中沢新一氏が熊本のエコビレッジ作りに協力しておられるという記事を先日取り上げましたが、政党を立ち上げる意向も持っておられる、という話が10月3日の新聞にありました。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011100302000016.html
「脱原発掲げ「緑の党」 中沢新一氏ら来月にも」
2011年10月3日 東京新聞朝刊
人類学者で明治大学野生の科学研究所長の中沢新一氏(61)らが「緑の党」(仮称)を十一月にも立ち上げることが分かった。
中沢氏が本紙のインタビューに応じ、語った。
脱原発を綱領の柱に掲げ、東日本大震災後の日本の転換を目指す運動を展開。
欧米の「緑の党」との連携を図る。
「緑の党」には有識者のほか、里山保全や地域通貨の創設などに取り組む市民団体メンバーらが参加。
正式な名称や具体的な活動内容は今後詰めるが、最初は正式な政党の形態はとらず、創刊予定の雑誌や、インターネットなどを使って全国のネットワークづくりを進める予定。
エネルギーでは太陽光やバイオマスだけでなく、植物の光合成の仕組みを応用した発電などの提言を検討。
他の政策課題でも、成長を前提とした経済から脱して、有機野菜中心の食生活や自動車に依存しない生活を目指し、情報発信する。
中沢氏は「震災後の日本は政治が貧弱化している。生き方の根底を大きく変えるネットワークをつくるのは今しかない」と「結党」理由を説明している。
当面は国政選挙には直接かかわらず、中沢氏も「立候補するというと従来の既成概念が先行してしまう」と自身の出馬に否定的だが、将来候補者を支援、擁立することも「有力な選択肢」としている。
原発のある自治体と連携、住民投票を行う運動にも取り組む。
欧米では1970年代以降、反戦や反原発を掲げる「緑の党」という名の政党が誕生。
ドイツでは1998年に連立政権入りし閣僚ポストを得たほか、福島の原発事故後も、脱原発を掲げて支持を広げている。
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「緑の党」という名前は、聞いたことがあるような気がして、wikipedia「緑の党」を見ると、以下のように書いてありました。
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wikipedia「緑の党」より
日本での試み
1983年、河西善治が西ドイツ(当時)緑の党をモデルとした「東京緑派」(DIE GRUENEN) を結成し、参院選に東京選挙区より出馬している。
比例区ではMPD・平和と民主運動(現市民の党)への投票を呼びかけた。
1986年、元第四インターナショナル活動家太田竜らが「日本みどりの党」を結成。
その後太田派と非太田派に分裂、太田派は「日本みどりの連合」を結成した。
その後、「みどりといのちのネットワーク」として再統合、大石武一らの推薦を受ける。
同時期、水の浄化を訴える「環境党」が結成されている。
また、重松九州男らを中心に結成された「日本世直し党」も「日本版緑の党」を名乗っていた。
1989年、山本コウタロー、北沢杏子、円より子、田嶋陽子らを中心に環境保護とフェミニズムを掲げる「ちきゅうクラブ」が、また、作家の今野敏や元三重大学教員の坂下栄、反原発運動・環境保護運動の活動家らを中心に「原発いらない人びと」が結成された。
共産主義労働者党や第四インターナショナルなど一部の新左翼勢力は「原発いらない」を支援した。
1992年の参院選では、前述の「みどりといのちのネットワーク」「ちきゅうクラブ」「原発いらない人びと」を統合した環境政党「希望」(代表は藤本敏夫)が立候補した。
1998年頃より保守リベラル政党であった新党さきがけが環境政党として再出発を表明。後に代表となった中村敦夫は黒岩秩子と共に院内会派「さきがけ環境会議」結成。
2002年、「みどりの会議」に改称。三木武夫・三木睦子夫妻の長女で無所属の参院議員だった高橋紀世子と中村が所属。2004年の解散後は「みどりのテーブル」に活動を引き継ぐ。
2007年、「みどりのテーブル」が中心となって参院東京選挙区に「無所属共同候補」として川田龍平を擁立し、当選する。
また、司法書士の黒田恒一が環境社会主義党を結成して参院選に出馬することを表明したが、直前で出馬を辞退した。
地方政治においては消費者運動からスタートした「生活者ネットワーク」・「神奈川ネットワーク運動」・「ネットワーク横浜」や、市民運動出身の無所属地方議員の連絡組織「虹と緑」、新潟県の地域政党「緑・にいがた」(旧「市民新党にいがた」)などがそれに該当する。
2008年、川田龍平は、「みどりのテーブル」から離脱した(その後、2009年に「みんなの党」に入党)。
「みどりのテーブル」・「虹と緑」が合流して「みどりの未来」を結成し、「みどり」系の地域政党・地域政治団体との連携を進めながら、地方政治および国政において「みどりの政治」の実現を目指すことを表明した。
2009年には、元自民党員の長友清冨が森海党を結党し、各種選挙に出馬している。
なお、日本で「緑の党」を名乗る団体も存在するが、これは日本労働党から分離した新左翼党派であり、本項の「緑の党」と理念がまったく異なっているので、創設者(三橋辰雄)の姓から、「三橋派」として区別される。
(引用ここまで)
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聞いたことがある名前がたくさんありますが、これからもさらに、いろいろとタケノコのようにたくさんの運動が生い茂るに違いないでしょう。。
現在の日本の「緑の党」
「みどりの未来」HP
http://www.greens.gr.jp/
これらの政治団体が取り上げている環境問題や自然保護や反原発運動や代替エネルギー推進運動などは、これからの文明に関する重要なテーマをたくさんはらんでいることは確かであると思いますが、
気鋭の学者である中沢氏が政治にあえて名乗りをお上げになるのは、どのようなお考えに基づいてのことなのかよくわからない、という一抹の不安を感じることも否定できません。
中沢氏が敬愛し翻訳も手掛けておられる文化人類学者レヴィ・ストロースが、政治参加に関して言及しているものとして、前に「熱い社会」と「冷たい社会」に関するインタヴューを紹介しました。
この紹介記事は当ブログでは「ホピの予言と文明の危機」というカテゴリーに入れてあります。
つまりレヴィ・ストロースが「熱い社会」と名付けているわたしたちの現代文明と、当ブログのテーマである先住民族の文明=「冷たい社会」とは異なった原理で動いている異なった社会であると考えているのですが、
それら二つの異なった社会原理を研究する「文化人類学者」の「政治参加」という「熱い行動」は、学者としては逆説的でしかありえない、というスタンスが語られていました。
その逆説を、学者があえてやってみるという心意気に、たいへん驚くと共に、共感もしています。
「熱い社会」=現代社会を、実際に冷却して、少し「涼しい社会」にすることができるのか?
「現代社会」に内在するに違いない私たち個人個人の潜在力としての「野生」のパワーは、いかにしたら発揮できるのか?
「現代文明と野生」という魅力的なテーマが、今後どのように展開されるのか、大変楽しみにしています。
「明治大学野生の科学研究所」HP
http://sauvage.jp/
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