Con Gas, Sin Hielo

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「アンストッパブル」

2011年01月10日 01時35分18秒 | 映画(2011)
過ちを犯すのも人間なら、命懸けで救うのも人間。


T.スコットと聴くと、観てハズレはないなと思う。

すごく心に残るというほどではないものの、ほぼ間違いなく楽しめる上質な娯楽作品を作る。そんな印象だ。

リストを見るとそれが改めて分かる。前回は・・・、あれ、前もD.ワシントンが列車を動かしてるじゃないか。

アクションの撮り方はもちろんのこと、ドラマ部分の設定や筋書き、それぞれにおける全体の構成と実にソツがない。

ソツがないといえば、対照的なのは本作の登場人物だ。

乗客の命を預かる身でありながら、仕事への姿勢が隙だらけの鉄道マンたち。事故の発端となるミスを犯す作業員だけでなく、後にヒーローとなるフランクやウィルも、家庭の問題が頭を過ぎり業務中に携帯電話を手にしてしまう。飲食店で油を売っていた職員もいたっけ。

事が動き出した後はといえばこれも実は大差がない。曲がりなりにもこれでお金をもらっている身として、形は違えどある程度体を張って抑えにかかる姿勢は共通だ。

唯一大きく方向が分かれたのは現場の責任者と会社の幹部であるが、果たして立場が逆だったら同じ判断ができたのか。

失敗したとはいえ列車を止める手段を講じようとしていただけに、一概に幹部側を袋叩きにするのもどうかと思ってしまう。フランクの採った手段も無謀の度合いとしては近かったわけだし。

そう考えると、出てくる人物がみな人間臭いところが好感が持てるし、何よりこの物語の本質を突いていて面白い。

現実臭い人間とは裏腹にアクションはまさに映画。

ゆっくり動き始めてから最後に止まるまで、この列車の暴走史は定期的に見どころが刻まれている。

子供が大勢乗っている列車とのすれ違いもスリルがあったし、最後の見せ場となるスタントンの大曲がりは、冒頭に引きの映像で印象に残るように見せているおかげで、緊張感がしっかりと高まった。雰囲気として、古い映画だが「カサンドラクロス」を思い出した。

少し甘いかもしれないが、大画面でこういう映画を観るのは何よりの喜びである。

(90点)
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2 コメント

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クラムさん☆★ (mezzotint)
2011-01-10 21:11:34
今晩は☆彡
こちらにもありがとうございます。
大体の結末、予想つきますが、おっしゃるように何故か観ちゃうんですよね。
「サブウェイ123激突」が本国では興行成績が低迷だったとは私も驚きましたが、、、。
それだけに今回の作品も危なかったんでしょうね。ブロガーさんたちも評価はまず良さそうです。私も嫌いではないのですが、何かワンパターンぽく思ってしまいました。と言って「サブウェイ123~」もそんなに(笑)
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定番をソツなくつくる難しさ (クラム)
2011-01-13 08:56:10
mezzotintさん、おはようございます。

娯楽の本道を行く人って、評価されることが多くない気がしますが、
それはそれで難しいはずなんですよね。
B級を貫く人、必ず地球を危機に追いやる人と同様に、
T.スコットにはポジティブなわくわく感のある映画を作り続けてほしいと思ってます。
でも確かに「サブウェイ123」は確かにイマイチだったかも・・・。
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