(1931/チャールズ・チャップリン監督・製作・脚本/チャールズ・チャップリン、ヴァージニア・チェリル、フローレンス・リー、ハリー・マイアーズ、アラン・ガルシア、ハンク・マン/86分)
街の広場に新しい銅像が建てられ除幕式が執り行われる。政治家の奥さんやら役所のお偉いさんの挨拶が済み、衆目の集まる中、像にかけられていた白いシーツが引き上げられると、其処には真新しい像に抱かれるように一人の浮浪者が眠っている・・・。
ほんの数分で主人公の全てを紹介した見事なオープニング。チャップリンが、前回紹介した「モダン・タイムス」の前に作った作品で、盲目の花売り娘と彼女を助けようといじらしい程の奮闘ぶりを見せる街の風来坊の話である。
入水自殺しようとする大富豪とそれを助けようとするチャーリー(この映画でも主人公に名前はないのでチャーリーとしておく)との、川に何度も落っこちるギャグ。二人が酔っぱらってレストランに行き、自分の葉巻に火をつけたつもりが相手の葉巻だったりとか、スパゲッティと間違えてテープを食べるなど、その後色々なところで真似されたために新鮮味がなくなったシーンもあるけれど、全体のドラマ構成の完成度は高く、ラストで目が見えるようになった娘との再会シーンは何度観てもウルッとしてしまう。
この作品もトーキー時代に逆らうように作られたサイレント映画で、世界中で大ヒットした名作であります。
酔っぱらうとチャーリーを親友と呼んで大歓迎するくせに、素面になると『誰だコイツは?』と記憶を無くす大富豪(マイアーズ)。奥さんに逃げられたのが自殺志願の原因のようですが、その後も酔っぱらった時にタイミング良くチャーリーと再会し、チャーリーと花売り娘(チェリル)との話にも上手くシンクロしていて、チャーリーも何かとこの金持ちには助けられることになる。
家賃滞納でアパートを追い出されそうな娘とお祖母ちゃん(リー)の為にお金を稼ごうと、清掃員になったり、イカサマ試合のボクサーになったりするチャーリー。
適当にやってファイトマネーは山分けしようという男の口車に乗ってボクシングをすることになったのに、当の男は別件のもめ事から試合前に逃げ出し、おかげでチャーリーは腕力のありそうな男(マン)と真剣勝負をすることになる。
このボクシングのシークエンスがドタバタの一番面白いシーンで、ウサギの足を使った負けないおまじないをしていたのに、そのおまじないを教えてくれた黒人ボクサーが負けて戻ってきたのであわてておまじないを消そうとするところや、リング上でのコントのような動きも可笑しいし、チャーリーの首に引っかかったゴングの紐のせいで、小刻みに休んだり殴り合ったりするところなんか大笑いしてしまいました。
車を運転してイイ洋服も着ているのに道端のタバコを拾って吸うチャーリーと、それをア然と見送るタバコを横取りされた貧乏人など、相変わらず細かなシーンにもアイデアが一杯で楽しくなります。
原題は【City Lights】。大都会に灯された純情男の愛と、奇跡の再会の暖かい物語であります。
街の広場に新しい銅像が建てられ除幕式が執り行われる。政治家の奥さんやら役所のお偉いさんの挨拶が済み、衆目の集まる中、像にかけられていた白いシーツが引き上げられると、其処には真新しい像に抱かれるように一人の浮浪者が眠っている・・・。
ほんの数分で主人公の全てを紹介した見事なオープニング。チャップリンが、前回紹介した「モダン・タイムス」の前に作った作品で、盲目の花売り娘と彼女を助けようといじらしい程の奮闘ぶりを見せる街の風来坊の話である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/9d/8cf94dade92e2d899d3cd38f550c0776.jpg)
この作品もトーキー時代に逆らうように作られたサイレント映画で、世界中で大ヒットした名作であります。
酔っぱらうとチャーリーを親友と呼んで大歓迎するくせに、素面になると『誰だコイツは?』と記憶を無くす大富豪(マイアーズ)。奥さんに逃げられたのが自殺志願の原因のようですが、その後も酔っぱらった時にタイミング良くチャーリーと再会し、チャーリーと花売り娘(チェリル)との話にも上手くシンクロしていて、チャーリーも何かとこの金持ちには助けられることになる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/f3/c79e98f668b790f0b1cc91e6da2924bb.jpg)
適当にやってファイトマネーは山分けしようという男の口車に乗ってボクシングをすることになったのに、当の男は別件のもめ事から試合前に逃げ出し、おかげでチャーリーは腕力のありそうな男(マン)と真剣勝負をすることになる。
このボクシングのシークエンスがドタバタの一番面白いシーンで、ウサギの足を使った負けないおまじないをしていたのに、そのおまじないを教えてくれた黒人ボクサーが負けて戻ってきたのであわてておまじないを消そうとするところや、リング上でのコントのような動きも可笑しいし、チャーリーの首に引っかかったゴングの紐のせいで、小刻みに休んだり殴り合ったりするところなんか大笑いしてしまいました。
車を運転してイイ洋服も着ているのに道端のタバコを拾って吸うチャーリーと、それをア然と見送るタバコを横取りされた貧乏人など、相変わらず細かなシーンにもアイデアが一杯で楽しくなります。
原題は【City Lights】。大都会に灯された純情男の愛と、奇跡の再会の暖かい物語であります。
・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 ![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
ボクシング場面の可笑しさと言ったら!
あの幕切れの鮮やかさと言ったら!
全体の構成も映画のお手本と言う感じでしたね。
>真似されたために新鮮味がなくなったシーン
さすがですね。古い映画を観る時は、こういう評価の態度が大事だと思います。
かつて僕の本館で「七人の侍」で論争を繰り広げたことがあります。彼は「名作といった評価を無視して観ることにしている」と大上段に構えて仰っていましたが、その言葉が「七人の人物像が類型的である」でした。残念ながら、彼にはこの作品の後どれほどの映画がこの七人の人物を模倣・模写したかという観念が抜けている気がして、がっかりしましたね。それなしに昔の映画を評価することなどできないのに。評価そのものではなく、態度の問題です。
それだけ、観るべきポイントが分かりやすい映画だってことなんでしょうね。まさに映画のお手本。
>名作といった評価を無視して
他の人の評価は無視してイイですが、中身の評価は歴史を無視していては木を見て森を見ないのと一緒ですな。