健康食品の中で、人での実験で効果を確かめられ、「お腹の調子を整える」
「体脂肪を消費しやすい」といった表示を行うことを消費者庁が認めているのが
「特定保健用食品」、いわゆる「トクホ」とよばれるものです。
こうしたトクホは先月1000品目を超え、私たちの生活に身近な存在になって
います。
しかし、トクホは、きちんと利用しないとせっかくの効果が期待できない、
意外な落とし穴があります。
●飲料系のトクホの注意点
パッケージの表示を見てみると「食事の際に」飲むと書かれたものと、そうした
表記が特にないものがあります。「食事の際に」と表記されているものは、
その通りの使い方をすることでトクホの効果が期待できるといいます。
トクホにはそれぞれ「効果」をもたらす成分「関与成分」というものがあります。
例えば血糖値の上昇を抑えるというトクホの多くには、「難消化性デキストリン」と
いう成分が含まれています。
これは、食事で摂取した炭水化物(糖質)が体内で分解され小腸で吸収される
のを抑えることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにします。つまり、この成分が
入ったトクホは食事の際に利用しないと、その効果はあまり期待できないのです。
●食用油のトクホの注意点
トクホの食用油では「コレステロールを下げる」「体脂肪をつきにくくする」といった
ものが販売されていますが、それだけで安心してしまって、“ふだん使っている量
より多く使う”ことは要注意です。
例えば「体脂肪をつきにくくする」油の場合、すぐに体内で分解され脂肪として
蓄積しない「中鎖脂肪酸」という成分が含まれています。
しかし、その中鎖脂肪酸が含まれるのは全体の量のおよそ11%。
残りの89%は通常の植物油と同じ成分です。
そのため、ふだん使っている油の量の2倍3倍と使ってしまうと、脂質を摂りすぎて
しまうことにつながる恐れがあるので、あくまでも「ふだん使っている量と同じ量を
使う」ことが賢い使い方です。
●過信は禁物!「食生活のバランス」が最優先!
糖尿病で通院する患者に3年前、糖尿病の食事療法とトクホの関係を
調査したところ、血糖コントロールの値の最も数値が悪かったのが
「トクホを利用しているが、適切な食習慣を行っていないグループ」。
逆に一番数値が良かったのは「トクホを利用していて適切な食習慣を行って
いるグループ」でした。
大事なのは「とにかく正しい食生活を心がける」こと。
トクホは決して薬ではありません。
あくまでも食品。生活改善の補助やきっかけとして利用することが正しい使い方
です。
<さまざまなトクホの賢い使い方などについて>
国立・健康栄養研究所が開設している「健康食品」の安全性・有効性情報を参照。
ホームページ:https://hfnet.nih.go.jp/
(2012年6月21日 あさイチ)