ついに夏空がやって来た。
といっても夏はどちらかというとキライなほうだから、
晴れた空に感激!ということかな。
ものすごく久しぶりに山岳クライミングに行ってきた。
所属山岳会では同行者がいないので、B山岳会の
山行に混ぜてもらった。
錫杖岳前衛壁である。 私の未知の岩場は「唐幕」とか
いくつかあるが、そのうちのヒトツであり、いつかは登りたい
と思っていた岩場だ。
クリヤ谷から見上げる前衛壁の全貌。
写っている日時はデタラメなので、気にしないでね。
槍見温泉対岸の駐車場に車を置いて、朝0630時に出発。
もう10パーティーは上がったようだ。
槍見温泉脇の道を20mも進むと
傾いた電話ボックスが目印。 登山口です。
樹林帯を延々と1時間半ほど登ると下のクリヤ谷と錫杖沢
の出合いに出る。 結構急登で汗が搾られる。
↓正面が錫杖沢出合い。この左岸につけられた踏み跡を登る。
梅雨末期の雨で増水しており、靴を脱いで渡渉を強いられる。
遅れた私は途中でフラフラとルートを外れてしまう。
足がよれてるせいか、バテて判断力が鈍ったせいか。
中高年登山遭難「路迷い」の典型ではないか。
それでも時々壁が正面に見えていたので、方向は間違ってない。
1時間ほどのアルバイトで岩場の基部へ。
どうやら3ルンゼの取り付きらしい。
結果オーライ! というか立派な3ルンゼのアプローチだったようだ。
水が流れておるが、なかなかどうして立派な面構えではないか。
左に5分も歩くと左方カンテの取り付きに出た。
すると先に歩いていたはずのベルの面々がやって来た。
彼らも途中でルートを外してしまったらしい。
予想どおり左方カンテは大渋滞ではるか上まで数珠つなぎである。
まるでくさりにつながれた奴隷のようではないか。
でも初めての岩場の概念を掴むにはこのルートから登るべきだと決めてきたので、
少々の待ち時間は覚悟のうえ登りだす。
1、2pは順調だったので、安心していたのもつかの間。
うちらの前の3人Pがどうしようもなく遅い!
ルートファインディングは悪いわ、ピッチを20mごとに切るわ、ビレイ解除してからセカンドが登り出すまで30分?一時間?(この間に下のピッチを登ってきたものは5名)もかかるって、上で何やってんだよ
このピッチでぶち抜くべきだったが、こちらも5人いるし、 短いルートだし、我慢した。
次の核心でも遅いなら迷わず先に行かせてもらう。
あんまりヒマなので、今日私とマツが登るはずだった「ジェードルルート」の
観察をする。
ジェードルルート1P目の核心と思われる。
水が流れている。 5.10cらしいが、この状態ではトライできない。
その上部2P目のL字型のコーナークラックが
鼻血がでそうなレイバックらしい。 5.10a/b
秋の乾いたときにでも登りに来たいな。
さて左方カンテに戻って見ると、トップが交代したせいか、なんとか抜けたようだ。
一応核心のピッチらしい。 5.8? いやいやⅤ級+といったほうが、しっくりくるかな。
OWからフィンガークラック。
ここも濡れていてそれなりに悪かったが、プロテクションがほとんどNPですっきりとしたピッチである。 最後はカンテに出て(最後の最後でカンテだ!)軽い乗り越しがスパイス。
最後はもろいランナウトの草付フェースを登り切るとこのような気持ちの良いピークに出た。 残念ながらガスで穂高は見えず。
7pのルートなので、普通なら3時間もあれば終るはずなのに
何と5時間もかかってしまった。 でも終わりよければ全てよし。なかなか楽しかった。
苦労して登ってきた道を一目散に下って、槍見温泉に到着。またもや汗だくである。
露天温泉につかって星空を眺め、冷えたビールで乾杯
もう何も言うことは無い。
一夜明けて2日目
昨日は登攀中曇っていて、丁度いい気温だったが、今日はものすごい晴天だ。
樹林帯を登っていたはずなのに、あっという間に日焼けしてしまった。
大体朝が遅すぎるんだよな。 誰のせいだ? 起こされるまで寝こけてた奴は
8時に出発。 登攀開始は10時45分くらいかな。
今日はKMT親方と新人2名は1ルンゼに行く。
わたしとまっちゃんは「注文の多い料理店」である。
さぞやこの人気ルートも長蛇の列かと思いきや。
先行は1パーティーのみ。
今日は私がオールリードさせてもらえることになった。
そろそろ書くのが疲れてきたので、詳細はカットするが、なかなか質の高いルートであった。 ところどころ濡れていてOWは水が滴り落ちていたのが言い訳ではないが、テンションを入れてしまいました。(恥)
壁に呑まれていたのかも・・・ 出だしの2Pまでが精神的にやられた。
高度感たっぷりの3P目のOW↓
核心の2Pはだんだん慣れてきて楽しくなってきたので、またリベンジしたい。
今回はキャメ4(旧サイズ)まで用意したが、クラック形状から言ってヘキセンとナッツが有効である。 ナッツは結構使った。 ボルトはほとんど抜かれており、ハーケンも2P目にあるだけだったかな? 1P目は相当ランナウトしますので、トップは気をつけてね。
次回はヘキセンを用意しよう。
4P目のOW↓ このビレイ点のペツルが脱落していた。
↓最終ピッチに向う。
安定したテラスから快適なフィンガークラックとフィストのダブルクラックが続き楽しい。
最後はフェースに出て左方カンテに合流して終了であった。
またもや槍見温泉まで下山して宴会。 いやー露天風呂最高だ。
ベルの皆様有難うございました。 楽しい山行を味わえてアニマルは幸せでござんす。