教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

スクエニ社債350億円のナゾ

2010-01-22 00:00:15 | オタネタ全般
スクエニ ユーロ円建てCBで350億円調達 CB償還で乗換
http://www.animeanime.biz/management/2010011803/



ドラクエやFFでおなじみのスクエニ(証券コード:9684)。
ここが350億円の社債を発行したというので一部で話題になっている。

一部で話題ってのもアレで、
「よほどFFXIIIが売れなかったようだな」
とか言われる始末である。
特にアンチは大騒ぎだ。

FFXIIIにおけるアンチの騒ぎようは相当なものがある。
そしてその批判内容にしても、良し悪しの判断はともかく、挙げられた事実だけみれば至極まっとうなことを言っているように見える。

さてこれはどうなのか?

はっきり言ってゲームのほうはタダでもらってもやりたいと思わないくらい興味がない。
したがって財務状況のほうから分析してみようと思う。



そもそもこの350億円の社債、転換社債というもので発行されている。
株と交換してあげるという条件つきの社債で、運良く株価が上がったとしたら大もうけできる類の社債だ。
もちろん債権なので会社が倒産しないかぎり元本は保証されるため、そうそう損もしない。
株と債権の中間くらいのミドルリスク・ミドルリターンの投資案件と思って欲しい。

さて、スクエニはなぜ社債を発行したのか。
本当にゼニが底をつきかけているのか。

2009年2Qの決算短信を見てみることにする。
そこで明らかになったことがある。
350億円にほぼ同等額の370億円の社債をかかえている。
つまり、この社債の借り換え用だという疑惑が濃厚だ。

さらに見てみる。
2009年2Qの時点では自己資本比率も悪くないし、手持ちの現金も悪くない。
FFXIII発売以降となる現時点ではどうなのかは知らんが、そうそうゼニに困っている感じはしない。

しかし、銀行からの借り入れがほぼゼロ。
ようするに、スクエニは銀行との付き合いが悪いということだ。

ひょっとしたら銀行がカネ貸してくれない特別な事情があるのかもしれない。
そうでなくても今は時期が悪い。
370億円の社債の借り換え用で銀行に新規融資を頼みにいっても、AAA格でもないかぎり昨今では相手もしてくれないだろう。
370億円の社債は社債で返すしかないのが現状なのだ。

さてこの370億円はいったいどこから来ているのか。
過去の資料をナナメ読みしていると、これもワラント債(詳細は省くがさっきの転換社債っぽい性質のもの)で発行されていることがわかった。
そのうちの株に化けなかった分の残りが370億円あるということらしい。

今も昔も似たようなことをしているわけだ。
アンチがFFXIIIのせいにしたのは多分間違いだろう。

実はわたしはこういうのはあまり感心しない。
会社から見ると転換社債やワラント債は運が良ければ借金をチャラにできるものとして重宝する。
しかし株主から見れば、いつの間にやら株主がどんどん増えていくことにも等しいわけで、ようするに株価の値上がりを妨げる強い悪要因となりうる。
また、転換社債の正味価値から株価連動分を差し引いて債権の正味価値だけを保有するというデリバティブを使ったやりかたもあり、これも値上がりを妨げる強い悪要因となりうる。

こういう会社の株を買うときは要注意だ。
とくに、借金をチャラにすることを前提に転換社債を発行していて、転換されずに債権が満期まで残りっぱなしになっていて、また転換社債を発行して・・・というある種の自転車操業にある企業の株は。