Con Gas, Sin Hielo

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「僕のワンダフルライフ」

2017年10月09日 19時20分59秒 | 映画(2017)
泣かせる味じゃん。


ちょうど2年前の10月に飼い犬が急死した。一緒に暮らしていた家族が突然いなくなる喪失感は味わった者でなければ分からない。

犬が人間より寿命が短い以上は死別は避けられない運命であり、みんなそれを知っていて犬を飼うのだが、その寂しさは想像以上であり、ほとんどの人は飼い犬にまた会えたらと願う。

「最愛の飼い主に会うためなら、僕は何度でも生まれ変わる」というこの映画の主題は、飼い主の夢だ。

誰もが抱く感情に寄り添う話だから、基本的に奇をてらった演出はない。主人公の飼い主・イーサンと飼い犬・ベイリーの生活、特にイーサンの子供時代は相思相愛、お互いの息もぴったりの理想を絵に描いたようなものであった。

ただ、成長したイーサンには挫折が待っていた。父親の事業の失敗、そして自身の将来が断たれる事件の発生。塞ぎ込むイーサンは付き合っていた女性と別れ、ひとり故郷を離れる。そしてほどなく迎えるベイリーの死。

そこからベイリーの輪廻転生の物語が始まる。「イーサンにまた会うために生まれ変わる」と掲げてはいるものの、2度め3度めの「犬生」も飼い主の愛情を受けて立派に勤め上げる。

寿命を全うすれば生命サイクルは15年くらいであろうか。「フォレストガンプ」のようなはっきりとした描写はないものの、ベイリーの生活の背景に時代の変遷が映し出されていく。

はじめにイーサンの家に来たときはキューバ危機だったから、4度めの生まれ変わりはもう21世紀に入ったころなのかもしれない。イーサンは故郷の家に戻ったが喪失感を抱えたまま初老の域にさしかかっていた。

一方で4度めにして初めて飼い主からの愛を失う経験をしたベイリー。路上に捨てられて彷徨った先で偶然鼻先をかすめた懐かしい匂いを辿っていくと、果たしてそこには楽しい思い出に満ち溢れた我が家があった。

ツッコミを入れようと思えばいろいろあるんだけど、この手の話はベタな部分を強調するくらいがちょうどいいわけで、イーサンとベイリーの再会から、イーサンに笑顔が戻ってくる最後の場面まで涙腺が緩みっぱなしであった以上は何も言うまい。

ベイリーは生まれ変わるごとに犬種も性別も変わる。みんな健気でかわいいから犬好きにはたまらないことだろう。この辺りは商売上手のひとことに尽きる。

(70点)
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