Con Gas, Sin Hielo

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「バーレスク」

2011年01月09日 14時34分34秒 | 映画(2011)
隠し切れぬオーラの功罪。


ミュージカルといえば、通常の会話さえも歌にしてしまう非日常の印象が強いが、本作はやや違う。

舞台の上以外では、BGMとしてNEON TREEなど最近のポピュラーな楽曲がかかったりするくらい。

それだけ舞台の華であり物語の核となるC.アギレラシェールへの比重を強めた構成とも言える。

そして、もはや説明の必要のないビッグネーム2人のパフォーマンスは、そうした期待に十分に応えている。

特にC.アギレラであるが、半ばアイドル的に鮮烈なデビューを飾ったのは10年以上も前。確か子供も産んでるはず。

なのにデビュー当時と変わらぬ可愛さと、歌に入れば力強く伸びる声量と声圧。まあ立派の一言である。

ただ気になったのは、あまりに彼女の可憐さやパフォーマンスに欠点がないため、主人公・アリがアイオワの田舎から出てきた当初の存在に説得力がないことである。

初々しさと垢抜けなさは違う。働き口を探しにLAの街を闊歩する時点で、もはや雑誌から抜け出た「超」の付くセレブ級オーラが全開のアリ。

だから、シェール扮するクラブ経営者のテスたちが目もくれない場面には大きな違和感を感じざるを得ない。

そう考えるとC.アギレラとミュージカルというのは、企画するのが10年遅いくらいの抜群の相性なのに、中身次第ではハマらないこともあるという何とも微妙な関係だ。

配役はよかった。相変わらず作品ごとの印象が変わるS.トゥッチには唸らされたし、アリの相手役となるジャックの甘い外見も合格点だ。

ただ、ストーリーはどうだろう。

三角関係でじりじりしていたアリとジャックの間は、突然のアクセル、ブレーキ、急転回の繰り返し。アリが来る前に店の看板嬢だったニッキーや不動産会社のオーナー・マーカスが絡む話も、ざくっと中抜けしておきながら突然進行。

登場人物の設定や話の大まかな流れは変えようがない王道でよいとしても、とにかく繋ぎが雑という印象が残った。

結論としては、主演の華やかさを表面的に楽しむにはよいが、掘り下げようとすると長所が帳消しにされる恐れあり。ややもったいない。

(75点)
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4 コメント

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Unknown (mig)
2011-01-09 22:38:23
なかなか面白かったですよね☆
期待してなかったので、余計に広いもの的なお得感ありました~

おバカでヒットした「ハングオーバー」より好きだな。
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今年も宜しく♪ (mezzotint)
2011-01-10 01:09:23
すみません。ご挨拶がかなり遅れまして(汗)
今年も映画について色々お話したいですね!
さて「バーレスク」、音楽が嫌いではないのですが、、、。いつからほとんど音楽に接することがなく。そんな感じなので危うくスル―しかけたようなのですが、どなたかのブログを拝見して、気になり。。。良かった!!久しぶりに音楽を堪能出来ました。またアギレラというパワー全開の歌手の存在も知る事が出来たので、ニ度美味しさを味わったかな。
シェールのことは覚えているのですが、どんな歌を唄っていたのかも覚えておらず、情けない話です。また色々教えて下さい!
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音楽映画 (クラム)
2011-01-10 02:18:11
migさん、こんばんは。

いろいろなジャンルの話を見られてこその映画。
時にはこうしたゴージャスな世界を味わうのも楽しいものです。
「ハングオーバー」もまた違った妙味だとは思いますが
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暮らしに音楽を (クラム)
2011-01-10 02:22:41
mezzotintさん、こんばんは。

こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
C.アギレラは、デビュー当時こそアイドル扱いされかけましたが、
自ら道をアーティスト方面へ舵を切り、
ほどなくあのパワー全開のヴォーカルで世界を席巻しました。

だいぶ前ですが、「ムーランルージュ」のタイトルとなった
"Lady Marmalade"を歌ってましたよ。
シェールもそうですが、
今はYoutube等で昔の曲を聴いたりPVを見たりできるので、
お時間があったらぜひ聴いてみてくださいね。
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