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オセアニア文化は古代アメリカ文化・ヘイエルダール・・南アメリカと南太平洋(8)

2017-04-26 | アフリカ・オセアニア



「南海文明・グランドクルーズ・・南太平洋は古代史の謎を秘める」という荒俣宏氏・篠遠喜彦氏共著の本の中の、荒俣氏のお話の部分をご紹介を続けます。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
    
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         (引用ここから)

「熱帯楽園のアダムとイブ」を追って

ヘイエルダールが最初に南太平洋のマルケサス島に入ったのは、1930年代の終わりでした。

当時マルケサスへ行こうというようなヨーロッパ人はごく限られていましたが、彼は夢をもって南方の島に出かけました。

島で暮らしていると、分かってきたことがありました。

一つは、波は常に東側から打ち寄せてくる、雲も東の方向から湧いてくる。

いつも同じ方向から波や風が来るということを、彼は非常に不思議に思いました。

東側から来るということは、南アメリカの方から来るということ。


それまでは言語学がとにかく決定的で、ポリネシア人は西の方から、つまりアジアの方から来たとするのが定説だったのです。

事実ポリネシア語を知っていると、イースター島でもニュージーランドでも東南アジアでもマダガスカルでも、互いになんとなく分かり合えるほど共通点があります。

ですからポリネシア人はアジアから渡ってきたという説が広まっていて、そういう説を唱える人が非常に多かったのです。

が、彼はふと、人間も波や風のように、東側から、つまり南アメリカから来てもいいじゃないかと思うようになります。


たしかに「貿易風」などがありますから、東から来る可能性はあるんですね。

そしてマルケサス島で探した多くの遺跡・遺物が、彼に新しい刺激をもたらします。


かれは頭蓋骨の手術跡をみつけちゃうんですね。

これはインカ帝国、つまりペルーあたりの文化です。

ペルーでは頭蓋骨に穴を開ける手術をする文化がずうっとありました。

そういう手術の跡を、彼は事もあろうにマルケサス島で発見しました。


さらに、サツマイモのような南アメリカ由来の植物がずうっと分布している。

サツマイモを最も古くから栽培していたのは、間違いなく中米から南米にかけてです。

つまりアメリカ大陸です。


このアメリカ大陸で作られていた食べ物が、コロンブスが世界をめぐるよりも先にすでにポリネシアに定着していて、それをみんなが食べていたとすると、いったいどういうことなのだろうか?

かならず人間が持ってきたに違いないとすると、やっぱり南アメリカの方から持ってきた可能性が高い。

ヘイエルダールは一つのひらめきを得て母国に帰ります。


母国ノルウェーでいろいろな研究をしているうちに、北アメリカに住んでいる人から連絡がありました。

「あなたがやっている研究は、なかなか面白いけれども、あなたがマルケサスで得た標本の石像と同じような形の神像が、アメリカ西海岸のインディアン、つまりトーテムポールを建てる人々の間にもある」と手紙で言ってきたのです。


石の神様を、マルケサスでは「ティキ」と呼びます。

「コン・ティキ・ビラコチャ」の「ティキ」と同じです。

ティキはポリネシアでも神様の名前であるのです。


「コン・ティキ・ビラコチャ」という神はものすごく重要な神で、チチカカ湖あたりに天下った古い神様です。

白い肌をして、髭をたくわえ、すらりと背の高い姿です。

髪はなんと金髪だったというんです。

これは、ヨーロッパ人そのままでしょう?

「ビラコチャ」は、石づくりの大都市を建設し、クスコの都市を作り上げた神様だと言われています。


「インカ」は「太陽の神」です。

太陽を崇拝しているのですが、太陽の神様は「インティ」といって、インカの人々はこの「インティの子供」だから「インカ」というのです。

ところが南米人は、その太陽の神様よりさらに偉い神様、「ビラコチャ」を創ったんです。



なんでこんな神様を作ったのか?

これは実は、文明の創造の由来に関係しております。

この神様については、インカに非常に風変りな伝説があります。

その伝説は今申し上げた通り、「白い肌をした、非常に長いひげを生やした人がインカのチチカカ湖の方に天下った。

全文明はそこで教えられた。

チチカカ湖には、葦舟を作って、葦の舟上で生活したりあるいは葦の上に家を作ったりして暮らしている人々がたくさんいる。

その葦の文明なども、みんな「ビラコチャ」に授けられた。

「ビラコチャ」は地方によっては「ティキ」とも、「コン」とも呼ばれるそうです。

これを全部合わせて「コン・ティキ・ビラコチャ」となるわけです。


イースター島でも「トトラ」という葦が、火口湖の中に生えていて、これはチチカカ湖の「トトラ」と同じ種類なんです。

イースター島でもやはりその葦で舟を作っていて、モアイの体にその絵が描かれています。

そういう「白い肌をして、長い髭を持った神様」がインカに存在していました。


ヘイエルダールは後に、ペルー、イースター、北米インディアンの文化遺跡を比較し、この神様たちの共通性の多さに注目します。

北米インディアンもポリネシアと交流があったのでしょう。

航海民ですからね。

さらに、ティアワナコやチチカカ湖のペルーの神様だけじゃないんです。


メキシコの方へ行きますと、「ケツァルコアトル」という神様がいます。

この神様も天空の神様で、やはり同じように「白い肌をして、長い髭をもっていた」と言われています。

また別のバージョンでは、それはジャガーと「ケツァル」という鳥、あるいは蛇がつながった形の神様だと言われています。

三重人間の神です。

いずれにしても創造神です。

その土地の文明を作り上げた神です。


オルメカ文化からずっとつながって、アステカで滅んだ中米のマヤ系統の文化についても面白い話があります。

その文化の源は「トゥーラ」という名前の都市だった。

「トゥーラ」は「トトラ」と意味が同じで、葦がたくさん茂った所です。

ペルーもやはり同じように、チチカカ湖の葦がたくさん茂ったあたりが聖なる場所でした。

そういう場所に伝説が残っています。


大きな舟を仕立てた創造主たちは、必ず西の方へ行ってしまう。

「また帰ってくるからな。俺たちは新しい所を探しに行くけれど、また帰ってくるからな」と言って、航海に出た、という話が多いんです。

そして近世わずか100人か200人ぐらいしかいなかったスペインの征服者達に、何万人もいたメキシコ原住民あるいはペルーの原住民の軍団が滅ぼされてしまったのです。


「この、海からやって来た、白いひげを生やした人たち」は神の再臨ではないか?」

「これは大切にしなければいけない」と彼らは思って警戒しなかった。

むしろ崇め奉り歓迎したので、それが大国が滅んだ一つの原因だったと言われています。

これはキャプテン・クックがハワイ島で「白い神」=ノロに間違えられ、最後には殺されたのと同じような話です。


南太平洋の島々でも、昔から語られていた伝承の痕跡がかすかに伝わっています。

その一番いい例がイースター島です。

イースター島は1720年にオランダの船長が発見しました。

この人の記録を見ると、

「当時はまだモアイが全部立っていて、村人たちは非常に大きな畑を作って、食物も十分にあり、大きな文明を築いていた。

島の人々をよく見ると、肌の白い人や髪の毛の赤い人など、様々な人がいて、髪の毛が赤く、長い髭を生やし、そして白い肌をもっている人々が一部、像を造り、それ以外にもちょっと背の低い別の人々がいた」

というんです。

背の高い白い肌のグループには、ちょっと気になる特徴があって、みんな「耳長族」なんです。

「耳たぶにコルクをはめて、そのコルクを大きくしていって、耳を長くしていた」というのです。


ヘイエルダールはポリネシア人と南アメリカのペルー人やインカや前インカの人々を比較する研究を行っていましたが、イースター島で長耳族のことを聞いたとき、「え、ほんとかい?」と驚きました。

というのも、ペルーでも全く同じだったからです。

ペルーからメキシコにかけても、やはり耳たぶを長くする大きなイヤリングのようなピアスのようなものがありました。

ペルーの「黄金博物館」に展示されていたのをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

長い耳ほど非常に尊い人種であると考えられていたのです。

このことも同じように一致していました。


    (引用ここまで・写真(下)はチチカカ湖とあし舟「アンデスの封印」より)

              *****

同じような話の繰り返しのようですが、少しずつ西に場所が移動しています。

アメリカ大陸の古代神「ビラコチャ」は、南太平洋をも住処とする神なのでしょうか?

これだけ広範囲かつ長期間の古代アメリカ文明が、ただ一つの合言葉「ビラコチャ」でくくられてしまうのは、面白くないような気もしますが、どうしてもこの渡来神の由来の解明抜きにしては、考えることができないようです。

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