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香港功夫映画と共に

THIS IS 甄子丹(101)飯星景子、ドニー・イェンを語る!② “最後の本格派”編

2017-03-04 14:25:57 | THIS IS 甄子丹
ーでは本格的な海外進出作品となった「ハイランダー/最終戦士」(00)ですが。

飯星 これは話せば長いんですけど、「アイアンモンキー」をミラマックスが買って英語吹き替えにして音楽もSEも録り直して編集もしてアメリカの劇場で公開したんです。
その時にドニーさんもプロモーションでアメリカに行ってるんですけど、それが縁でミラマックスと契約して撮ったのがこの「ハイランダー」なんですね。
でもこの頃のハリウッドってまだ多様性もなくて、それこそアジア人にちゃんとした役をつける時代じゃなかったし、まあ動ける人だから主役と一緒に闘うシーンがあればいいな的にドニーさんを出演させたんじゃないんでしょうか。
あとドニーさんもこの前後にアメリカのロサンゼルスに帰って来るので、この頃のドニーさんはアメリカで仕事をされるつもりだったんじゃないんでしょうか。この「ハイランダー」のドニーさんはとてもきれいでカッコ良かった。
私から見て今とは違うドニーさんの美しい時期がこの「ハイランダー」なんです。あとこの映画でドニーさんが見せるスプリットキックは絶品です。そのためだけに私はこの「ハイランダー/最終戦士」のDVDを持っています(笑顔)。

ー素晴らしい決めコメントです(笑)。では「英雄/HERO」(02)ですが。

飯星 よく「ワンチャイ/天地大乱」とこの映画を比べて「~天地大乱」の方がいいよ、「英雄」なんてワイヤー使ってるから嫌いって言う方もいるんですが、私自身は武侠映画の「英雄」とクンフー映画の「~天地大乱」は基本違うと思っているので、「英雄」のワイヤーは全然OKなんですよ。

ーこの「英雄」はジェット・リーの推薦でドニー兄貴の出演が決まったそうで、ドニー兄貴はその事をとても喜んでいました。

飯星 「~天地大乱」の頃はお互いに若くて、まして同じ武術学校出身。ドニーさんはまだそれほどでもなかったけど、ジェットはもう「ワンチャイ」の頃はかなりの大スターでした。
そういう意味で「~天地大乱」の頃のドニーさんはジェットに対するライバル意識みたいなものがあったんじゃないか、と私は想像するんですね。
そのドニーさんのジェットに対する「負けるものか!」みたいな気持ちが緊張感となって「~天地大乱」では良い方に作用してたと思うんです。ドニーさんが中国のインタビューで言ってたんですけど、この作品では昔のライバル意識みたいなものは消えて、お互い「良い映画を撮るために、互いに力を尽くそう!」という気持ちになったそうです。その前向きな気持ちが良い形に働いてあの美しい決闘シーンになったんじゃないかと思います。

ー海外進出第2弾「ブレイド2」(02)は如何ですか。役名はスノーマンでした。

飯星 この頃はレンタルが多くて、観た順番は公開順でなくバラバラだったはずです。「ハイランダー」も「ブレイド」も両方シリーズとして観てたので、シリーズの新作として観たら「このカッコイイ東洋人は誰だ!?」と。例えドニー・イェンがどこの誰だか判らなくても彼の印象って強く残るんですよ。それは「ハイランダー」も一緒でした。
そこから私の中で「ドニー・イェン。この名前覚えておこう!」って思ったんですね。
で、この後ぐらいにドラマ「精武門」を観て「ドニー・イェン、キター!」って(笑)。
それからはもう「ドニー・イェン」って名前がシッカリ頭に刻まれて、この人は他のどんな映画に出てるのかしらって調べ始めて、そうだ、あの「ブレイド2」のスノーマンも、「ハイランダー」のジン・ケーも同じ人だとスルスルと繋がっていって。
すると、なんと「ワンチャイ/天地大乱」も「英雄」もドニーさんだったんだー!みたいな。
それからドニーさんの名前を憶えて、顔も覚えて、最終的に、私がそれまで点々と色々な作品で観て来たカッコイイあの俳優さんはみんな同一人物だったんだって判って、すっごく驚きました!!

ーそのようなプロセスで飯星さんの心にドニー兄貴が強く焼き付いていったんですね・・・。

飯星 思うんですけど、龍熱さんみたいにクンフー映画を色々ご存知で、それを頭の中で時系列で把握できる人ばかりじゃないと思うんです。私みたいに色々な作品を年代もバラバラに点々と覚えてて、のちにその俳優の事をきちんと調べてみたら、まるでジグソーパズルの最後のワンピースがピタッとハマった!って人が意外と多いんじゃないかと思うんですよね。

ーそれでは遂にジャッキー・チェンとの対戦となった「シャンハイ・ナイト」(03)です。ファンの間では公開版のジャッキーvsドニー兄貴よりも、DVDの特典で収録された別バージョンのジャッキーvsドニー兄貴の方が評価が高いんですけど。

飯星 そうですよね。別バージョンの方が対決シーンも長いですもんね。この映画のドニーさんは衣装も素敵で美しかったです。
ドニーさん、映画の中では自分の部下やジャッキーに語りかける時は北京語を喋ってるんですけど、観返してみると北京語がヘタクソなんですよ(笑)。今でもそんなに上手くはないようですけど、この「シャンハイ~」の頃に比べると俄然上手い。やっぱり今は北京語を喋る量が違うんでしょうね。
でもこの映画でドニーさんがジャッキーと闘っているってだけでそれが特別感あり過ぎで、その特別感は何物にも代えられないですね。

ーでは「戀情告急」(04)。

飯星、はい、香港盤を取り寄せました。これはドニーさんのアクションはないんですけどお正月映画です。
梁詠琪がヒロインで、その相手役が古天樂で、古天樂がちょっとケチンボで彼女にお金を使ってあげない優しくしてくれない時に、大富豪の御曹司が出て来て梁詠琪に恋しちゃうんだけど、その御曹司がドニーさんなの(笑)。
ドニーさんがピアノ弾いたりして、それを聴いてる梁詠琪が「ポア~ン♥」ってなったりする、そういう映画です(笑)。

ーいや~ドニー兄貴の映画全部観てますね(唖然)。ではジャッキーと再度の顔合わせとなった「花都大戦ツインズエフェクトⅡ」(04)。

飯星 これは「シャンハイ・ナイト」とは別の形で今度は槍とか武器を使った対戦でしたね。
とにかくジャッキーとファイトするなんて贅沢ですよね。それが再度観れたのはファンにとっては嬉しいことです。
ドニーさんだけに絞れば「ピッ」と眉の水滴を指で取るしぐさがセクシー。アクションだけでなくこのちょっとしたしぐさがドニー・イェンだなぁと感心します。
谷垣さんが以前書いておられたように、プレイバックモニター観ながら「俺ってアクションうまいなぁ」って呟いても許されます(笑)。

ーではドニー兄貴と劉家良共演となった「セブンソード」(05)。

飯星 私の第一印象は韓国の女優さんとベッドシーンがある。でもドニーさん、ベッドシーンはヘタクソなの(笑)。あとこの映画から音楽が川井憲次さんになっています。
徐克が川井さんの日本の作品を気に入って、是非「セブンソード」の音楽をってオファーを出したみたいですよ。で、ドニーさんも川井さんの素敵なスコアが気に入って、その後のドニーさんの映画も川井さんにお願いするように繋がっていったみたいです。
あと私は「セブンソード」を「SPL」の後に観たので、ドニーさんのアクションで「あ、飛びつき腕十字を出来るタイミングなのにいかないの!?」みたいな(笑)。
「セブンソード」は武侠映画だから剣劇がメインなんだけど、それでも“MMA猛爆”な現代アクションを先に観ちゃうと「ドニーさん、いまそこでヒールホールドいけばいいんじゃない!?」的なリアクションしてる自分に一番ビックリした映画でした。

ーではその“MMA猛爆”路線第1弾「SPL/狼よ静かに死ね」(05)いきましょう!この映画からドニー・イェンの全てが変わりました。

飯星 はい!新宿で観ましたよ。もうお客さん入ってなくて(苦笑)。
でもこの映画がドニーさんのアクション監督としてもターニング・ポイントとなった作品でしょう。
葉偉信監督ともこの映画からだし、何もかもが運命に導かれたようにピタッと来たんでしょうね。

ーこの映画は2つ大きなファイトシーンがあります。一つはドニー兄貴vs呉京。もう一つがドニー兄貴vs洪金寶ですが。

飯星 もう2つのファイトシーンとも最高ですね。私は特にドニーさんvs呉京戦が好きなんですけど、その前に映画の最初の方でドニーさんとピンクパンサーの縫い包みを持った洪金寶がロビーで「ドカ!ドカ!」殴り合い始めて、最後は刑事が3人がかりで洪金寶を押さえつけるシーンがあって、このシーンだけでもかなり凄かったんですよ!
もうアクションのテンションが他の映画とは全然違う!凄い!って。で、その後に刑事たちが谷垣さんを突き落しちゃって、そこにドニーさんの馬軍が駆けつけて刑事たちに「お前ら、何やってるんだ!?」って小競り合いになる時のカメラワークも良かったし照明も良かった。
もうドニーさんが動いてるシーンは全部良かったです。

ードニー兄貴が見せるタックル、マウントポジションからのパンチなどのMMA(総合格闘技)スタイルは、過去ブルース・リー作品ではありましたが、それをここまで特化させたアクションは香港クンフー映画にはなかった試みでした。

飯星 私が想像するに、ドニーさんは自分の映画の個性みたいなものをズッと探していたと思うんです。それはジェット・リーでもない、ある意味ブルース・リーでもない、ジャッキー・チェンでもない自分だけのスタイル。それをドニーさんは欲しかったんだと思うんですね。
まあドニーさんご本人が凄くUFCのファンだった事が一番大きいのかもしれませんが、その捜し求めていた個性をやっと見つけられた記念碑的作品。ドニーさんの武打星としての節目を「イップマン」とする人も多いでしょうが、私にとってのそれはこの「SPL」と「導火線」になるんですね。

ーではその「導火線」に行く前に、「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」(06)。この映画のドニー兄貴の髪型がちょっと何と言うか(笑)。

飯星 ハハハ(笑)。あれもね、涅槃に行き着くとそれはそれでありなんですよ(笑)。この映画はドニーさんのアクション監督としての幅の広さに一番感激したんです。
例えばアクション監督ってより豊富なバリエーションがないと成り立たないわけで、ドニーさんの凄いところって器用なところだと思うんですね。
そのドニーさんのアクションの多様性や器用さを証明したのがこの映画だと思うんです。それが何かって言うと、漫画の世界をファンタジックに、でも自分がやるからにはファンタジック過ぎずにキックのシーンはちょっとアングルを引いてリアルに撮りたいとか、色々と実験した映画だと思うんですね。
あとこの映画でドニーさんがアクション監督として才能を発揮させるためには、謝霆鋒と余文楽にどういう殺陣をつけるのかが見せ所だったと思うんです。

ーそうですね。この頃のドニー兄貴は香港クンフー映画の世界では劉家良と同じぐらいの重要なポジションになったと思います。俳優としても主役を張れて、アクション監督としても高い評価を得る実力があるという。

飯星 それは私も強く感じます。たとえば「SPL」のvs呉京戦。今や中華圏を代表する武打星ですが、最近まで、正直彼は「SPL」のジェット役ほど観客に強烈な印象を与えるアクションをする機会がなかったと思うんです。
で、謝霆鋒も色々な映画で素晴らしいアクションやスタントをやっていながら、「かちこみ!~」ほどのアクションを、これ以来まだ見せていないのではないでしょうか。
そういった共演者の代表作となるようなアクションを作ってあげられるドニーさんのアクション監督としての能力。それこそが私がドニーさんの一番好きなところの一つで「アクション監督としての実力」ですよね。

ーでは、いよいよ飯星さんイチオシの「導火線 FLASH PIONT」(07)です。

飯星 はい!もうこれ観た時は本当に痺れましたねー!(笑)。ドニーさんもですけど、鄒兆龍がとにかくよかった。
彼も映画は沢山出てますけど、このアクションを超える映画に巡り合ってないでしょう?

ーそうですよね。で、この映画が本格的に動き出すのがエレベーターの中でドニー兄貴が刺客の释延能にイキナリ後ろ蹴り入れるところからなんですけど。

飯星 そうそう!私はその後のミニ・パルクールみたいに病院から急な坂道を街に下って行く、あそこも驚きましたよね。

ーエレベーターの中でドニー兄貴と释延能の乱戦に巻き込まれる婦人警官はドニー兄貴の奥さんの妹さんですね。何で奥さんの妹があそこに出ているのかって(苦笑)。

飯星 汪圓圓さん!何かたまたま現場に遊びに来ていたらしんですよ。やっぱり内トラ系ですよ。

ー最後のドニー兄貴vs鄒兆龍戦ですが、撮影当日にドニー兄貴が急に「今日の俺とコリンの対決は「猛龍過江」の李小龍vsチャック・ノリスを再現する!」と宣言して。

飯星  アハハハ!あの2人の対決を観た時は、全ての血が逆流しちゃって。何という凄いものを私は目撃したんだろうと!

ー大陸版だとここでトニー(鄒兆龍)の母親(夏萍)が出て来るんですが、香港版だと出てきません。飯星さんはどちらが好みですか?

飯星 大陸版だと上から2人が落ちたあとにお母さんが登場して「私の息子を見なかった?」って言うんですよ。で、お母さんが去ると香港版はドニーが鄒兆龍に「こっち来い!」って手招きするんですけど、大陸版だと鄒兆龍が「こっち来いよ!」って手招きするんです。私は香港版が良いかなぁ。
で、その後に2人が建物の間の通路から広いところに出て来ると、カメラがクレーンでグワァァァァン!と寄って撮ってるところとかもう本当におしっこちびるかと。
あと最後にドニーさんが鄒兆龍をチョークスリーパーで絞めちゃうんだけど殺さないの。やっぱりトニーのお母さんを知ってると殺せないんだなぁって。この辺も細かく撮ってるなって思いますね。

ー私の友人で香港映画のオーソリティーのトビー・ラッセルがこの「導火線」を観て「素晴らしい!ドニーのベストムービーだろう」って。
トビーは滅多に新しい映画を褒めない男なんですけど。

飯星 トビーさんってケン・ラッセル監督の息子さんですよね。私はこの「導火線」を初めて観た時にドニーさんって何て執念深い人なんだろう!って驚いちゃった。
私は映画の世界の事は判りませんが、それに近いお仕事をさせて頂いているので、このドニーさんvs鄒兆龍のファイトシーンを撮るのにどれだけの時間がかかったかは、ある程度想像がつくわけじゃないですか。
昔の映画だったら判るけど、技術の発達とかCGを使う最近の映画だとそういう撮る側の執念めいたものが薄まっていく感じってあるでしょう?なのにこの時代になって、まだこんな凄い執念深い人がいたんだって。ああ、ドニー・イェンって執念深い人なんだって判った事がこの「導火線」の一番の収穫ですね。もう「導火線」は大好き!溺愛しています。

ー私も「導火線」は大好きな映画です。では「エンプレス/運命の戦い」(08)。

飯星 程小東だった(キッパリ)。

ーそ、それだけ?(笑)。

飯星 いやいや(笑)。でも私がこの映画で一番凄いと思ったのは馬を首投げしたところ(笑)。あれが一番ビックリしました。
それと矢が刺さって髪がぶわああっとなるカット。うん、その一瞬の為に観るべきです。

ー(笑)。では「画皮 あやかしの恋」(08)。

飯星 これ好きです。ドニーさんが可愛いし、とてもいいお芝居をしています。ドニーさんの役が凄くキュートで自然で。
そんなドニーさんってそれまで見たことないから、この映画は私の中では上位に入る作品です。ドニーさんのアクションを楽しみに観るとアクションはちょっとだし「何だい」って思う人もいるかも知れないけど、ドニーさんが芝居をしているってだけで私は十分に楽しいので大好きです。

ーではいよいよ「イップマン序章」(08)です。この映画が現在のドニー兄貴の大ブレイクに繋がる作品なわけですが。

飯星 私が日本でソフトが発売されたり劇場で公開されるのを待ったりしないで、自分で現地から直接DVDを買ったりするようになったのがこの「イップマン序章」からなんですよ。
もう待てなくって、早く観たくって。私ね、映画でアクションシーンを観て涙を流したのはこの映画が初めてなんです。葉問が道場で黒帯10人相手に闘うところです。あそこで泣いたんですね。
こんなエモーショナルなアクションシーンがあるのかって。葉問はそれまで人前で闘う事も嫌だった人なわけです。クンフーは闘いではなく自らの内面を磨くためのものだった。
でもあの道場のシーンは葉問がそんな事を忘れちゃうぐらいの憤りと怒りに満ち溢れているわけでしょう。しかし彼は自分を待つ家族の許には帰らなければならない。
もうこんなに悲しいアクションシーンは観た事がなかった。もう本当にこのシーンは観ながら泣きました。泣きながら涙をポロポロ溢しながら「私、アクションシーンで泣いたの初めてだ」って気がついたんです。
映画が始まって3分ぐらいで「この映画は傑作だ」とすでに分ったんですが、この道場のシーンで大泣きした時に「私はこの映画を一生好きだろうな」と思ったの。

ー・・・なるほど。ドニー葉問が道場の床に倒れた相手にバンバンバン!と鉄拳を打ち込んでいくアクションも、それまでにない斬新な武打シーンでした。

飯星 そうそう!私があの黒帯10人のシーンで泣いたって事だけで、この映画は後世に残る功夫映画だと確信しました。だって私はアクション映画で泣いた事ってなかったから。
しかもその涙は、役柄の感情が伝わってきて泣くって事だったから、それは本当に凄いことだと震えました。
たとえば一生忘れないものとして、ジャッキーの「プロジェクトA」の時計台落下のスタントも私にとっては自分の脳裏に刻まれてる凄いシーンの一つではあるんだけど、この「~序章」はそれとはまたカテゴリーが違うんですよ。葉問の怒りと悲しみが全て彼のコブシから伝わって来た。それで泣けたんだと思います。

ーこの「イップマン序章」から、ドニー兄貴は役者としても深みが出て来ましたね。

飯星 私は依怙贔屓が過ぎるからかも知れないですけど、あれだけアクションシーンで感情表現が出来る人が映画祭の主演男優賞を取らないのはおかしい!
だって役者が芝居するのは当たり前で、その上でアクションから感情があれだけ伝わるドニー・イェンって役者がいるって事をもう少し香港映画界の偉い人は考えたほうがいいです。

ー私は続編の「イップマン葉問」でドニー兄貴は香港金像賞の主演男優賞、いけるんじゃないかと思ったんですが。ジェット・リーは「ウォーロード/男たちの誓い」(07)で主演男優賞取りましたけど。

飯星 あの映画はよかったですよね~。あの「ウォーロード」のジェットの演技は素晴らしかったし、それに関して私は文句はありません。ジェットの場合はアクション云々の前にやはりドラマと演技の部分、ジェットの役者としての才能が花開いたって事が評価されたと感じました。
ドニーさんの場合は、ハッキリと功夫映画というジャンルで、そのアクションから葉問の感情がここまで伝わって来る事を芝居の一つとして評価してもいいんじゃないのって事なんです。
あの葉問のアクションにあれだけの感情が込められていて、それが私たちにビンビン伝わって来たのにそれをアクションはアクション、芝居は芝居として評価する側が分けている事が不思議です。

ー本当に「イップマン序章」を愛してらっしゃるんですね。では「家有囍事2009」(09)ですが。

飯星 これもお正月映画で、最後の最後に大団円のシーンで黄百鳴や呉君如たちの結婚式に「いやおめでとう!」って通り過ぎるだけって役です。カメオ出演ですね。

ーでは「建国大業」(09)ですが。

飯星 これは共産党が作った建国60周年記念映画で、中華圏の大スターや監督を70人以上もノーギャラでカメオ出演させた作品。
ドニーさんもちょっとだけの顔見せですが、レアなのは人民服着てたって事ぐらい。あと眼鏡かけて髪型が七三分けだと別人みたいだなって。ドニーさんの声も何時もドニーさんの北京語の声を吹き替えてる人が吹き替えてらっしゃいましたね。

ーではドニー兄貴vsカン・リの激闘が話題となった「孫文の義士団」(09)です。

飯星 いい映画でしたねー!もう泣いたなぁ!

ー特に人力車に乗った子供をドニー兄貴が追いかけるシーン・・・。

飯星 そうそう!あそこは泣いたよねー!もう私はドニーさんってこんなに演技が達者だったのかってビックリしちゃって。あと悪役のカン・リが良かったでしょう?

ーあのドニー兄貴vsカン・リの対決シーンは最初武術監督の董瑋が付けたんですが、ドニー兄貴が「こんなんじゃ駄目だろう!」って総撮り直しになりました。もう董瑋の立場はどうなるんだっていう(苦笑)。

飯星 それだけドニーさんがトップスターになったって事でしょうね。だってキャストのクレジット、あれだけのオールスター映画なのにドニーさん一番最初に出てるでしょう。
カン・リのインタビューによると、この映画で彼がやりたくないアクションもあったそうなんです。やっぱりプロの格闘家だから屋根を走るアクションとかやりたくなかったんでしょうね。
「でも誰がドニー・イェンに向かって出来ないって言える?」って彼は話してました。
カン・リはこの「孫文の~」の前に2本ほど映画に出演してたんだけど、「孫文~」でドニー・イェンと闘う事が決まった時に「まるでメジャーリーグからスカウトが来た気分だったぜ!」って言って下さった。

ーもうドニー・イェン映画の現場が周りからそれほどスペシャルになっていたんですね。

飯星 カン・リだって総合格闘技の選手だし、その選手からそんな嬉しい言葉が聞けた事が私の中では凄く大きくて、それは別の角度から見れば「導火線」という作品は本職の格闘家が見ても“本物”だったんだって間接的に証明してくれたわけですから。
確かにプロの格闘家から見れば拙い部分もあるだろうけれど、ドニーさんがプロの格闘家ではない事を重々判った上でUFCの選手が、映画としてあそこまで描けるドニーさんを凄くリスペクトしているって事を知って「本当に?嬉しい!カン・リさん、ありがとう!」ってとっても嬉しかったですよね。

ーそれでは「イップマン葉問」(10)です。

飯星 この映画を観て思ったのが洪金寶の武術指導って凄い!って事ですね。勿論ドニーさん演じる葉問も素晴らしいんですけど、私はまず洪金寶のカメラワークとコレオグラフィ―(殺陣)に感激して、それこそ映画のコレオグラフィーってどういうものなんだろう?と、とても興味が沸いたんです。
私はこの10年ぐらいで洪金寶がアクション監督した映画かなり観ていると思いますが、その洪金寶の近年の一番のコレオグラフィ―は「イップマン序章」と「イップマン葉問」だと思います。

ークライマックスの葉問vsツイッター戦で、苦戦しながら身構える葉問の傍らに同じように構える亡き洪震南の姿が重なるシーンで川井憲次さんの勇壮な音楽が流れる!

飯星 あそこの川井さんの音楽、最高ですよね!!あ、そうそう、「イップマン序章」のマエストロのテーマあるでしょう。あの曲は最初はテーマにするつもりじゃなくて、他のシーンに使うつもりだったのを葉偉信監督が気に入ってテーマにしたそうですよ。

ー「イップマン葉問」のラストで、李小龍少年が葉問に弟子入りするシーンが出て来るんですが、あそこは私たちブルース・リー信者にとってはとても感慨深い場面なんですが、飯星さんはあのシーンは如何ですか?

飯星 あのシーンが「葉問」の映画にブルース・リーが登場する初めての場面なんですよね。その後に「グランドマスター」(13)でもブルース・リーっぽい子が出てくるシーンがありましたが、あの「イップマン葉問」のラストは粋な終わり方でしたねえ。
逆にあのエンディングはブルース・リーのファンの方の評価ってどうなんですか?

ードニー兄貴は「李小龍は俺の永遠のアイドルだ」って言ってるでしょう?そのドニー葉問が李小龍少年を自分の弟子に迎えるシーンで、本当に嬉しそうな顔をするんですよ!

飯星 ああ、そうでしょうねえ。あのシーンはある種の因縁めいたものっていうか、ブルース・リーに憧れて映画業界で頑張って来たドニーさんが、そのブルース・リーの師匠を演じるっていう、何て言えばいいのか、こう“輪廻”みたいな。
もう不思議な巡り合わせって言うか、やっぱり“フォース”のお導きのようなものを感じますよね(笑)。

ーあの小生意気そうな李小龍少年が「ねえ、幾らで武術教えてくれんの?」という台詞も、如何にも本当にリー少年が言いそうな感じで(笑)。

以下「飯星景子、ドニー・イェンを語る!」第3回“いまフォースと共に”編に続く!!
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