始まりに向かって

ホピ・インディアンの思想を中心に、宗教・心理・超心理・民俗・精神世界あれこれ探索しています。ご訪問ありがとうございます。

2012年(4)・・恐竜と人類とアステカの都

2011-07-28 | マヤ・アステカ・オルメカ
エイドリアン・ギルバート著「古代マヤ文明の暗号・2012」を読んでみました。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


前回の記事に紹介した「世界樹の上にとまっている鳥ウクブ・カキシュ」は、マヤ神話にでてくる「前の時代にいた悪い鳥」で、人々はその鳥を滅ぼして、紀元前3114年に、新しい時代を造ります。

著者はその「鳥」は、恐竜であったと考えます。

プレアデス星団と人類の関係について述べたものはいろいろあると思いますが、どれも「はじめにプレアデスありき」、という感があります。

その中で、著者はできうる限り当時の人々の視点に立とうとしているところに、わたしは共感しました。

「人類とプレアデスと2012年」というテーマへの解答としては物足りないですが、まだ本の途中なので、続きがあります。


       *****


        (引用ここから)




悪い鳥ウクブ・カキシュは二人の息子を残す。

兄シパクナは「ワニの形をした巨人」であった。

兄弟は傲慢で、人々は計略を用いて彼らを峡谷の洞窟に閉じ込める。

兄弟はそのまま硬い岩になってしまう。


“巨大なワニ”のようなシパクナが洞窟の中で石になる、という話が作られた理由は簡単だ。

メキシコでは白亜紀の化石が大量にみつかる。

中には有名なTレックスの親戚であるアルバートサウルスもいる。

初期のマヤ人の少なくとも一部は、洞窟に住んでいた。

ユカタン半島の洞窟は、地下水脈の侵食によってできたものだ。

ユカタン半島では体毛のあるマンモスの化石が発見されている。


古代マヤ人がそれ以外の化石に出くわしていたとしても不思議はない。

中には白亜紀のものもあっただろう。

洞窟を作る鍾乳石が形成されていたのは白亜紀のことだからだ。


もしもマヤ人がアルバートサウルスの化石を発見したなら、保存の状態によっては、「これは巨大ではあるがワニの仲間だ」と正しく判断していただろう。

また奇妙なことに、“とかげのような怪物を罠にはめた”という話はマヤの神話だが、実際にメキシコは恐竜の大量絶滅において重要な役割を果たした土地だ。


現在では恐竜の絶滅を引き起こしたのは6500万年前にユカタン半島沿岸に落下した小惑星だった、と信じられている。

これは実際に一つの「時代」、「恐竜の時代」の終わりであり、新たな時代、すなわち「哺乳類の時代」の始まりだった。

恐竜の絶滅が、それほどの大昔であることを古典期のマヤ人が知っていたとは思えないが、実に驚くべきことに彼らは“ワニのような生物の終末”を一つの時代の終わりに当てはめたのである。


それだけではない。

このシパクナと、“歯のある鳥のような生物”とのつながりもまた、恐竜の記録から明らかだ。

現在の鳥には歯が無いが、白亜紀の飛行恐竜である化石がメキシコで発見されている。

このような空飛ぶ巨大生物についての直感的な記憶が、ウクブ・カキシュ「歯のある鳥のような生き物」の物語の元になったのではないだろうか?

マヤ神話の元となったのは生きた恐竜よりも、むしろ絶滅した恐竜の化石だったという方がありうる話に思える。



たぶんマヤ人が「現在の時代」の始まりとする「紀元前3114年」の時点では、恐竜はまだ完全には絶滅していなかったのだ。

そう考えれば、洋の東西を問わず、人々が「竜」に魅了される理由が明らかとなる。

「竜」は明らかに恐竜に似ており、そしてその一部は空を飛ぶのだ。


          (引用ここまで)


            *****


恐竜というと、相当古い生物のような気がしますが、メキシコにはかつて恐竜はたくさん生息しており、人類は太古の恐竜の記憶を保っている可能性があるのかもしれません。

とりわけユカタン半島というマヤの故郷は、巨大隕石の落下により恐竜が絶滅した場所であるとすると、たしかにそれは「一つの時代が終焉した」、という古い記憶として残存していてもおかしくはないと思われます。

アジアの竜も、所狭しと中空を飛びますが、人類と竜あるいは恐竜は共生していたのかもしれません。

人が鳥だった頃、、という比喩は、人が恐竜を見た頃、、という意味なのかもしれません。

そして、竜は空飛ぶ蛇でもあるのであり、人類はこのくねくねとした生物と深い因縁があるのだと思われます。



次に、「紀元8世紀のテオティワカンの滅亡に関する天文学的証拠が残っている」、と著者が語る「終了した鳥の時代」について、著者が述べていることをまとめてみます。



       *****

 
       (引用ここから)


マヤの絵文書の中で最も有名な「ドレスデン絵文書」には、仰向けになった巨大なワニの姿として天の川が記されている。

天の川は、その身体に惑星の象徴をちりばめ、一つ前の時代を滅ぼした洪水を吐き出している。

マヤ人はこのワニの開いたあごを、銀河の中心にある暗い裂け目と同一視した。

その位置では星星の光が、ちりによって弱められるのだ。


アステカ人は52年周期の終わりに、プレアデスの運行を観測していた。

11月初頭のある日に、すべての灯を消して山頂に集まり、夜中に天頂を見上げ、プレアデスの運行が止まるかどうか、見守る。

これを確認した後、彼らは人身御供を捧げ、灯を灯し、今後52年の生存を許された幸運を盛大に祝う。


ではテオティワカンとウクブ・カキシュおよび、ワニのようなその息子の退治の話にはなにか関係があるのだろうか?

この神話の後半では「400人の若者たちの魂はプレアデスに向かう」とされている。

この都が遺棄された時期とプレアデスの運行は密接につながっているということが分かった。



725年から800年頃、テオティワカンは遺棄されたとされている。

コンピューターによると、727年の11月20日、天空を見上げたテオティワカン人はプレアデスの小さな星のひとつが天頂を通過するのを見たはずだ。

そしてこのとき、銀河は南東から西北方向に天空に弧を描いていた。

西の地平線上には、ワニの口である黒い空間の先端があった。

つまり天空にはシパクナの神話が描き出されていたのである。

彼は口を開け、地下に降りようとしている。

その上には世界樹の柱があり、さらに上にはプレアデスの400人の少年たちがいる。

つまりこの“天空の劇場”は「ポポル・ヴフ」の話を完璧に描きだしているのだ。


プレアデスが正確に天頂を通過するという現象が、それ以前のテオティワカンでおこったことはない。

だがそれ以前からテオティワカン人にとってプレアデスは重要な星団だった。

なぜならこの都が築かれたとき、この都の最大の建造物である「太陽のピラミッド」はこの星団の没する方角に向けられたからだ。

太陽が最初に天頂を通過する日に太陽と同時に上昇するのではなく、プレアデス星団自体が天頂を通過するのは、彼らにとっては重要な予兆であり、たぶんこの都を焼く必要があったのだろう。

そして彼らは焼け残った都を捨ててどこかへ去ったのだ。



テオティワカンの人口は600年から700年ごろにピークである20万人に達し、マヤ人にも後のアステカ人にもきわめて重視された。

今日では、その主要な広場、ピラミッド、通りは紀元前100~紀元300年頃に築かれたとされている。

だがマヤの記録によれば、「この遺跡はそれよりも遥かに古い」と書かれている。


      (引用ここまで・つづく)


                *****






「ITMediaニュース」2010・03・05の記事を転載させていただきます。


「恐竜絶滅の原因は「ユカタン半島の地球外天体衝突」 国際グループが「論争に終止符」」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/05/news063.html



                ・・・・・


論争が続いていた恐竜絶滅の原因は「白亜期末に起きたユカタン半島での地球外天体衝突」だと国際グループが結論づけた。


 約6550万年前に恐竜が絶滅した原因は「メキシコ・ユカタン1 件半島で起きた地球外天体の衝突」と結論──東北大、千葉工業大の研究者ら世界12カ国・41人の専門家による研究結果が、3月5日に米科学誌「Science」電子版に掲載される。

白亜紀末に恐竜を含む大量の生物種が絶滅した原因をめぐってさまざまな説が唱えられてきたが、研究グループは「論争は決着を迎えた」と自信を見せている。

 白亜紀末に起きた大量絶滅の原因として、ノーベル物理学者のルイス・アルバレズらは1980年、「直径10キロの地球外天体の衝突が引き起こした環境変動が原因」とする説を提唱。

白亜紀と第三紀の境目の地層(K-T境界)から多量のイリジウムが見つかったのが論拠になった。

91年にはメキシコのユカタン半島に、直径180キロのクレーター「チチュルブクレーター」が発見された。

この「チチュルブ衝突」が恐竜絶滅の原因とする説は、日本でもテレビ番組が恐竜絶滅の原因として紹介したことなどでよく知られるようになった。

 一方、同時期にインドのデカン高原を形成した大規模な噴火(デカントラップ)が原因とする説や、複数の地球外天体なども唱えられ、論争になっていた。

 研究グループは、各国の地質学や古生物学、地球物理学、惑星科学などが学際的に集まり、世界中で報告された地質学的痕跡や衝突クレーターの物理特性、数値モデルの結果などを再検討した。

 その結果、「チチュルブ衝突による環境変動で大量絶滅が統一的に説明できることが明らかになった」という。

根拠として

(1)世界約350地点で報告された白亜紀末の地層にチチュルブ衝突起源の物質が含まれる、
(2)衝突と大量絶滅のタイミングは厳密に一致していることを確認、
(3)数値計算によれば、衝突で大気中に放出された粉塵や森林火災によるすすなどは、光合成生物の活動を長期間停止させうる──という。

食物連鎖のベースとなる光合成生物=植物プランクトンが死滅したことで、恐竜などの大型生物の食料がなくなり、絶滅したと結論した。

 一方、火山噴火は約100万年にわたったものの、環境に与えた変化は小さく、火山活動が最も活発だった時期には大量絶滅が起きていないことなどから、絶滅を説明できないとして退けた。

また複数の天体衝突説も、白亜紀末を含む1000万年間のイリジウム濃集度を調べた研究から、この間の巨大天体衝突はチチュルブのみだったと結論した。

               ・・・・・




関連記事

「ブログ内検索」で

マヤ           15件
隕石            3件
恐竜            2件
竜            15件
蛇            15件
第4の世界        15件
鳥            15件
テオティワカン       9件
アステカ         15件
ポポル・ヴフ       11件
プレアデス         8件


などあります。(重複しています)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2012年(3)・・鳥の時... | トップ | 2012年(5)・・アトラ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

マヤ・アステカ・オルメカ」カテゴリの最新記事