幅広い領域で年間何冊もの本を出版しつづける池上彰さん。
それらを読んでいるにも関わらず、ご本人が出演されると無条件で見てしまう。
そこが池上さんの驚異的なところです。
実は、まだ地元でテレビの仕事を始めたばかりのころ、
池上さんの指導を受けたことがあります。
中継映像をチェックしてもらい、ボロボロに酷評されました。
とはいえ、自分でも決して褒められた内容でないのは重々わかっていたので、
むしろあれだけ言っていただけたのは、
今となってはありがたいに尽きます。
さて。
ほんとうに池上さんは時間術、仕事術など
あらゆる参考になる引き出しをお持ちなのですが、
今回さすがだな!と思ったのはインタビュー力です。
“池上無双”と形容される、単刀直入な切り込み方は胸がすくような爽快さですが、
それに対する躊躇はおこらないのか、非常に気になります。
そこで出てきた言葉が
「みんなが知りたいと思っていることだから、聞く」。
そしてこそには、正義感はない。
自分を正義とは思わない。
確かに、ジャーナリストが相手にどう思われるかを伺いながらインタビューするべきではないし、
一方、「自分が正しい」と思って、相手に話を聞くべきでもない。
しごくまっとうなことだなと。
そうしたフラットな心理で質問するから気負うこともないし、
気負わないから、相手もしれっと話してしまう…ということなのかしら?と。
最近、人に話を聞くときに、自分の考えが前に立ちすぎているのでは?と
感じていた私にとっては、ありがたいアドバイスです。
ほかにもいろいろ興味深いポイントがありましたが、
池上さんには取材や解説ばかりではなく、
こうしたインタビューされる側のお仕事も引き受けていただきたいなと思う次第です。