テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

モンキー・ビジネス

2010-04-25 | コメディ
(1952/ハワード・ホークス監督/ケイリー・グラント、ジンジャー・ロジャース、チャールズ・コバーン、マリリン・モンロー、ヒュー・マーロウ/97分)


 日本未公開だそうです。タイトルは昔から知ってたような気がするけどなぁ・・。

 民間企業の研究室に勤める化学博士が若返りの薬を開発、試作品を自ら実験台となって飲むと、ど近眼だった博士の目がみるみるメガネ要らずとなり、四十肩で上がらなかった腕もスッと上がるようになる。実は、実験途中に博士が部屋をあけた隙に実験用のチンパンジーが檻を抜け出し、テーブルの上の薬品を勝手に調合して出来たものを飲料用の冷却タンクに入れてしまって、その飲料水を飲んだのが原因なんだけど、博士はその事を知らない。猿が猿真似をして偶然に結果が出たわけですな。
 眼や肩だけではなく、精神年齢も若くなって二十歳の若者のように危なっかしい行動力をみせてしまう所が、コメディ的に成立しているが、8時間も経つとその効果も消えてくる。旦那ばかりに危険な事はさせられないと、心配した奥さんが今度は自分が身代わりに実験台になる。試作品は苦い、苦いから水を飲む、するとチンパンジーが作った薬が効いてくる、という次第。

 博士に扮したのがケイリー・グラント。奥さんにはフレッド・アスティアとのコンビで有名なジンジャー・ロジャース。二人のダンスシーンもありますぞ。

 会社側は薬品の調合具合を知りたがるが、博士は若返って我が儘になった奥さんの相手でそれどころではない。しかも奥さんが正常に戻ったと思ったら今度は夫婦して飲料水を飲んでしまい・・・と、更にドタバタは続く。

 仲の良い夫婦が若返りの薬のせいで無鉄砲な若者になり、つまらぬトラブルを起こしたり喧嘩をしたりするが、最後には若さの秘訣は愛する人を思う気持ちや優しい言葉だということに気付くという、たわいのないコメディだけど、出演者が大人だし、ホークスの語りも大人だし、平和だなぁと昔を懐かしみながら(52年には、まだ私はこの世にいませんが)観る分には“ちょうどええ”感じの映画です。

 若返った奥さんが見せる新婚時代のハニカミやら狼狽を、ジンジャー・ロジャースが演じているのがどことなく可笑しい。クスッと笑ってしまいます。
 この薬、若返ること=悪戯っぽくなるという法則になっているようで、飲んだ後の行動がワンパターンなのが少しだけ不満。しかしなんと言っても見物(みもの)なのは、チンパンジーが試験管やビーカーを使って調合する所。TVの動物番組でお利口さんなお猿さんが色々と出てくるけど、彼らに勝るとも劣らない芸達者なチンパンジーでした。
 博士が変身したと勘違いされる男の子の赤ん坊もそうだけど、ホークスさん、一筋縄ではいかない出演者の扱いがお上手なようです。

 モンローは博士が勤める会社の社長秘書。若返ったケイリー・グラントとローラー・スケートをしたり、プールで泳いだりしてます。
 脚本はベン・ヘクトとチャールズ・レデラーと、ワイルダーとのコンビでお馴染みのI・A・L・ダイアモンド でした。

・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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2 コメント

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Unknown (kiyotayoki)
2010-04-26 08:57:50
この映画のレビュー、僕も書こうと思っていたところでした。
ジンジャー・ロジャースというとフレッド・アステアと踊ってるシーンしか知らなかったし、顔もよく知らなかったんですが、少々お歳をめしていたとはいえ可愛らしい女優さんだったんですね。
ただ、いい歳をした大人が、外見はそのままで若者や子供のように振る舞うことにはどうしても気恥ずかしさを感じてしまいます。
それはやはり、らしく振る舞おうとするあまりに“らしさ”をデフォルメしてしまうからなんでしょうね。
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kiyotayokiさん (十瑠)
2010-04-26 09:26:00
最初は私も気恥ずかしさを感じましたが、しばらくすると慣れました。2度目は早送りしましたし^^

ダンスといえば、先日アップされたダンスの動画で、ムーン・ウォークが昔っからあったのに驚きました。マイコーが開発したんじゃなかったんですねぇ
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