長楽館へ出かける前に、早目に京都へ行き、こちらへ。
西本願寺の正面の小道へ進むと、たくさんの仏具屋さんの向こうに
オニオンドームのある、独特の建物が見えてきます。
1912年(M45)に、浄土真宗西本願寺派信徒の為に建てられた
生命保険会社の社屋です。
第22代門主の大谷光瑞が、東大卒の建築士、伊藤忠太に依頼して建築。
(この日は、街おこしのイベントで、なにか仏具の、ゆるキャラがいました。)
赤レンガと花崗岩による、イギリス・クイーンアン様式と、
インド、中東のサラセン様式がミックスされています。
ずっと修復作業がされていて、今年修復が終わったばかりです。
大谷光瑞は、25歳でイギリスへ留学、その後、
大谷探険隊としてインドや中東に調査、また布教に出た折に、
同じくインド、中東へ放浪中だった、伊藤忠太と出会い、意気投合!
帰国後、この西本願寺伝道院を設計依頼します。
この伊藤忠太は、平安神宮の再現設計で、建築家デビュー、
明治神宮も手掛けています。
この伊藤忠太という建築士は、
「法隆寺の柱は、古代ギリシャのエンタシスと関係があるのではないか」と
最初に発表した方だそうです。
今では、この説は歴史の教科書にも載っていますね。
東京の築地本願寺別院も伊藤忠太が、この伝道院のあとに設計した建物です。
見れば見るほど、優雅なクイーンアン様式と、
エキゾチックなサラセン様式のミックス具合が
なんとも、面白い味わいです。
伊藤忠太は、化け物や妖怪を好んでいたそうで、
この伝道院には、そういったモチーフがたくさん使われています。
ただ、伊藤忠太の妖怪は、丸々と太らせているので、
あまり不気味ではなく、案外、可愛らしいのが多いです。
ゾウのような、鶏のような、獅子のような動物、妖怪がいっぱいです。