サイドウェイ

（２００４／アレクサンダー・ペイン監督・共同脚本／ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ヴァージニア・マドセン、サンドラ・オー、メアリールイーズ・バーク、ジェシカ・ヘクト／130分）

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　２００４年のアカデミー賞で作品賞や監督賞などにノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞のコメディ部門の作品賞を獲った“ロード・ムービー”というのでレンタルしてきました。ロード・ムービーといっても旅から旅の話ではなく、滞在先でのあれやこれやの話がメインのため、ロード・ムービーの雰囲気は薄いです。
　正反対の性格の男性二人が主人公という定石型のコメディで、今回は女性に対して慎重な内気男と精力絶倫のヤリチン男の組み合わせ。下半身のオープンな表現が見られるために“映倫 R-15”となっていました。

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　アメリカ西海岸の南部の都市、サンディエゴ。
　大学時代にルームメイトだったマイルス（ジアマッティ）とジャック（チャーチ）は、性格は全然違うのに中年になっても付き合いが続いている。２年前にバツイチになったマイルスは中学校の英語教師で、かつてはＴＶ俳優として鳴らしたジャックも今はＣＭが主な仕事となっている。１週間後に長かった独身生活に別れを告げるジャックの為に、マイルスは前祝いとして男同士の小旅行を計画。フィアンセや彼女の両親に見送られながら、二人は西海岸を車で北に向かう。緑豊かなカリフォルニアの葡萄農園やワイナリーを巡りながら酒とゴルフ三昧、最後の独身生活を謳歌しようというモノだ。

　ワイン通のマイルスはジャックにワインの楽しみ方を教えようとするが、ジャックはそれ以上に最後の女漁りに励もうと張り切っている。元妻に未練たらたらのマイルスにも新しい女性を見つけろとハッパをかける。
　ワイナリー巡りに都合の良いモーテルに泊まり、マイルスの馴染みのワインバーに寄る。美人のウェイトレス、マヤ（マドセン）と親しく話をするマイルスに、『彼女はお前が好きだぞ』とジャックは言うがマイルスは相手にしない。小説家になるのが夢のマイルスには何度目かの出版のチャンスが訪れており、今はまだ編集者からの返事待ちなのに、ジャックはマヤにもうすぐ本が出ると話してしまう。勿論それは、マヤにマイルスへの興味を膨らませようと考えたからだった。
　あるワイナリーに立ち寄った時に、そこで働いている中国系ハーフのステファニー（オー）に惹かれたジャックは、彼女がマヤの友人であることを聞き、４人で食事をしようと誘う。
　食事の後、４人はステファニーの家へ行く。ジャックにはお誂え向きの情熱的な出逢いであり、マイルスもマヤが１年前に離婚したことを聞く。改めてマヤのワインへの造詣の深さに感心し、マイルスは惹かれていくが、あと一歩が踏み出せない。彼女が自分に好意的なのは感じているんだが・・・。

　思わず身体がスイングしそうになる軽快なＢＧＭが流れ、開放的な気分になる映画であります。トーンが下がるととぼけたムードが醸し出され、ユーモラスなシーンにピッタリの音楽になる。【音楽：ロルフ・ケント】

　マイルスの前では下ネタ全開トークなのに、女性の前では下半身の疼きを押し殺しているジャックに、思わずプッと笑ってしまいます。相手を思いやっているのか、ないがしろにしているのか分からないような中年男二人のやり取りも可笑しい。後が禿げた頭を少し傾げて、いじけたように歩くマイルス役のジアマッティは、ダスティン・ホフマンとリチャード・ドレイファスを足した上で、全体的にしょぼくれさせたような雰囲気がありました。
　原題は【SIDEWAYS】。マイルスには意外な収穫のあった脇道でしたが、さて、ジャックの方は・・・。懲りないジャックには今後も脇道の多い人生が待っているのでしょうな。

　出来れば劇場の大きなスクリーンで見たかった作品です。マイルスとマヤのシークエンスには味があるものの、それ以外のさしてドラマチックでない部分は、テレビの画面で見ると良くできたＴＶドラマ程度にしか見えないのです。
　終盤の展開、ラストの余韻で★一つおまけしました。

　アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞以外にも、全米批評家協会賞、ＮＹ批評家協会賞、ＬＡ批評家協会賞などでも数々の栄誉を受けた作品。
　原作はレックス・ピケット。アカデミー賞の脚色賞を獲ったペイン監督とジム・テイラーは、「ジュラシック・パーク III(2001)」、「アバウト・シュミット(2002)」でも脚本を共作したようです。

　尚、ステファニー役のサンドラ・オーはこの時はペイン監督夫人でしたが、この映画の後離婚したとのことでした。

　・ネタバレ記事－“マヤとマイルス”

・お薦め度【★★★＝大人だけでのんびりと、一度は見ましょう】