超級龍熱

香港功夫映画と共に

THIS IS 甄子丹(102) 飯星景子、ドニー・イェンを語る!③ “いまフォースと共に”編

2017-03-04 14:28:10 | THIS IS 甄子丹
ーでは「レジェンド・オブ・フィスト怒りの鉄拳」(10)。

飯星 私は映画の最初のシーンにビックリしちゃって。まさかあんな始まりだとは思っていなかったし、まして私はドラマ版「精武門」が好きだから、ドニーさん演じる陳眞にはかなり思い入れがあるわけですよ。その陳眞がいきなり“1人アーミー”みたいになってて(笑)、
ええっ?あなた1人でドイツ軍を制圧しちゃうの!?と。
映画自体のコンセプトもモダンな感じになってて違ってたし。私はあの時代のモダンな感じが好きだから嫌じゃなかったです。

ーええっと、あのドニー兄貴のグリーン・ホーネットことカトーは如何ですか(苦笑)。

飯星 いやもう同人誌的な映画だと思えば(笑)。だからドニーさんの可愛いところは本人がやりたい事をやる人なんですよ(笑)。
呉宇森の銃撃戦をやりたいと思ったら「COOL」の銃撃戦になるし、カトーをやりたいって思ったらこの「レジェンド~」になるわけでしょう。それでいいんです。

ー私からするとどうして「怒りの鉄拳」とカトーが関係あるのかなって部分が飲み込めなかったというか。

飯星 ドニーさんにとっては「ドラゴン怒りの鉄拳」っていう一つの作品だけに留まらなくて、ドニーさんとブルース・リーなんですよ。
映画の題名に「~怒りの鉄拳」ってついてますけど、ドニーさんにとってこの映画の本当の題名は「ブルース・リー」。

ー「フィスト~」の本当の題名は「俺のブルース・リー」!(笑)。

飯星 そう(笑)。「俺のブルース・リー:同人誌編」みたいな(笑)。もうこれはしょうがないんですよ。

ー判りました(笑)。では「処刑剣 14BLADES」(10)は如何ですか。これは邵氏公司で魯俊谷が撮った「錦衣衛」(84)のリメイクになりますが。

飯星 オリジナルは梁家仁が主役でした。あとこのリメイク版の見せ場はドニーさんの入浴シーンがありました(笑)。

ー(笑)。では「最強囍事」(11)。

飯星 これは面白いですよ。「イップマン」のセルフパロディーがあるんです。道場の黒帯10人のシーンのパロディで、コスメ販売員役のドニーさんが10人の女性に囲まれてその女性たちに「パタパタパタ!」ってお化粧していくんです(笑)。そこが見所です。
香港映画の俳優さんって自分の映画のセルフパロディする人が多いじゃないですか。そのセルフパロディが出来るって事はヒット映画があるスターじゃないと出来ないわけで。
だから私はこの「最強囍事」のドニーさんを観た時に「嗚呼、ドニーさん、こんなパロディが出来るような代表作があるスターになったんだぁ!」って、そこが一番嬉しかったなぁ。

ーいや仰る通りだと思います。では「三国志英雄伝:関羽」(11)。

飯星 この映画はとにかく曹操役の姜文がとにかくメチャクチャ良いんです!私は姜文は中国の俳優さんで5本の指に入るぐらい大好きな俳優さんなんですけど、ドニーさんとはこの後に「ローグワン」で一緒になるわけだから、2人は不思議なご縁があるなぁって。

ーこの映画ではドニー関羽と安志杰が馬上で狭い路地で激しく闘うシーンが印象的でしたが。

飯星 それまで民国時代はありましたけど、古装片のアクション監督は初めてだったわけで、私はドニーさんが古装片でどんなアクションを作るのか、そこにメチャクチャ期待してたんですね。だからあのvs安志杰戦を観て「やっぱりドニー・イェンっていうアクション監督は本当に才能がある!」って思いました。
特にドニー関羽が走りながら青龍偃月刀で路地の上の瓦を飛ばしまくると、それが背後の安志杰の行方をさえぎる。要するに自分に追いつかれないために。
もうこのシーンを観た時に「ドニーさんって天才かも」って思いました(笑)。まあここでアクションして欲しい!って場面でアクションが無かったり、ちょっと最後の最後が・・・きっと時間がなかったのかなぁって感じもあるんだけど。

ーではいよいよ次は飯星さんの大好きな「捜査官X」(11)です!

飯星 大好きです!たぶんドニーさんの作品で一番好きです。

ー私たちの世代にとってこの「捜査官X」は、とにかく“天皇巨星”王羽の久々の映画出演が最大のインパクトで、それもカメオ出演だと思ったらガッチリとフル出演で大暴れしてて。ただジミーはもう殆ど妖怪みたいでしたね(苦笑)。

飯星 判る、判る(笑)。でもジミーさん、怖かったなぁ(恐)。私はもうドニーさんの映画であんなに色々と考えた映画はなかったです。
まず何故原題が「武侠」になったんだろう?って。谷垣さんも原稿やコメンタリーで触れられてましたけど、彼らはクンフー映画を作ろうと思ってアクションを作っていたと思うんです。それがいきなり題名が「武侠」になっちゃってるでしょう?
確かに江湖っぽい話だし、武侠っぽい舞台だし、武侠っぽい因縁なんだけど、映画の中のアクションはクンフーなわけでしょう?なのに題名が「武侠」なのに私は混乱したんですね。
私「捜査官X」は香港版DVDで初めて観たんですけど、もう「武侠」って題名なのは判って観てるから「うううううう」みたいな。
もうその題名の事だけで何日も考えて、メモをバ~ッて凄い勢いで書いて、それをブログにアップしようと思ったんだけど、急に載せない方がいいなと思って2ヶ月ぐらい寝かせてたんですよ。それぐらい色々な事を考えた作品でした。

ーこの「武侠」という題名に一番影響力があった人間は監督の陳可辛だと思うですけど、陳可辛の父親は陳銅民という映画監督で、陳銅民は「孫文の義士団」のオリジナル作品に当たる「赤膽好漢」(74)を撮っている人なんです。なのでその息子の陳可辛としては自分の父親の事とか彼なりに思い入れがあった上でこの題名「武侠」なのかも知れません。

飯星 それがあるのかぁ。ドニーさんと恵英紅が納屋で闘うシーンでドニーさんが使う技は洪家拳の豹拳なんですね。それと父親役のジミーもそうなので、父親直伝の設定だと思うんですよ。
谷垣さんも仰ってましたけど自分たちはクンフー映画を作るつもりで構成して来たし、実際のコレオグラフィーもそうやって来たけど、いきなり題名は「武侠」と言われて「えっ!?」ってかなり戸惑ったそうですよ(笑)。
それは私も同じで、この「武侠」って題名には2ヶ月ぐらい放心していましたから。

ーそうだったんですね。で、この映画のラストなんですが、結局はドニー兄貴も金城武も直接ジミーを倒せなくて、自然の力(落雷)を借りてやっとジミーが倒される。この決着は私たちジミー信者からすると妙に納得と言うか、嬉しかったと言うか(苦笑)。

飯星 私は最初は脱力しちゃって(笑)。えっ?こんな決着なの?みたいな。でもよく考えれば、憎しみの連鎖はああいった事故でないと断ち切れなかった。あのカワイイ家族の為にはあれしかなかった。
こんなに深く考えたクンフー映画ってなかったし、こんなに深く考えたドニーさんの映画ってなかったです。

ーだから邦題が「捜査官X」なんです。私たちにそこまで捜査させて、考えさせるから(笑)。

飯星 あ、そうかぁ(笑)。それとあの王羽と恵英紅っていう往年の武打星2人にまたアクションをさせたっていうのがね。
ジミーさんは13年映画に出てなかったけど、恵紅英はそれなりに色々出てて賞も取ってる人でしたが、実は恵英紅の十三娘は最初は女性じゃなくて男性の設定だったそうですよ。それをドニーさんが「この役は恵英紅でいこう!」って代えたそうです。

ーそれは知りませんでした。でも恵英紅は鬼気迫る快演というか、素晴らしかったですね。

飯星 絶対正解だったと思います。誰よりもあの恵英紅は素晴らしかったですね。

ーでは飯星さんにとって「捜査官X」は「導火線」と同じくらい好きなんですね。

飯星 ベクトルは全然違いますけど。アクションシーンだけでいえば「導火線」なんだけど、映画としてのクオリティーとか、作品としての持っている世界観を含めて総合的に言うと「捜査官X」のほうが好きですね。

ーそういえば「捜査官X」の終盤で、ジミーがドニー兄貴との一騎打ちのシーンで「なあ、ここはやっぱり俺も片腕になったほうがいいだろう?」って言いだして、現場の陳可辛を困らせたらしいですね(苦笑)。

飯星 何でですか!(笑)。ああ~、ジミーさん、自分も片腕になりたかったんですね。

ーやっぱり元祖片腕ドラゴンですから(笑)。それでは「八星抱喜」(12)は如何ですか。

飯星 これは沖縄の国際映画祭で上映したので、沖縄に行って観ました(アッサリ)。

ーこ、この映画を観るためだけに沖縄まで行かれたんですね(汗)。

飯星 んん?沖縄なんて近いじゃないですか。ドニーさんが売れないロック歌手で、ギター弾いて歌ってます。しかも2曲!・・・いや3曲でした。楽しくって如何にもお正月映画って感じでした。
喋ると長くなるので、細かいネタは私のブログをご覧ください、としか言いようがない(笑)。

ーでは「在一起」(13)はどうですか。

飯星 これも香港のブルーレイを観ました。これもアクションはないんですけど、台湾映画「あの頃、君を追いかけた」(11)という映画に出てた陳妍希がドニーさんの相手役でラブロマンス映画です。
私さっきからドニーさんの映画のキャラって性格が破綻してるのが多いって言ってますけど(笑)、私が全てのドニーさんの映画の中で一番嫌いなドニーさんの役がこの映画です。

ーむむむ、そうお聞きすると、逆に観たくなりますね。

飯星 この映画をまだ観てない人に話すとネタバレになっちゃうんですけど、ドニーさんが演じる役が「笑えない奇病」の男でも、そのお相手の陳妍希が「1日しか記憶を持てない病気」でも、2人がどう見ても親戚の叔父さんと姪にしか見えなくても百歩譲って構わないけど、その新しい女性に惚れたからって、元カノである周秀娜を振るそのやり方と態度がダメでした。これはかなりムカつく男です。
これと比べたら、勘違いで容疑者でもない男をボコボコにする暴力刑事の方がまだ笑える。
素敵なシーンもあったしキャラが白バイ隊員なので、その制服姿が満点なだけにかなり悔やまれます。当然興収は散々でした(笑)。

ーなるほどぉ。では「スペシャルID/特殊身分」(13)ですが、飯星さんはご自身のブログでこの映画のドニー兄貴と趙文卓の一連のゴタゴタをかなり細かくリポートされていました。
なので、ここで改めて何がどうなってどうなったのか、掻い摘んでお話頂けますか?

飯星 趙文卓というより、檀冰監督かなぁ。ただここで話すと長くなるし、中途半端に伝わってしまうのは本意ではないので、どうしても知りたい方は、申し訳ありません。私のブログをご覧ください、とまた言うしかないかもしれません。

ー確かにそうですね。ではこの「特殊身分」のトラブルに関しては飯星さんのブログ「ケイコママのバクダン酒場」のこちらにGO!です→ http://www.bakusaka.net/?p=5791
恐らく「特殊身分」のトラブルに関して日本で一番詳しいブログだと思います。

飯星 私はこの「特殊身分」の騒動に余りにも入れ込み過ぎてたんで、とりあえず他人の評価を先に聞いたりする前に自分の目でこの映画を確かめたいという一心で封切り直後に香港に飛んだのが、香港へ映画を観に行くようになったきっかけです。

ードニー兄貴の映画を観るために香港に行く。いわゆる“密航”のスタートですね(笑)。

飯星 密航(笑)、はい、そうですね(笑)。もうこれは香港の封切りと同時に観ないと駄目だ!と思ったし、映画の出来が良いか悪いかとか自分で観ないと判断出来ないでしょう?
映画の内容的にはちょっと困ったなってところもありますけど、そこは香港映画だし~、と甘甘です(笑)。でもアクションシーンは本当に気に入ったんですよ。
趙文卓の代わりに出た安志杰にとっても今まで経験した事ないようなアクションシーンだったと思うし。しっかりリミッターが外れていましたよね。

ー飯星さん、ご自分のブログでドニー兄貴と安志杰の激闘で「アンディの財布が飛んでる!」って細かいチェックが入ってましたねえ(笑)。

飯星 もう細かいところが好きなんですよぉ(笑)。財布が飛んでるの!ああいう細かい事するのが好きなのがドニーさんなんですよねえ。でもアクション映画で財布飛ばす事って余りないんですよ。もしかしたらアクション映画初かも。
あと足を掴まれたままこう蹈鞴を踏むとことか、もう私から見たら「うわぁ、ドニーさん、また世界を一歩リードした!」って思ったんですね。
それが観れただけでもわざわざ香港に行って観て良かったです。
一度やるとハードルが低くなっちゃって、それからは新作を早いうちに現地で観るようになっちゃった(笑)。

ー密航が恒例に(笑)。では「モンキー・マジック 孫悟空誕生」(14)ですが。

飯星 はい、猿でした。猿、猿、猿、猿!そう猿以外の感想はないです(キッパリ)。

ー(笑)。飯星さんはブログで続編「孫悟空と白骨婦人」(16)は面白い、と書かれてましたね。

飯星 映画としては続編の方が面白いですよ。でもドニーさんの孫悟空、可愛いじゃないですか~!もう私はこの辺りからある意味ドニーさんが何をやってもいい領域に入っっちゃったんで、猿だからいいです(笑)。

ー判りました(笑)。では「金雞SSS」(14)。

飯星 これは「モンキー・マジック」と同時期公開だったので、現地で観ました。呉君如が主演のお下劣正月映画です。ドニーさんは映画の頭の導入部分に葉問師父でカメオ出演。
もうほんのチョッピリの出演で本編にも関係なく、夢シーンみたいな「ポワポワポワ~ン♪」って感じで出てくるだけです。

ー次の「アイスマン」(14)は元彪&元華主演「タイムソルジャース/愛は時空を超えて」(89)のリメイクですが、この映画から近年のドニー兄貴の好敵手的存在になっている王寶強が出演しています。

飯星 「アイスマン」はね・・・変な映画です(笑)。この映画の話を最初に聞いたのはかなり前に谷垣さんから聞きました。
それを聞いて元彪版が大好きだったのでかなり期待してたんですけど、どうもドニーさんは袁和平の弟子なのでコメディセンスが師匠にソックリで、その悪い面が出ちゃったらしくて「嘘、そっちいくの?」みたいな映画になっちゃってて(苦笑)。これは、ドニーさんの小学生男子ぶりを愛でる作品です。

ーでは「カンフージャングル」(14)。この映画のドニー兄貴vs王寶強の路上バトルは先日公開された「トリプルX:再起動」(16)にも影響を受けたようなシーンが出てきます。

飯星 あのドニーさんと王寶強の対決シーンは私の中では経典になりましたね。王寶強は素晴らしいポテンシャルの持ち主です。よくぞあそこまで厳しい撮影に着いて来たと感激しました。
この映画のドニーさんも、自分が演じるキャラの感情やその人物の心の移り変わりがコブシだけじゃなくて口許だとか目の皺だとかを通してアクションシーンに出てくる感じで。
もうドニーさんは“アクション映画界のロバート・デ・ニーロ”と言ってもいいくらい凄い演技派だと思うんですよ。それをまた感じた映画でしたね。

ードニー兄貴が演技をしている時の表情ではなくて、ドニー兄貴がアクションしている時の演技、表現力を飯星さんは仰っているわけですね。

飯星 それはドニーさんが世界のアクションスターの中でトップクラスだと思います!これは間違いないと思います。
それは映画の役柄によってアクションのスタイルをあれだけ変えられる事も含めてドニーさんが世界一だと思うし、もうドニーさんはアクション映画界では何回も主演男優賞を取ってもいいと思うんですけど。

ーもしかしたら、私たちはこの「カンフージャングル」辺りからドニー・イェンという武打星の絶頂期を目撃しているのかも知れませんね。

飯星 仰る通りですよ!武打星としてのドニーさんとアクション監督としてのドニーさんもかなりの成熟度だと思いますし、それを私たちは今まさに目撃しているんではないでしょうか。

ーでは「浮華宴」(15)はどうでしょう。

飯星 これは映画の最後の方にパーティーのシーンがあって、赤いスーツを着たドニーさんが1人四役で実際に歌っています。
クリント・イーストウッドが監督した「ジャージー・ボーイズ」(14)って映画のパロディーですね。

ーそれではいよいよここまで来ました。「イップマン継承」(15)です。

飯星 これは素晴らしい映画体験でしたね!最初に観たのは香港の劇場でした。

ーあ、そうでしたね。香港で「イップマン継承」が封切りとなった時に、私は「~継承」観たいけどまだ観れない。もしかしたら飯星景子さんが香港で観て来て映画の報告をしてくれるんじゃないかなー?と私がブログに書いたら、それを読んでいてくれた飯星さんが帰国して「観て来ました!」とすぐコメントを入れてくれた、という嬉しい思い出がある映画です。

飯星 あぁ、そうでした(笑)。香港の劇場で封切りした週末に観たんですけど、素晴らしい体験でした。劇場はどの回も満席で、一番前の列からお客さんでギッシリでした。
ありとあらゆる年代のお客さんが観に来てて、私は「イップマン」シリーズを香港で観るのは初めてだったんですが「この映画は香港の人にこんなに愛されているんだ」ってよーくわかりました。それを体験出来たのが一番嬉しかった。
香港のお客さんって基本ノリが良くて「アイスマン」とか「特殊身分」を観ていても笑っちゃう人たちですから(笑)。どれくらいこの映画へのノリが良かったか想像できるでしょ?

ー映画の最初に李小龍役の陳国坤が出てくるシーンのお客さんの反応はどうなんでしょう?

飯星 どよめいてました(笑)。私は封切られてから早い時期に観に行ってたから、お客さんもダニー李小龍が出るのは知っててもどこに出て来るかは知らないんですね。
「ここで李小龍が出てくるのか~!」って。もう劇場中がどよめいてました。

ードニー葉問vsマイク・タイソンの対決シーンは如何でしたか?

飯星 あのシーンのお客さんの反応はちょっと違ってて、タイソンが「3分勝負だ!」とかの台詞を広東語で喋るシーンで受けてました。もちろんアクションは固唾飲んでた。

ーこの「イップマン継承」で私が一番好きなファイトシーンはエレベーターの中でのドニー葉問vsムエタイ拳士(サラット・カアンウィライ)戦なんですが。

飯星 私も。ドニー葉問の一番カッコイイところを凝縮させた闘いであり、同時に大変ロマンチックなラヴシーンでもありました。
あと自分のブログにも書いたんですけど、川井憲次さんの音楽が素晴らしくて、前作のマエストロのテーマを上手く挿入したりしてて、そこも素敵でした。

ー「イップマン序章」、「イップマン葉問」、そして「イップマン継承」と来て、飯星さんの中でこの「~継承」はどんな位置付けになりますか?

飯星 多分「イップマン4」を撮ると思いますが、私にはこの「イップマン継承」がある意味最高の完結編です。
私はドニー葉問が好きですから「イップマン4」が観れたら嬉しいし喜んで待ちたいと思いますけど、私にとってはこの「~継承」を香港で観たという素晴らしい映画体験と共に「イップマン」シリーズは「~継承」で完結している、そんな気持ちです。

ーでは「グリーン・デスティニー」続編の「ソード・オブ・デスティニー」(16)。私は飯星さんのブログでこの映画がネット配信されるとの情報を知って大喜びしました。

飯星 私はこの映画は中国に行ってIMAX3Dで観ました。その機会が持ててよかったです。やっぱりIMAX3Dで観たら全然違いました。
特に氷上の闘いのクオリティがコレオグラフィーも含め高かった。
あのシーンだけでお金を払う価値がありましたね。
監督が袁和平なので、前作の李安の作品世界とは切り離して、いわゆる武侠アクション映画として開き直って撮ったのが逆に良かったと思いますね。

ーいよいよ残り2作品となりましたが「スター・ウォーズ・ストーリー:ローグワン」(16)。

飯星 「ローグワン」は本当にドニーさんが出演できて良かったですし、ドニーさんのチアルート・イムウェも素晴らしい役でしたね。あのチアルートはドニーさんのために(脚本に)書かれた役でしょう。

ーチアルートのあの壮絶で感動的な最後は私も劇場でボロボロ泣きました。考えると、ちょうどこの映画が公開される時にドニー兄貴はハリウッドに手形を残す偉業を達成しました。これはブルース・リー本人が出来なかった事をハリウッドで足跡として残したのと、ジャッキー・チェンにも並んだという事で、文字通りドニー兄貴はハリウッドスターになったと思います。

飯星 私が「ローグワン」のチアルートで一番好きな台詞が「I have you」なんです。
ジン・アーソが雨の中をお父さんを探しに行くシーンで、その後をチアルートとベイズ(姜文)が追いかけて行くんですけど、ベイズがチアルートに「お前1人で行くのか?」って言うと、チアルートが「ジンについていく」って。
チアルートを行かせたくないベイズが「Good luck!」って言うと、それに対してチアルートが「I don`t need luck.I have you!(俺に運は必要ない。俺にはお前がいるからな!)」って答えるの。
このチアルートの台詞が一番ドニーさんらしくて、よくこんな台詞を書いてくれたなぁって。
例えば、ドニーさんについて私が谷垣さんのお話を聞いたり、他の方の書いた話を読んだりしていると、結局ドニーさんは自分のチームである谷垣さんたちや他の武師の皆さん、いわゆる甄家班の人たちに驚くほどの無茶ブリをしつつ「I have you!」って言い続けているわけですよ。
甄家班の皆さんはもちろん、谷垣さんにいたっては20年以上一緒にやって来てるわけです。私はそういうドニーさんに「よくこのような台詞をつけたなぁ!」って、そこに一番感激したんです。
この「I have you!」はチアルートとベイズの2人の固い関係を示す台詞ではあるんだけど、ドニーさんほど自分の周りの一緒に仕事をしている人たちやファンに向けて「I have you!」って言っている人はいないわけですよ。
そういう意味でこの「I have you!」はドニーさんらしい台詞だったと思いますね。

ー私も全く同感で、「ローグワン」のスタッフはよくぞこのチアルートのような素晴らしいキャラクターと台詞をドニー兄貴に与えてくれたと思います。

飯星 もう公開前から、無邪気に「フォースと共に!」って言いまくってましたけど(笑)。

ー最近のドニー兄貴は何かって言うと「フォースと共に!」ですから(笑)。でもこの「ローグワン」のドニー兄貴は、私たちドニー兄貴信者にとって本当に誇らしかったです(笑顔)。

飯星 うんうん!それ判ります。とっても、とっても誇らしかったです(笑顔)。

ーでは「甄子丹ムービー・ワンデーマラソン」のラスト、「トリプルX:再起動」(16)。

飯星 もうこの「ローグワン」から「トリプルX:再起動」連続公開の流れって神がかってますよ!もしかしたら「ローグワン」でドニーさんを初めてご覧になった方もいるわけでしょう。
そこでまた「トリプルX~」みたいな毛色の違ったアクションをこの短い期間で観られるなんて、何かもう「フォースに導かれて」ますね(笑)。

ーいや~ケイコママ、ワンデーマラソン見事完走です。ドニー・イェン研究家、飯星景子さん、アッパレでした!!

飯星 ありがとうございます!でもまさか本当にドニーさん映画を1本ずつ訊かれるとは(笑)。

以上、2017年2月17日、都内某所にて収録。


*ケイコママ×龍熱 「甄子丹ムービー~ワンデーマラソン」を終えて

ーいやお疲れ様でした!見事ワンデーマラソン、ゴールです!まさに前人未到、日本人でたった1人の偉業達成ですね。

飯星 そうなんですか!(笑)。たまたま私がこういう機会を頂けただけですから。でもドニーさんのアクションがないお正月映画なんて中々観る機会ないかも知れないですもんね。どなたかの役に立つといいですね。

ーこれで飯星さんはもう正真正銘のドニー・イェン研究家ですね。

飯星 だから、その呼び方やめなさいって!(笑)。でも龍熱さんもかなり物好きですよね(笑)。ここまで長時間のインタビューの分量をテープ起こしなさったってだけで尊敬します。信じられない。

ー実はこの「~ワンデーマラソン」は去年7月27日のドニー兄貴の誕生日に当ブログでやろうと思った企画なんですが、その一週間前のリーさんこと李小龍の追悼企画で私がパワーを使い切ってしまい泣く泣く断念していたんです。今回その私の無念を飯星さんが見事にゴールして晴らして下さいました!

飯星 ああ、そういうプロセスがあったんですね。でも私も楽しかったです。

ーでは最後になりましたが、飯星さんにとってドニー・イェンとはどんな存在なのかをお話頂けますか?

飯星 正直、好きなものに理由はないです。けど、あえて言葉にするなら、アクションスターとしての華やかさと派手さと、演じるアクションのバリエーションが世界一多いという唯一無二の個性。そして、アクション監督としてアクションを作る才能の豊かさがあります。
この部分に関して言えば、谷垣さんをはじめ色々な人、甄家班の皆さんの協力があってこそ出来る事だとは思います。
仕事上などで沢山の部下を使う立場になれば判ると思いますが、甄家班を引っ張っていってるのは間違いなくドニーさんです。
「I have you !」ですから(笑)。しかし、いくら誰がお手伝いしていても、誰がアイディアを出そうが、ダブルをうまく使おうが、ドニーさんがアクション監督の映画である限り、彼のスピリッツが宿っていれば、それは「ドニー・イェンのアクション」として捉えていいと思うんです。
大昔は主演兼アクション監督は沢山いらしたんですけど、今はそれが出来るスターって本当に限られていますよね。
香港出身でも、ジャッキーとつい最近主演映画を久々に作ったサモハン位ではないでしょうか。
そういう意味ではドニーさんは“最後の本格派”と呼ばれていますが、“最後の武打星兼アクション監督”って言い方も出来ると思います。
そしてもうひとつ、大きな魅力はドニーさんご本人のキャラクターが可愛らしいところ(笑)。完璧主義者かと思えば私生活でヌケてるとか。いまだに思ったことを素直に喋ってヤキモキさせるとか、ご家族を大事にしてるとか、ファンの愛に素直に反応しちゃうとか。
普段のドニーさん自体が見ていても飽きないし、楽しいなって。
だからドニーさんを見ていると元気になるんです。太陽みたいな人。そう、私にとってドニーさんを一言で言ったら太陽みたいな人、これですね。

ーだからこそ飯星さんにとって、ドニー兄貴は毎日の生活に欠かせないんですね。

飯星 そうなのかも(笑)。もう拝みたいぐらいです(笑顔)。

ー判りました(笑顔)。では飯星さんから「超級龍熱」の読者の皆さんにメッセージをお願いできますでしょうか。

飯星 はい。私がブログを書くと、すぐダラダラ長文になっちゃうのがダメなんですけど(笑)。元々私は映画を観た後に「この作品を観た人はどんな事を感じたんだろう?」と感想を検索する立場でした。
今はSNSの時代だから、無償でブログの長い文章を書く人って物凄く少なくなってるでしょう?SNSは大変魅力的なツールだけどその分流れてしまう速度も速い。
だからこそ、龍熱さんの「超級龍熱」をはじめブログを長くやってらっしゃる方々に、アップしたうんと後の時間差があっても知らない事を教えて貰えたからとてもありがたかったし、そのおかげでどんなに助かったかと感謝しています。
私は誰かのためにブログを始めたつもりはないんですけど、ドニーさんだけに絞れば、結果的に私がドニーさんの事を調べ始めたばかりの時に、もし今の私のブログを読んだら嬉しいだろうなという自己満足の為にやっている気もします。
だから私は自分のブログをあの頃の私に向けて書いているんだなって思う時があるんです。しかもオタク気質なんで、ちょっとやそっとの情報じゃ物足りない(笑)。
思い返せば、そんなモチベーションもこの「超級龍熱」を読む機会があったおかげでもあるので、本当に感謝していますし、きっとこの「超級龍熱」の更新を楽しみにしていらっしゃる方が多いと思うんですね。私をはじめ、アクション、そしてクンフーファンにとって実に有難いことです。しかもこれだけ長い間定期的に更新する事がどんなに大変かも自分がやってみてよく判ります。なので、1回でも多く、1日でも長く、ズッと続けて頂きたいなと心から願います。
最後に、今回このインタビューの機会を設けて頂いてあらためて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

ーこちらこそ今回このインタビューを快く受けて頂いてありがとうございました。素晴らしいインタビューでした。心から御礼申し上げます。
ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« THIS IS 甄子丹(101)飯星景... | トップ | 武田梨奈、いざ世界へ!ゆう... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございました (飯星景子)
2017-03-06 13:18:06
龍熱様

これだけの長時間のものを、こうしてまとめてくださって、さぞお手数だったと思います。心より感謝申し上げます。
思えば、イップマン継承の試写でお目にかかり、思い切りドニーさんのマニアックなお話をさせて頂いて、それがご縁でこうして3回にも渡るインタビューを掲載してもらえ、嬉しい限りです。
ありがとうございました。

若輩ものではありますが、今後ともどうかよろしくお願いいたします、先輩!

飯星景子
こちらこそありがとうございました。 (龍熱)
2017-03-06 17:30:33
飯星景子さん、

こんにちわ!
こちらこそ快くインタビューを受けて頂きありがとうございました。
インタビューでは飯星さんがご自身の映画人生を語られた後、ドニー兄貴の作品群を語る事で、結果としてドニー兄貴の波乱万丈の映画人生を語っています。本当に素晴らしいです。出来る事なら、このインタビューを翻訳してドニー兄貴に読ませてあげたいと思いました。まさに「THIS IS 甄子丹」100回突破記念に相応しいインタビューだと思います。改めてお疲れ様でした、そしてありがとうございました。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

THIS IS 甄子丹」カテゴリの最新記事