IBF・WBO・WBAヘビー級タイトルマッチ
統一ヘビー級王者のウラジミール・クリチコ選手(Wladimir Klitschko)が英国からのタイソン・フューリー選手(Tyson Fury)の挑戦を受けた一戦はドイツで行われましたが、フューリー選手が12回明白な3-0判定を制して王座が交代する番狂わせに終わっています。(体格比較)
2000年10月に最初のヘビー級王座を獲得して以降、ヘビー級のトップ戦線に君臨し続けていたウラジ選手。手痛い敗北も何度かありましたが06年に2度目の王座を獲得して以降はほとんど敵なしで9年7ヶ月間で17度の防衛を続けていた超安定王者ウラジ選手の予想外の完敗劇による王朝終焉劇でした。
スタートから距離をキープするフットワーク、と言えるのか微妙な動きなんですが、ともかく動いてウラジ選手の射程外をキープするフューリー選手。両ガードを下げながら動き、そしてたまに伸ばす左ジャブや右ストレートでウラジ選手の機制を制していきます。
とりたてて有効にも見えないフューリー選手の攻撃、動きだったのですが、ウラジ選手は慎重なのか数少ない左ジャブを返すのみで、かつ非常に手数が少なくポイントを振るのなら手を出していないウラジではないか、といった感じの低調なラウンドが続いていきます。
ペースを変えるための思い切ったアクションというものがウラジ選手側からほとんど見られることなく、ずるずるとラウンドを重ねてポイント的にどんどん追い込まれていったウクライナ人王者。試合最終盤に右ストレートや左フックで迫る場面もあったものの時既に遅すぎで、かつ自らの疲労の色も結構濃くてなんとかやり過ごすフューリー選手を捕まえる事がかなわず明白な判定を失う意外な王座転落劇でした。
公式のスコアは115-112が2人、116-111が1人の3-0フューリー。シロート採点116-111フューリー。11回にフューリーに減点1
あのジョー・ルイスに次ぐ9年222日の長期王朝。第1期目の王者時代を含めばヘビー級王座に君臨した日数11年367日というのはルイス(11年255日)を上回り、このデータからもウラジがヘビー級史上に残る安定王者だったことがわかります。通算防衛22。世界タイトルマッチ27戦24勝(18KO)3敗。
その超安定政権を崩したのは、なんというか結局のところサイズだったのか・・?とも感じさせるこの内容でもありましたが、フューリーがうまく戦い抜いたということなんでしょう。ウラジの衰え、ってのも改めて強く感じられました。
**身長・リーチで上回る相手はウラジにとってキャリア2戦目。 2012年11月に戦ったマリウス・ワフが身長で1.5インチ(3.8cm)、リーチで0.5インチ(1.27cm)勝っていた相手だった。今回は身長で3インチ(7.6cm)、リーチで4インチ(10.16cm)というビハインドだった。
今回の試合のスタッツは、ウラジが52/231。フューリーは86/371。
ラウンド平均ヒット ウラジ4.3、フューリー7.2。 ウラジの過去13試合平均 15.4、フューリー過去6試合平均 20。ヘビー級平均15.5
ラウンド平均手数 ウラジ19.25、フューリー30.1。ウラジ過去13試合平均46.4、フューリー過去6試合平均62.9。ヘビー級平均45。
12ラウンズ戦ってヒット数52というこの日のウラジ。
これに関しては2013年12月に行われたリゴンドウ対アグベコ戦の時点でアグベコの48ヒットというのがcompubox史上歴代ワースト2位というデータがあって、この試合以降の状況が不明だったりもするのですが、少なくとも史上稀に見るレベルの低パフォーマンスをこの日のウラジが見せたということは確実に言えるのではないでしょうか。(ちなみに2013年12月時点でのワースト1はランドール・ベイリーがアレキサンダー戦で残した45ヒット)。
あともう1つ。フューリーのこの日のウェイト247ってのは、ここ最近では相当絞った数字でハードな準備が窺えるものでした。
2012年12月のケビン・ジョンソン戦で248、それ以降は254、274、264、260。そしてこの日の247。前戦から13ポンド約5.9kg減。
27歳にはとても見えませんが若い新王者フューリー選手は25勝(18KO)。11年半ぶりの敗北で、キャリア初の判定負けでもあったウラジ選手は64勝(53KO)4敗。
Wladimir Klitschko vs. Tyson Fury: Live Round-by-Round Results and Highlights(Kevin McRae/Bleacher Report):116-111フューリー
'Klitschko vs. Fury' Results: HBO Boxing Play-by-Play & Round-BY-Round Scoring(MIKE SLOAN/Sherdog):116-111フューリー
Klitschko vs Fury: Live streaming results and round by round coverage(Bad Left Hook/Scott Christ):116-111フューリー
Fury shocks world heavyweight champion in Dusseldorf to claim unified title(RORY BRIGSTOCK-BARRON/Dailymail):115-113フューリー
Tyson Fury earns unanimous decision over Wladimir Klitschko for world title(Dan Rafael/ESPN):115-112フューリー
Klitschko vs. Fury live streaming results and round by round coverage(Bloody Elbow/Tim Burke):114-113フューリー
Tyson Fury beats Wladimir Klitschko: world heavyweight boxing – as it happened(The Guardian):114-113フューリー
ウラジミール・クリチコ対クブラト・プレフ(2014/11/15)
ウラジミール・クリチコ対アレキサンダー・ポベトキン(2013/10/05)
ジミール・クリチコ対フランチェスコ・ピアネタ(2014/05/04)
ウラジミール・クリチコ対トニー・トンプソン(2012/07/07)
ウラジミール・クリチコ対ジャン・マルク・モルメク(2012/03/03)
ウラジミール・クリチコ対デビッド・ヘイ(2011/07/02)
ウラジミール・クリチコ対サミュエル・ピーター(2010/09/11)
ウラジミール・クリチコ対エディ・チェンバース(2010/03/20)
ウラジミール・クリチコ対ルスラン・チャガエフ(2009/06/20)
ウラジミール・クリチコ対ハシム・ラクマン(2008/12/13)
ウラジミール・クリチコ対トニー・トンプソン(2008/07/12)
ウラジミール・クリチコ対スルタン・イブラギモフ(2008/02/23)
ウラジミール・クリチコ対レイモン・ブリュースター(2007/07/07)
ウラジミール・クリチコ対レイ・オースティン(2007/03/10)
ウラジミール・クリチコ対レイモン・ブリュースター(2004/04/10)
ウラジミール・クリチコ対カルビン・ブロック(2006/11/11)
タイソン・フューリー対デレック・チゾラ(2014/11/29)
タイソン・フューリー対スティーブ・カニンガム(2013/04/20)
タイソン・フューリー対ネベン・パイケッチ(2011/11/12)
タイソン・フューリー対ニコライ・ファーサ(2011/09/17)
デレック・チゾラ対タイソン・フューリー(2011/07/23)
タイソン・フューリー対ジョン・マクダモット(2010/06/25)
タイソン・フューリー対ハンス・ヨルグ・ブラスコ(2010/03/05)
ジョン・マクダモット対タイソン・フューリー(2009/09/11)
タイソン・フューリー対アレキサンダー・セレゼンス(2009/07/18)
タイソン・フューリー対スコット・ベルショウ(2009/05/23)
タイソン・フューリー対マシュー・エリス(2009/04/11)
タイソン・フューリー対リー・スウェイビー(2009/03/14)
タイソン・フューリー対ダニエル・ペレット(2009/02/28)
タイソン・フューリー対マーセル・ゼラー(2009/01/17)
実は、僕も結構面白かったです・・(笑)
まっからむさんに同意で、足元が危なっかしいとこもあるけど、トリッキーな動きが上手く、しかも逃げ回っているだけでなく、時々「まさか?」という可能性を感じさせる体重の乗ったパンチも放っていたので、ヘイよりはよほど良かったです。
色物臭・・これも禿同(笑) あの顔、巨漢で歌がメチャうまい(笑)
まさかの大アップセットまで見せてくれた、という点ではメイパックよりよほど面白かった、なんて言ったらバカにされてしまうかな・・(笑)
が、予想外にもフューリーがクリチコを呑んでかかり、ちっとも怖がらずに自分のボクシングを貫ぬけたと思います。
色物臭漂うフューリーですが、器用でボクシングが上手いですね。超巨漢なのにパンチが軽めで、スピード・スタミナがあり、器用なのが新しいですね。おもしろいタイプです。
クリチコは、自分より背が低い相手にはハードなジャブで突き放し、打ち下ろしの右で威圧すれば、自分のペースで盤石でしたが、自分よりも遥かに大きな相手には、バランスも崩し、強いパンチが打てそうになかったですね。
再戦したら、より自信をつけたフューリーが圧勝するように思います。
ハードパンチャーで派手なワイルダーに比べると、しょぼいように見えますが、相手の良さを消す上手さを持っているので、フューリーが泥試合に持ち込んで勝つように思います。
クリチコの退屈なボクシングにはウンザリしていたのでチャンピオン交代は歓迎ですが、新チャンピオンのフューリーも???な印象でしたね
フューリー選手、身体能力は高いと思うのですが、ボクシングテクニックが粗削りで、、、
ヘビー級は冬の時代が続いてますね
試合の印象と乖離した判定が出る。
ほぼ同じ 10-10
僅差 10-9
あきらかなクリーンヒットの差 10-8
明らかにダメージを与えた場合 10-7
グロッキー状態 10-6
これにダウンがあった場合、
フラッシュダウン -1
ダメージのあるダウン -2
そうすれば見た印象と結果が今の採点基準ほど乖離することはないと思います。
これを明確な判定というのはちょっと違う気がします。
明確な優劣は見えないものの、敢えて10ポイント振った方がたまたま勝ってしまった。というのが正直か感想です。
(ちょっと書き過ぎかもしれませんが・・・)
しかし全般的に手数が少なく、エキサイト性の欠片もない、つまらない試合でした。
ますますヘビー級の試合が嫌いになりました。
もっとクロスする試合になるかと思ったのですが、手数が極端に少ないクリチコを、フューリーが楽に捌き続けた印象です。
スピード・リーチ・フットワークともに、挑戦者の方が上回っていて、クリチコにほとんど可能性が感じられませんでした。
既に再戦の話が持ち上がっているようですが、今のクリチコでは同じように厳しい内容の試合になるのではないかと思います。
いずれにしてもこれでクリチコ長期政権が終わり、ヘビー級がまた様々な動きを見せてくれることを期待したいです。