結婚格差とまで言われるようになってしまったのでしょうか。出生率低下原因は、およそ若年者の出産が減少していることによる、ということのようで、晩婚化が一つの要因になっているようである。対策がなければ、今後もこの傾向が続く可能性があるだろう。特にフリーターの結婚率が正社員の半分に留まるということで、経済的基盤がないために結婚できない、というのが実情のようです。
出生数が最低111万人…2004年 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
先月30日付の読売新聞の記事には、ニートとフリーターの問題が出ておりました。今日も出生率の問題と併せて、フリーターのことが取り上げられました。このような若年者の問題は、社会問題化してしまっており、本当に解決策を考えなければ、歯止めがかからないのではないか、と危惧されます。
なぜ結婚できないか、というと、乱暴に言えば「お金がないから」ということになります。国民生活白書で見ても、97年と02年では、「自由に使えるお金が減るから」というのが約17%(約30→47%)増加しており、これだけで1.5倍増の理由ということになります。お金がないので、親との同居関係を続けてしまう、ということも多いようです。お金がないのは、正社員として採用されず非正規雇用ということで収入が少ないことによる、ということになります。
先日の報道にもあったように、新卒の正規雇用はバブル期なみの水準ということで、改善されてはきていますが、現状既にフリーターとかニートの方々はちょっと状況が異なるかもしれません。内閣府の統計(読売新聞の記事から見ました)では、ニートの数が02年には84.7万人となっており、このうち就職を希望しない人の数は約42万人で92年当時(約41万人)の水準と変わっていません。これは、おそらく昔から存在する、お金持ちのお嬢様とかがなれる「家事手伝い」という働く必要性もないような人達が多く含まれるということだと思います。
一方、就職を希望する人は、42.6万人で十年前の25.7万人を大きく上回っております。この群について見ると、約3割が病気・怪我、介護や育児と言う理由で就業の為の活動をしないとしておりますが、残りの7割(約30万人)は仕事が出来る環境でありながら、就業活動をしていない、ということになります。また、この内の約19万人が「仕事が見つからなかった」「希望する仕事がない」「自信がない」「急いで就業する必要がない」という理由であり、こういった人達への支援策は色々な形で必要になるでしょう。居住地域の景気動向にも影響されているかもしれません。地方で仕事が中々見つけられないということもあるのかもしれませんね。
それでも、ニートに比べれば圧倒的にフリーターの人数の方が多い(30日の記事中にある国民生活白書のデータでは01年に417万人で、多分非正規雇用者が全部含まれるのかな?今日の記事にある厚生労働省のデータでは03年に217万人となっており、全然違うので定義が異なっているのだと思います)ので、社会的・経済的な影響を考慮すればフリーターの数の削減の方が効果的ということになります。
雇用主側から見た労働力の確保について考えてみましょう。例えば、居酒屋があるとして、そこの従業員の構成を考えてみます。店長とホール1人(店長休みの時の交代要員)、厨房のコック(調理師免許保有者)3人だけは正社員として雇用し、残りはフリーターを集めて訓練すれば営業できるかもしれませんね。この事業所で厚生年金と健康保険加入者は5人、残りが20人位のバイトさんだとして、年金と健康保険未加入でOKということになります。これに雇用保険を併せると、社会保険のある人達は単純に人件費が15%増し位になりますが、バイトの人の1人当たり週労働時間が20時間以内となるようなシフトにしておけば、このバイト達の社会保険料は労災保険のみにできます。労働力を確保する時に有利にする為には、このように責任者以外には正社員を減らすことであり、1人の正社員と同じ時間確保できる2人のバイトがいれば、その方が賃金ははるかに少なくできますね。年収ベースで見れば、同じ年齢の人を雇用するとしても、正社員1人に対してフリーターなら3人雇用できます。これが今のフリーターの、最も基本的な雇用原理ではないかと思います。これは雇用側の都合によるもので、このような形でも十分労働力が供給される(求人募集を載せれば、すぐに手当てがつく)ことも、逆にマイナスに作用しています。条件のよい正社員で募集しなくとも、人員が簡単に集まってしまうということです。
この現象の不利を被っているのは、結婚後子育てが一段落したような女性労働者についても同じですね。キャリアが途中で途切れると、一気に安い賃金でのパート労働(フリーターと同じ不正規雇用)で、中途半端に稼げず(「社会保険料の壁」があって、夫の扶養から抜けると実質収入が増えるほどの収入もない)、かといって正社員で働ける程の実力もない(仕事から何年も離れると、時代は進んでいってしまいます)と、給料のいい仕事が見つからない、というような面もあるかもしれない。このように考えると、非正規雇用者たちの社会保険を企業側にカバーする義務がない(むしろワザと逃れる、と言うべきかもしれない)ことによって、労働市場が歪んだ形になっているわけです。これがそもそもの問題であり、企業の人件費抑制策の落とし穴にみんな嵌まっているかもしれません。
今後、人口減少社会へ向けて、女性や高齢者の就業率を高くしていく必要があるのですから、雇用形態に係わらず企業はその社会保障について応分の負担をするべきであり、時間短縮や非正規とか正規雇用によるべきではない、と思います。雇用人員や給与総額に見合う社会的負担をすることで、こうした「社会保険料の壁」はなくせると思います。前から述べている社会保障改革で、保険料方式を止めて一元化し、企業の新税である「社会保障税」の導入を図るのが望ましいと考えています。このような抜本的政策を実施しない限り、若年層の結婚や出産を増加させることは難しいと思います。
政府は年間20万人のフリーター削減目標を掲げてはいますが、現状の社会保障制度ではそれは甚だ困難と言わねばならないでしょう。正社員は労働時間が週60時間を超える人の割合が増加しており、本当に労働の2極化が進んでいるようです。以前にも書いたように(格差社会3)、やっぱり正社員の下士官クラスがヘロヘロってな具合になってきているということでしょう。
ああ、あと書き忘れていたのですが、フリーターになりたくてなる人は非常に少ないようです。転職歴では、フリーターから正社員になる人の割合は減少しており、逆に正社員からフリーターになっていく人は増えている。フリーターからフリーターの転職も増えている。これはどういうことか?主に、自分に合わない仕事は辞めてしまう場合が少なからず見られ、転職するが残念ながら正社員ではなくフリーターになってしまう人は結構いる、ってことかな。フリーターから正社員へは、逆に険しくなっており、高卒・大卒ともに求人が増加している中でもそうですから、新卒時点での就職に比重が置かれ、その時点で就職活動が満足に出来ないような人材というものを雇用側が求めていない、ということなのでしょうか。
出生数が最低111万人…2004年 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
先月30日付の読売新聞の記事には、ニートとフリーターの問題が出ておりました。今日も出生率の問題と併せて、フリーターのことが取り上げられました。このような若年者の問題は、社会問題化してしまっており、本当に解決策を考えなければ、歯止めがかからないのではないか、と危惧されます。
なぜ結婚できないか、というと、乱暴に言えば「お金がないから」ということになります。国民生活白書で見ても、97年と02年では、「自由に使えるお金が減るから」というのが約17%(約30→47%)増加しており、これだけで1.5倍増の理由ということになります。お金がないので、親との同居関係を続けてしまう、ということも多いようです。お金がないのは、正社員として採用されず非正規雇用ということで収入が少ないことによる、ということになります。
先日の報道にもあったように、新卒の正規雇用はバブル期なみの水準ということで、改善されてはきていますが、現状既にフリーターとかニートの方々はちょっと状況が異なるかもしれません。内閣府の統計(読売新聞の記事から見ました)では、ニートの数が02年には84.7万人となっており、このうち就職を希望しない人の数は約42万人で92年当時(約41万人)の水準と変わっていません。これは、おそらく昔から存在する、お金持ちのお嬢様とかがなれる「家事手伝い」という働く必要性もないような人達が多く含まれるということだと思います。
一方、就職を希望する人は、42.6万人で十年前の25.7万人を大きく上回っております。この群について見ると、約3割が病気・怪我、介護や育児と言う理由で就業の為の活動をしないとしておりますが、残りの7割(約30万人)は仕事が出来る環境でありながら、就業活動をしていない、ということになります。また、この内の約19万人が「仕事が見つからなかった」「希望する仕事がない」「自信がない」「急いで就業する必要がない」という理由であり、こういった人達への支援策は色々な形で必要になるでしょう。居住地域の景気動向にも影響されているかもしれません。地方で仕事が中々見つけられないということもあるのかもしれませんね。
それでも、ニートに比べれば圧倒的にフリーターの人数の方が多い(30日の記事中にある国民生活白書のデータでは01年に417万人で、多分非正規雇用者が全部含まれるのかな?今日の記事にある厚生労働省のデータでは03年に217万人となっており、全然違うので定義が異なっているのだと思います)ので、社会的・経済的な影響を考慮すればフリーターの数の削減の方が効果的ということになります。
雇用主側から見た労働力の確保について考えてみましょう。例えば、居酒屋があるとして、そこの従業員の構成を考えてみます。店長とホール1人(店長休みの時の交代要員)、厨房のコック(調理師免許保有者)3人だけは正社員として雇用し、残りはフリーターを集めて訓練すれば営業できるかもしれませんね。この事業所で厚生年金と健康保険加入者は5人、残りが20人位のバイトさんだとして、年金と健康保険未加入でOKということになります。これに雇用保険を併せると、社会保険のある人達は単純に人件費が15%増し位になりますが、バイトの人の1人当たり週労働時間が20時間以内となるようなシフトにしておけば、このバイト達の社会保険料は労災保険のみにできます。労働力を確保する時に有利にする為には、このように責任者以外には正社員を減らすことであり、1人の正社員と同じ時間確保できる2人のバイトがいれば、その方が賃金ははるかに少なくできますね。年収ベースで見れば、同じ年齢の人を雇用するとしても、正社員1人に対してフリーターなら3人雇用できます。これが今のフリーターの、最も基本的な雇用原理ではないかと思います。これは雇用側の都合によるもので、このような形でも十分労働力が供給される(求人募集を載せれば、すぐに手当てがつく)ことも、逆にマイナスに作用しています。条件のよい正社員で募集しなくとも、人員が簡単に集まってしまうということです。
この現象の不利を被っているのは、結婚後子育てが一段落したような女性労働者についても同じですね。キャリアが途中で途切れると、一気に安い賃金でのパート労働(フリーターと同じ不正規雇用)で、中途半端に稼げず(「社会保険料の壁」があって、夫の扶養から抜けると実質収入が増えるほどの収入もない)、かといって正社員で働ける程の実力もない(仕事から何年も離れると、時代は進んでいってしまいます)と、給料のいい仕事が見つからない、というような面もあるかもしれない。このように考えると、非正規雇用者たちの社会保険を企業側にカバーする義務がない(むしろワザと逃れる、と言うべきかもしれない)ことによって、労働市場が歪んだ形になっているわけです。これがそもそもの問題であり、企業の人件費抑制策の落とし穴にみんな嵌まっているかもしれません。
今後、人口減少社会へ向けて、女性や高齢者の就業率を高くしていく必要があるのですから、雇用形態に係わらず企業はその社会保障について応分の負担をするべきであり、時間短縮や非正規とか正規雇用によるべきではない、と思います。雇用人員や給与総額に見合う社会的負担をすることで、こうした「社会保険料の壁」はなくせると思います。前から述べている社会保障改革で、保険料方式を止めて一元化し、企業の新税である「社会保障税」の導入を図るのが望ましいと考えています。このような抜本的政策を実施しない限り、若年層の結婚や出産を増加させることは難しいと思います。
政府は年間20万人のフリーター削減目標を掲げてはいますが、現状の社会保障制度ではそれは甚だ困難と言わねばならないでしょう。正社員は労働時間が週60時間を超える人の割合が増加しており、本当に労働の2極化が進んでいるようです。以前にも書いたように(格差社会3)、やっぱり正社員の下士官クラスがヘロヘロってな具合になってきているということでしょう。
ああ、あと書き忘れていたのですが、フリーターになりたくてなる人は非常に少ないようです。転職歴では、フリーターから正社員になる人の割合は減少しており、逆に正社員からフリーターになっていく人は増えている。フリーターからフリーターの転職も増えている。これはどういうことか?主に、自分に合わない仕事は辞めてしまう場合が少なからず見られ、転職するが残念ながら正社員ではなくフリーターになってしまう人は結構いる、ってことかな。フリーターから正社員へは、逆に険しくなっており、高卒・大卒ともに求人が増加している中でもそうですから、新卒時点での就職に比重が置かれ、その時点で就職活動が満足に出来ないような人材というものを雇用側が求めていない、ということなのでしょうか。
フリーターやパラサイトシングルについてなのですが、まさくにさんの分析をもっともと思う一方で、先日、まったく別の切り口から論じているサイトを見つけ、興味深く思いました。もしよろしければ、ご参考まで。http://mazzan.at.infoseek.co.jp/index.html#mokuji
いろいろ視点を変えてみると面白いですね。
逆の視点で見ても、自分が引き篭もりや正社員ではないフリーターであったなら、かなり厳しいんじゃないかとも思います・・・確かに価格低下の恩恵は受けましたが、それで社会全体の仕組みがおかしくなる(社会保障、犯罪増加、借金地獄などですね・・・)なら、やっぱり是正されるべきかな、と。
ところで、私、コメント欄間違えていませんでしたね。おっちょこちょいなものですから・・・
アジアでは日本よりシンガポールや香港の方が女性は子供を生みません。
台湾・韓国も少子化は進んでいます。
豊かになると親は子育て以外に生きがいを求めだすのでしょう。
日本も社会全体での取り組みは必要だと思います。
多くの国民が感じていると思いますね。ご指摘の北欧型政策についても検討されていますが、税制等仕組みの違いがあるので同じくは出来ない部分もあるかもしれません。が、研究して有用な部分は取り入れて行くべきと思います。