アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

カイユボット展

2013-10-15 | 展覧会

東京に行く機会がありましたので、ブリヂストン美術館の「カイユボット展」に行ってまいりました。初めて訪れたブリヂストン美術館は、東京駅から徒歩5分ほど、都会の真ん中のビルの中にある素敵な美術館でした。従業員もたっぷり!いらっしゃって、さすが民間の美術館は余裕あるな~って感じです。

ギュスターヴ・カイユボット、印象派の一人ですが、あまり有名ではないですよね。名前は知っていました。以前に展覧会で作品を見たことがあるのかな…?今回、彼についての情報をいろいろ読んでみると、印象派を支援した人として、大変重要な役割を果たしていたことがわかりました。かなり経済的にも豊かで、他の印象派の画家たちとは一線を画していたのかもしれませんね。近年は画家としての作品の再評価がなされているとのこと、回顧展も今回が日本初の開催です。

印象派といいながら、けっこうしっかり写実的に描かれている作品たちは、どちらかというと、マネとかのように印象派前夜…という印象を受けました。しかしながら、描いたテーマは、その時代ならでは。改造によって変貌していく近代都市パリの風景や風俗を、明快な画面構成と明るい色彩で描きあげました。

一番よかったのは、チラシにも掲載されている「ヨーロッパ橋」。サン=ラザール駅の上にかかる鉄橋の、この巨大な鉄の人工物の堅牢さとデザインの正確な美しさにとても存在感があり、またこの作られたばかりのまっすぐな道を強調かするような遠近法がとても印象的です。全体的に青みがかったグレイッシュな画面が清楚で、空の青さと日差しの強さから、とても明るい印象を受けました。描かれている人の表情ははっきりはわからないのだけど、それぞれの身なりやポーズから、その人の人生が垣間見えるような…。

展覧会では、画家の弟のマルシャルの、家族や風景を撮った写真も多く展示されていました。カイユボットの作品には、「上から見下ろした大通り」のように、通りの街路樹を上から俯瞰した、とても斬新な視点で描かれた作品もあり、写真との関連も論じられているそうですが、直接マルシャルの写真に影響受けたり、自分が写真を撮ったりという形跡は見られないらしい。むしろ、後の写真家に影響を与えたと言われているそうです。

パリ近郊の風景や、ボート漕ぎなどの作品も素敵でしたが、私は人とともに描かれたパリの都市の姿に心惹かれました。何といっても、今回はさすがに来日していなかった「床削り」を見てみたいですね~。

カイユボット展は始まったばかり、12/29(日)まで。


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