始まりに向かって

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父祖たちは石伝いに海を渡ってきた・・マヤ族の神話「ポポル・ヴフ・三」(4)

2011-02-04 | マヤ・アステカ・オルメカ
マヤ・キチェー族の神話「ポポル・ヴフ」の第三部を抜粋して紹介しています。
続きです。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


                  *****
 

          (引用ここから)


●第7章

やがて彼らはある山の頂へやって来た。


ここですべての部族が集まって、いろいろと相談し合った。


こうして彼らは寄り集まって、夜明けを待ちあぐねた。


太陽がまさに上ろうとする時、太陽に先駆けて現れる明星の出現を待っていたのである。


そして

「我々は同じ様にあちらの方から一緒にやって来たのに、いまは散り散りバラバラになってしまった。」

と言い合った。


彼らは幾多の悩みを抱え、いろいろな苦しみをなめていた。


食べるものがなくて、食事もできなかった。


杖の先のにおいをかいでは、物を食べているような気持になっていた。



彼らがどのようにして海を越えて来たのかは、はっきりしていない。


まるで海などというものが無かったかのように、彼らはここへ渡って来てしまったのである。



彼らは石伝いに渡って来た。


砂上に列をなしている石伝いに渡って来たのである。


それゆえこの石は「一列の石」、「取り出した砂」などと呼ばれているのである。


これは彼らが、水が二つに分かれてしまった所を渡って来た時につけられた名前であった。



ところで彼らの心は悩みに閉ざされていたので、寄り集まってお互いに話しあった。

みんな暗闇の内、夜の間、断食を続けていた。

あの山の上にいた頃の彼らの悲しみは、真に深いものであった。



●第8章


再び、神々が彼らに語った。

「さあ、行こう。

さあ、立ち上がろう。

ここにいるのはもうよそう。

我らをどこかひっそりとしたところへ連れて行ってくれ。


もう夜明けが近づいている。

お前たちが守っていてくれるこの壁の中で、我々が敵のとりこになってしまったら、それこそお前達にとって不幸なことではないか。

われわれを一人一人、確かな場所に安置してくれ。」


神々がこう言ったので、


「よろしゅうございます。出かけることにいたしましょう。

森を探しに出かけることといたしましょう。」

とみんなが答えた。


それから早速、彼らはめいめい、それぞれの神を手にとって、肩にかついだ。

こうして神々を森の大きな谷間に運んで行って、そこに安置した。


彼らはいっしょになって暁の到来、つまり夜明けに太陽に先立って現れるあの「イコキフ」という星の出現を待っていた。

彼らは眠りもせずに、じっと立ち続けていた。

彼らの心と腹は、暁と夜明けをひたすらに待っていた。


しかしその時、彼らは恥ずかしくなってきた。

彼らは非常な悲しみにおそわれ、非常な悩みを感じ、苦しみでいっぱいになった。


実際そんなにまでなったのであるが、彼らは

「ああ、われらは喜びも知らずにここまでやってきたのだ。


太陽が出るのだけでも見ることができればよいのに。

これから我々はどうしたらいいのだ。

我々が祖国にいる時は、みんな同じように考え、同じように感じることができたのに、今ではどうしてこんなに離れ離れになったのだろう。」

と彼らは哀れな声で、寂しさと悲しみのうちにこう言い合った。


彼らはこのように話し合ったけれども、暁の到来を待つもどかしさはいっこうにおさまらず、彼らの心ははやるばかりだった。


彼らは

「神々は谷間や森にあり、つたやコケのなかに座っている。

座る板の台さえも無いのだ。」

と言った。


かれらの神々がすべての部族の神々の上に及ぼしたその栄光、その力、その勢威はまことに偉大だった。

彼らは幾多の奇跡を行い、寒さにも関わらず、数えきれないほど幾度も旅や巡礼に出たのであった。

そして部族の人々の心は、みな彼らを恐れる気持でいっぱいだった。


彼らが森にたむろしている時、夜は明け、暁の光がこの我らの祖父、われらの父たちの上に輝いた。


     (引用ここまで・続く)



               *****



>彼らがどのようにして海を越えて来たのかは、はっきりしていない。

>まるで海などというものが無かったかのように、彼らはここへ渡って来てしまったのである。


この言葉は謎めいています。



>彼らは石伝いに渡って来た。

>砂上に列をなしている石伝いに渡って来たのである。

>それゆえこの石は「一列の石」、「取り出した砂」などと呼ばれているのである。

>これは彼らが、水が二つに分かれてしまった所を渡って来た時につけられた名前であった。


彼らの父祖が海を越えてやってきたという、この謎めいたストーリーを、彼らはこんなにもはっきりと記憶し、それをこのような形で記録に残しているとは、なんとすばらしいことでしょうか!



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