に関し、全てを公開する事は控えたいと思うのでご理解願いたい。


※ カウントしていない1000m超峰について
エバ夫婦が目指している北海道の山1000m超峰の中にはこの北漁山はカウントしていない。
その基準はひとそれぞれなのだが、基本的に1/25000地形図に山名が載っている事。
山名が載っていなくても登山界でメジャーとなり点名などが山名として呼ばれている山をカウントしている。
現在439座としているが、北漁山も地形図には山名が無く、点名の北漁が山名として呼ばれているようだ。

しかし、登山界の中に於いて私の知る限りこの山を目指す愛好家やその情報も少ない。
積雪期の登頂記録は幾つか目にしたことはあるが、私が教本としている八谷和彦氏著書の
「ガイドブックにない北海道の山々」でも北漁山の存在を知りつつ1000m超峰の山としては
カウントしていなかった。(因みに北海道全山を制した児玉氏はカウントしている・・)

まだ自分が知らない山の中にこうした1000m超峰が現れたら新たなカウントも必要になるかも
知れないし、北漁山も後にカウントするかも知れない。







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