テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ベティ・サイズモア

2007-02-15 | コメディ
(2000/ニール・ラビュート監督/レニー・ゼルウィガー、モーガン・フリーマン、クリス・ロック、グレッグ・キニア、アーロン・エッカート/112分)


 数日前、早く目が覚めたので久しぶりに早朝の鑑賞。NHK-BS2の録画DVDです。
 切りのいいところで二度寝しようと思っていたら、これが面白くって最後まで見てしまいました。去年11月に見た「ゲット・ア・チャンス!」もそうですが、派手な噂のないハリウッド映画には時々こんな拾いモノがありますな。

 NHKのBSオンラインの解説はこうでした。
 <TVドラマの主人公に本気で恋をし、夢と現実の区別がつかなくなった女性を描くブラック・コメディー。田舎町でウエイトレスとして働くベティ。どうしようもない夫と、単調な毎日の中での唯一の楽しみは昼のメロドラマだった。ある夜、夫の殺害現場を目撃してしまったベティは、そのショックからドラマの世界を現実だと思い込み・・・。>

 “レニー・ゼルウィガー”と“コメディー”に騙されました。
 架空の男性に恋をするお馬鹿な女性の話かと思っていたら、どっこいベティの旦那が殺られるシーンは結構残酷だし、ベティが現場を見てしまったことを犯人達が知り、彼女を探して廻るという展開になるのでサスペンス気分も味わえる作品でした。
 ベティの旦那(エッカート)が、中古車ディーラーの傍ら、麻薬の取引にも関係しているのでその筋からのトラブルであります。殺人犯はモーガン・フリーマンとクリス・ロックの黒人二人組。若い方のクリスが切れやすい雰囲気を出しているので、その後の展開でもいつ爆発するかとヒヤヒヤさせるのがサスペンス・ムードに貢献。初めの方にショッキングなシーンを作ったのも成功ですな。
 ベティがTVドラマの主人公に逢いに行こうと考えたのは単なる恋ではなく、身近な人間が殺されるのを見たショックから精神に異常をきたしたためであり、一口にコメディと割り切れない気分にもなる。
 TVドラマというのは、有能な医者をめぐって繰り広げられる女性達の愛憎の物語で、ベティは昔その医者と婚約までした恋人同士だったと思い込み、更に、ドラマの中でその医者の奥さんが亡くなった為に彼と再会しようと接近するわけです。カンザスの田舎からドラマの医者が住んでいるという西海岸まで車を走らせるベティ。はたしてその医者と逢うことが出来るのか? 殺人現場を見られた悪者達とベティとの対決は・・・。

 原題の【NURSE BETTY】は、ベティが空想の中で看護婦のつもりだからです。

 “人間万事塞翁が馬”的な話。
 最初はファンタジーかなと思っていたら、やっぱりブラック・コメディ。しかし、最後はまたもやファンタジックな結末で、カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞しただけのことはあります。脚本はジョン・リチャーズ(原案も)とジェームズ・フラムバーグ
 尚、監督のニール・ラビュートもパルム・ドールにノミネートされたとのことであります。
 そして、レニーもこの演技でゴールデングローブ主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞しました。

▼(ネタバレ注意)
 ついにベティは医者役の役者ジョージ(キニア)に逢うことが出来るのだが、ジョージはベティをただの女優志望の熱心な女性としか見てない。彼女の情熱的な言葉に惹かれ、ジョージはベティをドラマに出演させようとする。このあたりの展開も先が読めなくて面白かったなぁ。

 若いクリス・ロックが、いつ先輩格のフリーマンに対してキレルか気になるところでしたが、最後までそういうシーンはありません。実はこの黒人二人組は親子だったというオチが最後に用意されています。

 思いもよらぬ幸運がやって来て、ベティはイタリア旅行に。西海岸に向かう途中のバーで、女主人と交わされた会話が伏線になっています。カプチーノを飲んでいるベティの側で年取ったウェイターが、イタリア語で吹き替えられたTVドラマのベティに夢中になっているのが楽しいエピローグです。
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2 コメント

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この頃はレニーちゃんも可愛かったなぁ (kiyotayoki)
2007-02-18 10:49:29
ボクもこの映画を観た時、「拾いものだったなぁ」と思ったものです。
今や堂々たる演技派女優となったレニー・ゼルウィガーも、この頃はちょっと下ぶくれの顔が幼く見えて可愛かったですよね♪
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そうですかぁ♪ (十瑠)
2007-02-18 12:51:53
「拾いもの」仲間ですな。

お顔は好みじゃないですが、この映画の演技は微妙な感じが彼女らしく、上手く出てましたね。

フリーマンとレニーちゃんのキスシーンも珍しや。
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