テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

暗くなるまで待って

2005-03-11 | サスペンス・ミステリー
(1967/テレンス・ヤング監督/オードリー・ヘプバーン、アラン・アーキン、リチャード・クレンナ、エフレム・ジンバリスト・Jr、サマンサ・ジョーンズ、ジャック・ウェストン)


 思い出の作品から。
 ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ!」の原作者、脚本家でもあるフレデリック・ノットの大ヒット舞台劇の映画化。
 テレンス・ヤング監督の、007シリーズで最高作(第2作)といわれる「ロシアより愛をこめて(1963)」に、まさるとも劣らないスリラー(ホラーではありません)の傑作となりました。

 オードリーが盲目の人妻スージーを演じ、終盤のアラン・アーキンとの格闘シーンでは、ビックリさせられて(ショッカーという)、映画館には笑い声が上がった。人間はあまりに驚いた後には笑ってしまうものだとこの時知った。
 私が観たのは、1972年のリバイバル上映の時でした。

 写真家の旦那さんサムは、エフレム・ジンバリスト・Jrが演じる。TV番組「サンセット77」や「FBI」で知っていた彼を、初めてスクリーンで観た。
 このサムが、旅先の空港で見知らぬ女性から小さな人形を預かるが、元々裏の組織の物であるこの人形には高額なヘロインが埋め込んであって、それをアラン・アーキン等悪者が取り返そうとする話。サムとスージーは人形の中にそんなものが入っているとは知らない。

 悪者は、アラン・アーキンとリチャード・クレンナ、ジャック・ウェストンの3人。サムの家を見つけた彼等は、身分を偽ってスージーに近づくが、彼女が盲目だと知って、入れ替わり立ち替わり色んな芝居をうっては部屋に入ってきて、人形の在処を探る。

 映画はほとんどスージーのアパートで展開され、カメラもある一方の壁はほとんど撮さず、舞台劇の雰囲気を残している。

 登場人物は、この5人と同じアパートの上階に住む少女の6人で、サムは人形を持ち帰った後また旅に出るので、主要な話は5人の人間で進められる。詳細なストーリーは覚えていないが、3人組のウソをスージーが何時見抜くか、見抜いたあと悪者達と如何にして戦うかが興味の焦点となる。

 大ヒット舞台劇らしく、きめ細かく練られた伏線が張ってあって、ワクワク、ハラハラしたもんだ。盲目だからこそ感じるモノがある。盲目だからこそ戦える術がある・・・・ホホーッと思ってしまいました。

 熱演のヘブバーンは5度目のアカデミー賞にノミネートされた。ちなみに、この作品のプロデューサーは当時の夫、メル・ファーラーです。
 最後までスージーと戦う悪者はアラン・アーキン。前年に、ノーマン・ジュイソンの「アメリカ上陸作戦」でスクリーン・デビューし、いきなりオスカー候補となった舞台出身の役者で、飄々とした演技の前作とはうって変わって、丸いサングラスをかけて不気味な雰囲気を醸し出した。ホント、この人は色んな役が出来る素晴らしい俳優です。
 リチャード・クレンナは「砲艦サンパブロ(1966)」と、あと「ランボー」シリーズの元上官役が有名ですな。
 ジャック・ウェストンは前回紹介した「華麗なる賭け」にも出てました。

 音楽はヘンリー・マンシーニ。原題の『WAIT UNTIL DARK』で歌も作っていたと思うんだけど、もう随分聞いてない。メロディーも忘れちまったなあ。

・2006年8月の再見後の記事はコチラ

・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 テアトル十瑠

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6 コメント

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暗くなるまで待って (ぶーすか)
2006-07-26 06:53:56
TB&コメント有難うございます。こちらにもTBさせて下さい。私は★3つと、ちょっと厳しい評価だったかなぁ…^^;)。でもオードリーがとても魅力的でした。そして無気味な殺し屋を演じたアラン・アーキン。彼の出演作を他にも見てみたくなりました。
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素晴らしい本と名優たち! (十瑠)
2006-07-26 11:05:22
ヤングも彼最高の演出だったように思います。



アーキンでは「愛すれど心さびしく(1968)」というのもオスカー候補になった作品で、コチラはシリアスな演技のようです。未見ですが、レンタルでも見かけないのが残念です。
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TBとコメントありがとうございました。 (アスカパパ)
2006-08-19 08:58:17
舞台劇の映画化ということは知っていましたが、フレデリック・ノットは「ダイヤルMを廻せ!」の原作者でもあったのですか。道理でヒッチコックの匂いがしました。

そういえば、あのクライマックス・シーンも「007」の匂いが漂いました。「サンダーボール作戦」や「ドクター・ノオ」も良かったですが「ロシアより愛をこめて」はテレンス・ヤングの最高傑作だと思います。
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電話線 (十瑠)
2006-08-19 12:16:46
電話線が切られて万事休すという場面がありましたが、今は携帯という物があるんで、違った作りになるでしょうね。電池が切れていたなんて事だけではサスペンスになりませんものねぇ。

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Unknown (オカピー)
2006-08-28 15:01:06
先日はコメントを戴きましたが、記事を今回発見したので早速TBいたします。

フレデリック・ノットの二大傑作の一つですね。「ダイヤルMを廻せ」のヒッチコックがあの出来栄えにもかかわらず不愉快そうなのは、自分の作り出す部分が少なかったからだと思っています。原作の時点で殆ど完成したんですね。



いや、携帯になって映画の作り方も変わらざるを得ませんね。今の若い人は、電話より早く電報が届く「東京物語」が全く分らない(笑)。
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オカピーさん (十瑠)
2006-08-28 16:52:33
「ダイヤルMを廻せ」。

大分観てないし、記事にもしてないのでもう一度観たいですね。



この「暗くなるまで待って」も再見したので“備忘録”の記事を追加する予定です。
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