ピアノと海と花との生活 Ⅱ

~創造する芸術~

新・ショパン考 1  ジョルジュ・サンド ①

2010-02-09 | 音楽

 

                          

                     今年は、ショパン生誕200年記念の年。金沢でもラ・フォル・ジュルネを前にして、

        非常に盛り上がっています。私も、5月に演奏できることになり、ますますショパンへの

        想いが強くなっている今日この頃・・・

        このショパンの年に、全く無計画に、思いつくまま、《新・ショパン考》として書いていこうと

        思います。

        第1回目は 『ジョルジュ・サンド』 ショパンの恋人、男装の女流作家ということは、

        知っていても、なかなかその生涯は知られていないのではないでしょうか。

               

           この本を手にとったのはもう何年前だろうか。随分前だったと思う。

        これは、嵐のような歴史の中で、まさに炎のごとく熱く生きた1人の女性、ジョ

        ルジュ・サンド(1804年~1876年)の伝記である。

        物語は、私の大好きなフランス革命時のフランスから始まる。バスティーユ襲撃から

        ヴェルサイユに女性が「パンを!小麦粉を!」と行進し、1793年1月20日、ルイ16世が、

        10月16日、マリー・アントワネットが、断頭台の露と消え、ジャコバン党の党員が台頭

        する革命のさなか、それぞれの人生を必死でいきていた2人の女性、それが、のちの

        ジョルジュ・サンドの祖母となる、貴族出身のマリ=オロール・ド・サクスと、母となる

        貧しい平民の出のアントワネット=ソフィ=ヴィクトワール・ドラボルドである。

               

         マリは、オーストリア継承戦争の軍人を父に持つ貴族の出身で、その誇りを

        高く持ち、どんなときにも身だしなみを整え、華やかに化粧をし、乱れた髪を家族

        の目にさらすことはなかった。一方、ソフィはパリの貧しい小鳥屋に生まれ、おしゃれ

        には気をくばったものの、結婚後も家庭の中では、飾らず、素顔のまま家事をこまごまと

        する女性だった。マリの息子、モーリスがそのようなソフィを愛したのは、彼女といる

        ことで心が休まったからである。     

          共通していたことは、マリは、オペラのプリマを演じるほど豊かな声の持ち主で、

        モーリスも仕事のほかに、オーケストラの一員としてヴァイオリンを弾いていて、

        名器として知られるクレモナ製を愛用し、のちにサンドがショパンの恋人として、

        彼の作曲の大きな力となったのは、このような家庭環境が大いに影響している。

        軍人のモーリスとソフィは、イタリア戦線のさなか知り合い、愛し合い、マリの反対を

        押し切って結婚した。そしてオロール(後のサンド これはペン・ネーム)が生まれる。

        しかし、父モーリスが落馬が原因で急死し、マリとソフィが同居するようになると、

        2人の確執が激しくなり、結局祖母のマリとオロールが、フランス中部のノアンの館に

        住み、ソフィはオロールをおいて、パリへ去ってしまった。       

                   

        多感な少女オロールは、両親のいない寂しさの中、祖母マリのあたたかい愛情に

       包まれて、大きく成長する。まず彼女はすさまじい読書家だった。幼少の頃から、

       哲学書、文学書を読みあさり、特筆すべきことは、19世紀の10年代から20年代にかけて

       男性と同等の教育を受けた女性がほとんど皆無だった時代、、ジョルジュ・サンドは、

       その教育を受けたまれな女性だったという点である。

       彼女はラテン語・フランス語・ギリシア語・土地管理法・数学・植物学・動物学・薬学・

       医学(解剖学)など、男性のエリート達が学ぶ教養を、少女時代に家庭教師によって

       身につけされていた!

                

       そして思春期にはいり、オロールは修道院にはいり、16歳で卒業する。彼女は恋も

       するのだが、大好きな祖母マリが他界し、18歳の秋、27歳の退役軍人のカジミルと

       結婚。パリとノアンでの生活を始める。しかし、妻としての夫に従う生活は、オロールに

       とって非常に苦痛になり、狩ばかりに熱中する夫との間の確執は強まり、彼女は

       長男モーリスと長女ソランジュを産み、二児の母になるのだが、苦悩の末、モーリスと

       は破局。

       2人の子供を連れてパリに移ったオロールは、以前から書いていた文学で、身を立てる

       ことを決意。作家ジュルジュ・サンドが誕生するのだ!

       ここから、激動の時代に突入。あのキラ星のごとく、才能にあふれた天才達が、皆、

       彼女の元に集まり、サンドは数々の恋愛を経て、ショパンもまた彼女の魅力にとりつ

       かれ、数々の名曲が生まれ、大きく時代は動いていく。続きはまた次回。

             

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2 コメント

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お勉強になります (あっきー)
2010-02-13 08:12:21
yoshikoさん、おはようございます

ラ・フォル・ジュルネの予習としてぴったりのyoshikoさんのこのブログ、今後も楽しみです。

人生、何が幸いするかわからないなぁと思いました。けれども1つ言えることは子供にとって環境は大切なのだということ。この親にしてこの子供、というのもあれば、反面教師になることもあります。多感な時期での両親に離婚のみならず母とも別れ、一本筋の通った祖母との暮らしの中で身につけていった数々の教養がのちにショパンとの出会いにつながるのね

今後の展開が楽しみです
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あっきーさんへ (yoshiko)
2010-02-13 15:59:00
こちらもコメントありがとう!
予習になるかどうかわからないけど(笑)
よく知られているエピソードでないところから、書いていきたいなあと思っているので、
ちょっとわかりにくいかもしれません。
ごめんね。
ジョルジュ・サンドは、男装の女流作家でショパンの恋人で、マヨルカ島へ家族でいき、そこで雨だれなど数々の名曲が生まれたことはよく知られたエピソードなんですが、
随分前に読んだこのジョルジュ・サンドの伝記は、非常に印象的で、私のサンド観を変えてしまったので、最初に書きたいと思ったんです。
フランス革命から始まる冒頭の部分は強烈で、そこからサンドに影響を与える祖母と母の対照的な性格も納得。
この激しい時代に、激しい人生を送ったサンドだけれど、本当に女性らしいすばらしい人間だったと思います。
次もUpしたので是非
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