熱中症は、気温が高い状況で体温調節がうまくできなくなった状態。
具体的には、(1)汗をかく(2)皮膚の血管を拡張する-といった体温を下げる
ための機能が低下することで熱中症になる。
◆血液を増やす
「これらの機能低下を防ぐには、体の血液量を増やすことが大切」と、信州大学
大学院医学系研究科の能勢博教授(スポーツ医科学)は説明する。
汗の原料は血液であるため、「汗をかきやすくなり、体温調節機能が改善される」
ことなどがその理由。
血液量を増やす方法として、能勢教授は「ややきつい運動を1日15~30分、
1週間に4日以上行い、直後に牛乳のような糖質とタンパク質を豊富に含む食品を
取る」ことを提案する。
20代で1週間▽30、40代で2、3週間▽50代以上で4週間-程度続ければ、
体内の血液量が200~400cc増加するという。
「ややきつい運動」としては、「若い人にはジョギング、中高年であまり体力のない
人にはインターバル速歩がお勧め」(能勢教授)。
インターバル速歩とは、速歩とゆっくり歩きを交互に繰り返す歩き方。
「全速力の7割程度の速歩で3分、ゆっくり歩きで3分」を1セットとし、
速歩の時間が合計15~30分となるよう、1回の運動で5~10セット繰り返す。
運動は朝夕の比較的涼しい時間帯を選んで行う。その際、脱水症状を防ぐため、
事前にコップ2杯分の水を飲んでおく。
「頑張り過ぎないことが大事。無理をすると疲労がたまり、けがにつながる。
『良い汗をかいた』と感じる程度で切り上げてほしい」(能勢教授)
◆継続が大事
運動後は30分以内に牛乳を200~400cc(コップ1、2杯)飲む。
牛乳が苦手な場合、ヨーグルトを小鉢1杯程度や「チーズ2、3切れとパン、または
クラッカー」を食べることでも効果があるという。
運動をやめると1~2週間で元の体に戻るため、能勢教授は「継続することが
大事」とアドバイス。熱中症予防につながるだけでなく、夏バテもしにくくなり、
夜もよく眠れるようになるなど、さまざまな効果が期待できるという。
(2012年6月19日 サンケイ新聞)