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新銀行東京に学ぶ経済学~その3(色々追加)

2008年03月13日 16時34分37秒 | 経済関連
※いくつかリンク先に参考記事を追加しました(19時頃)。

新銀行東京の将来を考える上で、参考になる銀行がある。例の木村剛氏の関与していた銀行です。
似たような中小企業融資を掲げて登場した、全くの民間による運営である日本振興銀行の場合にはどうなのか、見てみる。

決算資料>

日本振興銀行H18年度決算

日本振興銀行H19年度中間決算


直近の資料で比較すると、ある特徴が判る。とりあえず、H18年度の本決算では黒字確保となっていたが、この大きな要因は法人税等調整額で黒になっただけである。業務純益も経常利益も赤字であるので、銀行の基本的体質は苦しいことに違いはない。新銀行東京ばかりではないのである。
19年度中間期では業務純益がプラスに転じているので、若干の改善が見られているが本決算ではどうなのかまだ不明である。

新銀行東京の不良債権比率がうなぎのぼりになってきたのは、新聞等で報じられたとおり。では、日本振興銀行の場合にはどうなのか見てみる。

まず、資産運用の資金総額は増加している。これは金利の割と高い定期預金を多く集めることによって達成されている。資金コストが上昇するが、利ざやが取れる限り問題はない。

ア)貸出額は若干増加しているが、資金比率は45.4%から41.3%に低下している。
資金総額が増大しても、貸出を伸ばすのではなく国債を大量に購入して運用している、ということである。利ざやは小さいが、資金規模が大きくなるとメリットは出てくるだろう。要するに、貸出で銀行収益をもっと上げよう、ということではなく、国債を買っているだけである、ということ。

イ)貸倒引当金はほぼ同比率だが、個別引当金の割合が増加している。
半年間で、11億7500万円から約15億円に増加、貸出額に対する比率は約4.2%から約4.5%に増加した。

ウ)リスク管理債権比率は増加している。
18年度本決算では、約22億4千万円で貸出額に対する比率は約8%であったが、中間期では約30億7千万円で比率が約9.3%に上昇。破綻先等が約40%増加、3ヶ月以上延滞も増加した。

エ)金融再生法基準での債権分類でも、不良債権比率は上昇(正常債権比率は低下)している。
正常債権比率は貸出額の約92%から、約90.6%と1.4ポイント程度悪化している。破産更生等債権は貸出額に対する比率が約3.64%から約4.19%に悪化、危険又は要管理債権の合計額は増加している。特に要管理債権は2倍程度に増加している。


新銀行東京ほどではないが、日本振興銀行も不良債権は増加しているのである。この理由というのが何か、ということになるが、2つあるだろう。
一つは誰でも思いつく、景気悪化ということだ。
小規模な倒産件数は増加の一途を辿っており、その流れが継続しているのと、日本経済自体の減速傾向ということがあるだろう。デフレを脱却できなかったことも勿論ある(借入は負担増になる)。
もう一つは、大前氏の指摘のあった「大手行にカモられた」というのに関連しているだろう。それは例の「貸金業法改正」だ。何故木村剛氏があれほど法改正を糾弾していたのか、景気悪化の原因にこの法改正を挙げていた(参考:成長率の押し下げ要因は何だったか)のか、ということにも関係しているかもしれない。

それはこうだ。
大前氏の言うように、大手行への返済原資を得るために新銀行東京の貸した金が流れていった、というのとほぼ同じだ。上位に位置する(貸出金利が低く、喩えて言えばプライムな貸出ということかな)のは、大手行だの、その他銀行だの、金融機関だの、とあって、更に借入金利が上昇する貸し手の方に行くのはノンバンクや消費者金融業者ということになるだろう。つまり、この「最後の貸し手」の方から絞ったので上の方に金が流れなくなっていった、ということだ。消費者金融で借りられたときには、その借りたお金を銀行などの返済に充てていたのだ。しかし、消費者金融業者は金利引下げによって貸出を厳しくせざるを得なくなり貸さなくなって、すると、既に借入していた先(例えば新銀行東京とか日本振興銀行とか)への返済困難に陥ったということだ。

返済が回っていたのは、銀行の「次の貸し手」が必ず現れてきていたからであり、結果的には多重債務に陥らせることになっていたであろう。アメリカ人なら銀行借入が返済不能に陥れば、そこで「バンザイ」するのだが、日本人は銀行へ返済を継続しようとして、貸金から金を借りるのだ。しかし、この還流システムが、「次の貸し手」の末端の方(要は貸金)から絞られたので、銀行の方まで金が戻ってこなくなった、ということ。すなわち、貸倒増加ということになるのではないか。

民間だから、とか、官業だから、とか、そういう問題ではなく、日本の多重債務に陥る基本的仕組み(笑)が関係しているのだ。貸金業者の貸出が絞られれば、日本振興銀行とか新銀行東京などの借り手の中に、払えなくなる人たちが出てくることは「予め判っていた」のだ。そういうシステムになっていることが、日本の融資の中では「当たり前」になっていたのだ。

だからこそ、「貸金業者がやっていけなくなる」とか言っていたのだ。「次の貸し手」になってくれないと、困る銀行とかが出てくるからさ。なので、絶対に反対するに決まっている。
事業者への融資は除外せよ、と再三言っていたワケは、これで判ったよ。上限金利が厳しくなれば、これまで「最後の貸し手」に回っていた貸金業者たちが消えていなくなる。すると、自分が最後の貸し手になる可能性が出てくるわけだからね。プライムから遠く離れていくほど、その貸し手が「最後の貸し手」になる可能性は高くなるだろう。

関連記事:

貸金業の上限金利問題~その5

貸金業の団信の効果

(貸し手が銀行でも貸金でもヤミ金でも基本的な仕組みには無関係だ。もし完全自由化されていれば、おのおの単なる貸出業者でしかないのだから。ババを引かないように、次の貸し手が現れそうな人間に貸す、ということ。次の貸し手が現れないと新銀行東京みたいに焦げ付くことになる。数ヶ月で飛ばれてしまうのも同じ。)


新銀行東京の場合であれば、大手行が最初の貸し手、で、次の貸し手が新銀行東京、ということ。新銀行東京より下流に他の金融機関やノンバンク・貸金などがいたかもしれないが、そこらへんが貸さなくなると上に金が戻ってこなくなるので不良債権となるであろう。

新銀行東京 19年度中間期

コスト率がどの程度か判らないと、この前書いたのですが、これに出ていました。
もう全然ダメね。集めた資金の殆どが定期預金なので、調達コストが1.05%、その他運営経費が1.93%もかかっているので、合計で2.98%と、3%近い水準です。これは貸倒率を除外した水準ですから、ここに貸倒率を上乗せすることになるので、ほぼノンバンクよりも高い貸出金利とかになってしまいかねませんね。コスト率3%+貸倒率3%なら、最低でもこれ以上の貸出金利や運用収益をあげない限り、赤字ですから。業務純益の若干の改善が見られますが、これは物件費が軽減されただけなので利益が伸びたわけではないですね。土地建物等の負担軽減なのか、委託業務見直しで利権の一部が解消されたのか判りませんが、本業の儲けがいいわけではない、ということです。

更に悪いのは、貸出金残高が着実に減っている、ということです。19年9月末では2218億円で、僅か半年で250億円もの融資残高減少になっています。投資運用収益で3%もの成績は期待できないだろうと思うので、せいぜい国債利回り程度でしかないでしょう。すると、コスト率が3%もあるのだから逆ザヤとなるのは確実です。なので、少なくとも3%を上回る金利で貸し出す以外にはないのですよ。資金量が膨大で、国債程度の利息収入でも経費や預金金利を払えるのであれば、貸出は少なくてもいいですよ。しかし、そうではない。資金総量が小さいが故に、調達コストも経費のウェイトも高くなりがちなので、これを上回る貸出金利を確保できないと安定的な運用収入では赤字になるだろう。

リスク管理債権比率は、約188億円で貸出総額の8.47%、破綻先債権は昨年中間期から約200%増の24億4千万円、16億円以上も増加している。昨期の中間ではリスク管理債権比率が2.24%だったものが、たった半年で6.22%に増加、更に半年で8.47%に増加、というのは尋常ではない。しかし、新銀行東京のリスク管理債権比率は8.47%だけど、日本振興銀行ではもっと高い約9.28%だったから、官業のせい、というわけでもないかも(笑)。それと、金融再生法基準でも、新銀行東京の正常債権比率は89.83%に対して、日本振興銀行でも90.56%ですから、僅か0.7ポイントしか差がないですね。破産更生等債権は新銀行東京の3.46%に対して、日本振興銀行は4.19%ですから、この部分では新銀行東京の方がまだ少ない、ということです。ただ、危険債権とか要管理債権の比率が異なるので、一概には言えないわけですが。

この前目にしたのですが、日本振興銀行をちょっと称賛しているような記事を見かけたのですが、それって、多分誤解ではないかと思われます。

ちょっと追加:
コレね>はてなブックマーク - 新銀行東京 - 漂流する身体。

債権の構成を見れば、それほど大きな違いなど見当たりません。違いが大きいのは、官業っぽいので新銀行東京の方が初期投資額が大きく、経費も甘い、ということかと思います。これは書いた通りに、多分、様々な利権絡みとか、オコボレなんかのせいではないかと思いますが、定かではありません。


そもそも「貸倒率が高い」というのは、貸出ターゲット層がどこなのか、ということで違いがあるのは仕方がないのです。異常に高くないのであれば他の銀行より高くても問題ないし、倍の貸倒率であっても新規貸出が供給でき、融資残高が維持できるバランスが保たれている限り、銀行経営は成り立ちます。ただ、年平均貸倒率が3%の層であると、貸出金利をかなり高くしないと無理でしょうね。新銀行東京なら、コスト率3%+貸倒率3%となり、最低でも平均貸出金利が6%となっていなければならない、ということです。今の体質のまま400億円を追加投入しても、業務利益が上がるようにはならないと思えますが、如何でしょうか。


まあ池田信夫が言うみたいに、金利が30%だろうが40%だろうが払える中小企業は日本にいくらでもあるのであれば、新銀行東京も日本振興銀行も貸出先に困るはずもないし、チマチマと国債運用なんてやってないで、もっと儲けられるであろう「高い金利」(笑)で貸し出せばいいものを、どうして貸さんの?
なのに、一体全体何を思ったか、与信残高比率をわざわざ下げて、資金総量を大きくして「国債運用」でも経費が賄えるようにしたいんですと(笑)。それは不合理ではないのか?わざわざ儲ける機会を自ら放棄すると?なにゆえ?


大爆笑だね。
これが彼らのビジネスモデルなんだそうです。
中小企業に高金利で無担保融資できる、いくらでもそういう企業はある、と豪語しておきながら、実際にやっていることは「与信比率を下げ」て、安全資産である国債運用で経費捻出しよう、ということですわな。


あれだな、日経や産経の記事で書かれていた理屈と一緒だな。
中小企業や零細個人が借りられなくて倒産する、だから貸せ、と言っておきながら、新銀行東京みたいに貸倒率が高すぎると、「ずさん融資」などと非難するのだそうだ。新銀行東京も、貸倒が増加して融資を控えて融資残高が激減したんじゃないですかね。

新聞にはどちらでも書ける。何でもそうだね。
自分たちに都合よく、好きに書けるのさ。

あれほど、もっと貸せ、貸せるように自由にしろ、とか言っておきながら、何故「新銀行東京は融資残高を250億円も減らしたんだ、もっと貸せ、貸さないとヤミ金に行くぞ、倒産件数がもっと増えるぞ」とか言わないのかね(笑)。


本当に勉強になりますね、生きた教材は(笑)。

日本の学力低下を散々嘆く新聞社説子や記者とかが、科学的応用力や情報読み取り能力に乏しいのではないか、それゆえ立場が変わればいくらでも主張を変えてくるということも、よく判りましたよ。

ほんとうに、ありがとうございます(爆)




関係ないけど、記事を投稿してから、ウチのブログ特有なのか、goo全体でそうなのか不明なのだけれども、激重でページが切り替わるまで凄く時間がかかる。他のはてなとか、普通のページは普通に開くし、切り替わり速度も普通なのだけれど、ウチのブログはどうしてこれほど時間がかかるのか、謎。

まさか…(また陰謀論、笑)




また追加なんですが(20時45分くらい)

NIKKEI NET(日経ネット):経済ニュース -マクロ経済の動向から金融政策、業界の動きまでカバー

(以下に引用)

日本振興銀、定期預金残高1000億円突破
 日本振興銀行(東京・千代田、上村昌史社長)は13日、個人・法人の定期預金残高が10日に1000億円を超えたと発表した。2007年末に札幌、仙台、広島、福岡の四都市に店舗を開設するなど、拠点網の拡大などが寄与した。

 同銀行は個人・法人の定期預金受け入れや中小企業向け貸し出しに特化。2月末時点で16都道府県、39店舗の拠点網を持つ。今春には上越・四国地方にも新たに店舗を設け、10年までに100店舗にする計画だ。(20:02)

=====


この記事が出たのは今日の20時02分、これは偶然に一致にしては出来過ぎなような気がします。
日経記者の中に、何かのツテとかコネクションがあって、業界からのご意見だの頼みごとだの、そういうのが効くとかあるのでしょうかね?
ちょうちん記事みたいなのは、週刊誌だの何だのの筋ではあると思いますけど、ここまであからさまなタイミングで出るというのは、どういうわけなんでしょう(笑)。ああ、これも単なる陰謀論に過ぎませんので。
ウチのブログ記事が出されて、それを誰かが監視しているとか、御注進が銀行筋に行ったので、思わず対抗記事を日経に流したとか、そういうことは一切考えておりませんのでご安心下さいませ。


引用記事が抜けてた…
リンクが切れるので、日経記事を引用しておきました。


なるほど、納得!
みたいな。

世の中の仕組みというものについて、私のような田舎者で頭も悪く身分の低い人間には知らないことがたくさんあるね。上流階級の方々には、インナーでしか判らない力学だの、政治的影響力だの、きっと様々なことがあるんでしょう。

NIKKEI NET:検索 日本振興銀行

日経さんの記事検索では、日本振興銀行に普通の関する記事なんて全然ないんですよね。でも、右側に並んでいるスポンサーリンクを見ると、何となく感じるものがありますね。

定期預金、おまとめOKのローン、求人情報2件、と7本中4本が日本振興銀行ですか。ま、検索語に応じて出てくるスポンサーが違うのかもしれませんが。

けど、上に来ているのが噂に上った(隊長のところ辺りで見かけたような…)ビービーネット(株)さんのMSCB話ですか。ふーん。そうですか。いや、全然興味もなかったし、何も知らないんですけど。

ビービーネット株式会社 第3回・第4回MSCB

で、ウェル・フィールドキャピタルとかって、何かで見たかも、とか思ったわけですが、2月にSESCから行政処分勧告が出されていましたな、ウェル・フィールド証券は。
20215 ウェル・フィールド証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

先のMSCBの文書によれば、ウェル・フィールドキャピタルという会社は、ウェル・フィールド証券の100%子会社で、総資産700万円で従業員1名の、所謂「ペーパーカンパニー」っぽい感じがしますが、どうなんでしょうか。会社実態はあると思いますけれども(割当先になっているのですし)、売上高0円ですし、単なる受け皿として存在しているだけみたいにしか見えないですね。過去1期しか存在してない会社みたいです。これが、6億円のMSCBの割当先ということなんですか。
金融関係というのは、とても複雑なので大変勉強になります。

で、ビービーネットという会社の大株主には、日本振興銀行とウェル・フィールド証券が並んで記載されている、と。そーですか。

頭のいい人たちにしか判らない、何かと難しい仕組みがあるんですね。




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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マスコット (ろっし)
2008-03-13 20:35:13
 かわいいマスコットをつけましたね。金融だけでなくパソコンにも詳しいようで。確かに、コメントを押しても画面に変わるまで時間が掛かります。(陰謀論に少し納得(笑))

 私は、あなたに比べど素人なので、銀行内部の詳しいことは解かりません。あなたの記載を読みそうなのだろうと思う次第です。

 地方銀行、信用金庫の今後が、個人的には心配です。大手銀行は、サブプライムの影響はほとんどありませんが、国際競争力もありません。地方銀に至っては、負不良債権処理も遅く、地方の景気の余波も受けるでしょう。

 日本人の気質は、お金を借りること事態がみっともない。自己破産は、恥。そういう部分はありますね。日本人は、排他的で欧米の感覚とは違います。いい面でも悪い面でもあるでしょう。もう少し、現実的な部分に触れると、女性と男性で融資の審査も違いますよ。銀行や大手の金貸しは違いますが。大手の金貸しも(債権徴収不可能者)名簿を売っているみたいなので一緒なんですがね。何故だかは、お解かりになりますよね。これが現実です。
マスコットは (まさくに)
2008-03-15 15:28:21
gooのブログには、挿入できるように付いている幾つかのイラストがあって、その一つがこれです。昔、記事中に入れたりしていたのですが、面倒なのであんまり使わなくなりました(笑)。

借金が悪い、という定型的な発想ではなく、やはり金融全体に対する理解とか、自分で管理できる水準とか、そういうのを知るべきなのかな、と思います。誰もローンで購入が極悪だ、とは思っていないと思いますので。あとは、いきなり破産ではなく、整理や債務減免などの再生プランについて、もうちょっと幅がある方がいいと思います。
債権譲渡最前線 (yuki)
2008-04-25 08:48:52
それは真実とは信じがたい金融の一場面だった。
日本振興銀行は、すでに個人事業金融部門に業務展開をはかり、そしてこの春、個人金融に進出した。

消費者金融業務をするといっても、支店網、職員数などの人的・経営資源の制約から、消費者ローンを独自に貸付け、審査承認し、信用モニターし、回収する体勢にはなかった。
そこで業者からグレーゾーン金利で貸し付けられた個人ローンを譲渡を受ける方法ではじまった。
譲渡後は、29%金利を18%に下げて請求するが、1%の預金コストゆえ、4~5%の消費者金融業者の資金調達コストでは資産保有の不可能な貸倒信用リスク負担も、銀行はとることが可能となる。
銀行は、資産に対して一定比率の高い収益を生み出す個人ローンを金融業者から譲渡を受け、多額の信用損失を埋め合わせるに足りる個人ローンを保有できたはずだった。それにより、貸倒の増加により、それを埋めあわせる収益がでていなくても、資本毀損のために外部資本調達に頼ることも必要でなくなる。
このごく、ありふれた個人ローンの譲受による業務戦略が、他方で余りに大きな反響を呼んだ。
債務者の間で、社会秩序の混乱というほどの混乱だ。
それは、たぶん近いうちに、メディアで報道されるだろう以下の例からうかがい知れる。ここでは、メディア報道される前に、緊急を告げる事態を、これ以上法秩序混乱が悪化しないためにも、書き込みさせていただき、銀行業務の債権譲渡による消費者の犠牲を防止するため、警告を発しさせていただきたい。

事実とは信じがたい状況1
銀行は、三和ファイナンスという業者から、ローンを譲り受けた。
金額、件数など詳細は不明だが、3月21日づけの債権譲渡のはがきが、個人債務者に届いた。
連名による通知だ。
譲渡契約日、債権の権利移転日、譲渡通知日、いずれも3月21日。
債権譲渡通知はありふれた内容で、銀行が業者に貸し付けたローンの担保権の行使くらいに見えたが、譲渡の原因については記載がない。
ひとつ大きな違いは、譲渡の対象ローンが、グレーゾーン金利で貸し付けられていたことだ。債務者はいつ債務整理を申し立てれば、裁判外で、利息制限法適用金利で引き直し計算して、元本額を減額したり、過払い金があれば、不当利得返還請求することができた。いまどき、どこも訴訟などして争うことはなくなった。業者は、通常過去10年分の取引履歴を提示して、元本債権の消滅を承諾し、和解契約を作成する。債務整理では、グレーゾーン金利が元本返済扱いにして再計算された債権額を36ヶ月分割して、金利なしで、支払うことが慣例化している。グレーゾーン金利支払いが、残債額を上回り過払い金が発生すれば、債務者に返還される。
すでに債務整理代理人業界では誰もが知るようになったが、この業者は、過払い金を数ヶ月にわけて分割して支払ったり、半額に負けてくれと懇願する。今年になっては、判決をもらっても払わず、銀行口座や店舗にあるATMを差押えても数万円しか入っておらず、失敗に終わることが相次いできた。差押による強制執行は、100も同類の債権が重なり合い、成果はますます得られない状況だという。挙句のはてには、判決で認められた額の10%なら払ってやるという態度と伝聞される。
そのことが、今回の唖然とする銀行業務というのではない。そういう業者から、譲り受けるのであれば、コンプライアンスや風評リスクには慎重に注意して業務することが求められるというくらいのことだろう。
事態は、銀行無法地帯とも思える驚きの惨劇となっていた。
譲渡通知を受けた債務者から、債権額が多いという苦情が相次いだ。
20万円だったはずが60万円の、6万円のはずが20万円の残債務の請求が来たとかで、債務者は確認してみたら、割増請求されていると、あわてた。
以下のケースも普通にごくありふれた事例にすぎないから、唖然とすることになる。
違いは、債権が正常な債権というのではなく、すでに数ヶ月前に債務整理され、和解合意を得て、支払いが滞りなく行われていた債権だったことだ。
現在の金額は25万円ほどで、和解成立前の残高は、90万円ほどあった。引き直し計算して、債権額は、60万円近く消滅して、30万円ほどにまで減り、和解契約どおりに返済している。銀行の譲渡通知の債権額は、90万円ほどだった。
それだけならただのデータ誤りというだけのことだが、相手は銀行だ。どこでどうしてそうした残高相違がでてきたかはわからないが、そうした割増の誤りは、数えるほどというのではなかったということだ。それによって、儲けを目論んだという穿った見方をせざるを得ないほどに。
疑問どころか不安に駆られた債務者は、債務整理を受託した代理人に、問い合わせたことから、それが一人ではなかったことから、たまたまのミスではないことが債務整理代理人業界にまで知れ渡り、メディアにまで知れることになった。
代理人が銀行に対して、残高の修正通知を求めたところ、銀行の対応は、次のようなものだった。
応じられません。その金額で債権譲渡を受けています。払っていただけなければ、通知したように、保証会社に代位弁済してもらうだけです。
代理人は、債務整理を求めたのではなく、単なる事実としての数値の修正を求めたに過ぎなかったというのに。銀行は、再度の銀行との間での債務整理となると考えたようだ。銀行にとり、90万円の債権が譲渡された事実は、争いのない事実だったというのか。
譲渡通知には、ゴールデン商事という会社が連帯保証人になるので、保証委託申込書を別送するので、申込書に署名して、返送するように依頼が記載されていた。保証は、債務者と保証人との間で、債務者が保証人に保証委託を申込み、応諾されて成立する。債務者は連帯保証など頼んだ覚えもなかった。
しかも、債務は、すでに和解により、60万円は消滅していたから、存在しない債権を、保証会社に支払わせようというのだ。いや、90万円の債務の支払いを拒絶するなら、債務者の同意があろうとなかろうと、保証会社が弁済して、消滅したはずの債務を再び復活させ、代位弁済により、債務者に求償しようというのだ。違法というのか、架空請求事件なのか。それが営業として行われているとかの状況となっているようだ。
銀行経営者は、断固として、グレーゾーン金利支払いのみなし弁済の効力を主張していると見られ、すでに成立した和解を無効と判断しているかに見えるが、それについては、今後の日銀記者クラブの報道に委ねよう。
違う事例では、保証委託を申し込む意思はないといえば、それなら、さらにゴールデン商事に債権譲渡をして、そちらで回収してもらうという。一体ゴールデン商事とは何者か。資本金2400万円、東京の下北沢のゲームゴールデンというゲームセンターの関係会社で、特に何も業務をしていない。そんなところに、大量の個人ローンの審査、保証業務も回収業務ができるとは、通常人でさえ考えに及ばないが、銀行は、保証の審査・引受け・履行能力があると専門的能力で判断したのだろう。
銀行が、なぜすでに成立した債務整理の和解を認めず、従前の債権を請求し、保証会社の詳細も開示しないで、保証委託申込書を送りつけ、代位弁済させ、債務者の申込みが得られなければ、さらにその会社に債権譲渡までしようというのか。
全体像が見えてこないが、代理人業界の見方では、銀行はすでに事業ローンの貸金業者の体質だという。銀行員というより、事業ローン職員気質という感じで、元従業員らしき文化が漂うという。今回では、消費者金融文化がなくてはできないこと。元消費者金融職員を雇ったのだろう。それにしても、消費者金融業者が、和解したという債権について債務整理を認めないという話など、聞いたこともない悪質さ。ありえる話ではないことから、この話は、債務整理代理人の間で広まってしまい、メディアまでが知る状況となっている。
貸金業債権、新銀行東京、日本振興銀行に関心をもたれる貴台のような知識人に知っていただきたく、ここに書き込みをお許し下さい。

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