Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ジャンゴ 繋がれざる者」

2013年03月03日 01時10分51秒 | 映画(2013)
頭のくぼみを刺激する。


アカデミー賞では助演男優賞と脚本賞で栄冠を獲得したが、その評価に完全に同意する。

舞台設定が巧い。主人公・ジャンゴの出自や環境は王道をなぞりながらも、彼をサポートするキング・シュルツ医師や真の敵対者である男の個性と振る舞いが、物語を強く引き締める。

見せ場の演出は、とにかく観る側が快感を得るツボをことごとく押さえる。間をしっかりとって、掛け声があっても不思議じゃない空気に包まれる。

「1万人に1人のニガー」を演じるのはJ.フォックス。最近サンダーのK.デュラントと被って仕方がないが、1万人どころではないスーパーなヒーローがハマっていた。

L.ディカプリオは、ジャンゴの妻を所有する農園主・キャンディ。こういう役が好きそう。憎々しい演技も良かったけど、退場は少しあっけなかった気がした。

S.L.ジャクソン。こんな人物ですか。確かにこの時代にいたのかもしれない。設定を変えれば、現代にも十分通じる腐った組織の膿のような存在。最期はあんなもんでしょ。

そしてC.ヴァルツだ。ひょうひょうとした会話のやりとりから瞬時にモードを切り換えて相手の息の根を止める華麗な強さが目を引いた。キャンディから執拗に握手を求められる下りはとにかく魅せる。

西部劇や時代劇になると顕著に現れるが、分かりやすさを求める層というのは時代を問わず常に存在する。

苦悩するヒーローの心の奥底を探るのもいいけど、まずはすっきりしたい。この種の要望に、現代で最も的確に応えられるのがQ.タランティーノ監督ということなのだと思う。

(85点)
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4 コメント

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Unknown (mig)
2013-03-04 00:10:29
点数近いですね ^^

女神だといってるタラのヴァルツさんがとにかくステキ。
前回で悪人だったから今回はいい人にしたんだろうなぁ。
サミュエルはパルプでもファンに一番人気のキャラなんですが、
やってくれちゃいました。

>確かにこの時代にいたのかもしれない。設定を変えれば、現代にも十分通じる腐った組織の膿のような存在

そう、なにかの映画でもこーいうのいたんですよ。
黒人でびっこひいててワルっぽいの、
B級ので。たぶんそれのパクリだと 笑


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小悪党 (クラム)
2013-03-10 05:32:55
migさん、おはようございます。

C.ヴァルツ、前回は悪役だったんですか。
順番を逆にして観るのもおもしろいかもしれませんね。
サミュエルは、ある意味かなりおいしい役回りでした。
どの映画でも、どこかクセのあるように見えるのは
「パルプフィクション」から連なる系譜ということなのかな。

黒人で障害者なんて弱者の象徴的な外見が実は仮面という、
きれいごとの社会を逆手にとった小悪党。
本当に虫酸が走るのはこういう現実的なワルなので、
この設定と結末はすっきりしました。
パクリだとしてもね。いや、パクリってのがかえって好感が持てるかな。
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今晩は☆★ (mezzotint)
2013-03-14 23:29:48
クラムさん
お邪魔するのが遅くなりました。
ありゃ寝ちゃいましたか。確かにレイトだと危ないかも、、、。
意外に淡々とした感じでしたから眠気を誘うかもしれませんね。

そうそうサミュエルさんは出番少ないけど美味しい役どころ
でしたね。レオ様は頑張った割には意外にインパクト少なかった。やはり完全なる悪役キャラにはなれないのかも。
逆さ吊りのあの姿はホステルを思いだしました。
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年度末 (クラム)
2013-03-16 22:57:53
mezzotintさん、こんばんは。

年度末は慌ただしくて、自分が思う以上に体が疲れているみたいです。
今日(土曜日)もレイトショー行こうかと思ったのですが、
19時台から眠気が襲ってきて、こりゃとても無理だなと。

サミュエルはいやらしさ全開でしたよ。
障害者を装うなんて、まあ憎たらしいったらありゃしない。
ディカプリオは悪役できるし向いていないわけではないと思います。
まだまだいい役が回ってきますよ、きっと。
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