Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「スプリット」

2017年05月13日 00時44分08秒 | 映画(2017)
ラストで意表を突かれたから看板に偽りなし。


いくら期待外れが続こうとも映画館に足を運ばせる何かを持っているM.ナイト・シャマラン監督が、ついに特大ホームランを放ったと評判の作品。

23もの人格を持つ男が女子高生を誘拐し恐怖の底へ陥れるという設定でまず掴む。その多重人格をJ.マカヴォイが演じる様子が流れると興味は加速度的に増す。超一流の仕掛け人・シャマランの真骨頂と言えよう。

誘拐+監禁とくれば密室での攻防が延々と続くのかと思いきや、男に治療を施しながら精神的に支える医師の動向や、誘拐された女子高生の一人ケイシーの過去の話が組み込まれるため、少し気を抜くと頭の整理が追い付かなくなりそうになる。

ただ23あるという人格のうち物語のカギとして登場するのは一部なので、次第にすべてのキャラクターが並び立つ。それとともに人格同士の関係が明らかになり、更には隠されていた24番めの人格の存在がほのめかされる。

あり得ないものが画面に登場してしまうのがシャマラン流なので、この超人格も当然のように現れる。絶体絶命のケイシーに起死回生の手はあるのか。

本作に社会的なメッセージを込めようとしているのかは定かではないが、男が解離性同一障害を発症した原因は子供のころの虐待である。男は「苦しみを乗り越えた者だけが生きるに値する」と語り、自らの可能性を最大限に引き伸ばした存在を完成させるのだ。

苦悩を力に変える主人公。あれ?この流れって・・・ひょっとすると。

そう、本作は恐怖やサスペンスの殻を被ったアメコミなのであった。同じくマカヴォイが演じたプロフェッサーXに目をかけてもらえれば立派なX-MENである。

となると最後の下りもある意味必然である。まさかあの話に繋がっていくとは思いもよらなかったが。

オープニングのタイトルの出し方や後ろの音楽、エンドロールの24分割映像が小洒落ていて良い。見せ方を心得ていると実感する。

興行的な成功を経て続篇の製作も決定したようだ。どうみてもアクション映画にカテゴリー分けされそうだが、どう見せ場をこしらえてくれるのか楽しみである。

最後に、強烈な主人公の前にどうがんばっても勝ち目のない女子高生たちであったが、H.ルー・リチャードソン「スウィート17モンスター」に続いて良かった。独特のオーラを醸し出していたケイシー役のA.テイラー・ジョイとともに今後注目していきたい。

(85点)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「カフェソサエティ」 | トップ | 「ガーディアンズオブギャラ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(2017)」カテゴリの最新記事