福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

看護婦のオヤジがんばる

2006-12-08 01:44:00 | 日記・エッセイ・コラム

061209低温研から北大通りに沿って札幌駅に向かう途中に大学付属病院があります。病院で働いている看護婦さんを見かけると、ふと思い出すことがあります。

大学時代、強い印象を受けた講義に『家庭経営論』があります。担当は、橋本宏子先生。ある日の授業で、藤田健次著『看護婦のオヤジがんばる?共働き親子奮戦記』(1977)を題材に教室内で討論ということになりました。

この本の著者は版画家で奥さんが看護婦さん。子供を抱えながら共働き夫婦の奮闘ぶりや生活の知恵を紹介しています。看護婦さんには夜勤がつきものですが、そうした時のオヤジのぎこちない家事がユーモラスに描かれています。

受講生からは様々な意見が出たと記憶しています。極端な意見としては、「奥さんが看護婦を辞めて家事に専念すべき」とか、「旦那さんが専業主夫になるべき」とか。

この授業で橋本先生が伝えたかったことは、「夫婦で支え合いながら子育てと家事を両立させることの大切さ」だったのでしょう。さらに先生はこんなことを授業の中で付け加えます(私の記憶が正しければ、、、)。

家庭がしっかりとしているからこそ健全な社会生活が成り立つ。一見社会生活がうまく見えているようでも、家庭という基礎ができていなければいつかは崩れてしまう(“砂上の楼閣”)」と。

25年前の授業の様子が鮮明に今でも蘇るというのは、相当にインパクトが強かったのでしょうね。こんな授業を私もしてみたいな。そして、いつか機会があれば橋本先生にお会いしてみたい(一学生のことなんか忘れているでしょうが、、、、)。

深夜の北大病院には、今日も子育て奮闘中のお母さん、あるいはお父さん看護士が夜勤で働いているに違いありません。

<追記>
看護婦のオヤジがんばる』は映画(お母さん役が佐藤オリエ、お父さん役が前田吟)にもなっています。