ずーみんのはがき絵七十二候

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

はがき絵いろはうた三周目(その15)

2024-04-29 08:26:54 | 日記

今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズの三周目が、いよいよ最終回です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばしました。「を」と「ん」で始まるはがき絵も見つかりませんでしたので、全部で四十四作品を紹介できました。

 三周目の第十五回目、最終回の今回は「せ」と「す」の二つです。

 

 

 

『せ』・・・扇風機

 扇風機の絵を描いて「味付け海苔をとばす風が吹く。100円ライターでおさえる。」と書き添えました。

 説明が必要ですね。昔のスナックの風景です。クーラーなんか無いんです。あっても効いてないんです。カウンターの隅に扇風機があって、首を振っているんです。味付け海苔はお客さん全員に出すおつまみです。袋を切って、中身を袋の上に置きます。それだけでは扇風機がこっちを向いた時に海苔がどこかへ飛んで行ってしまうので、100円ライターで押さえています。扇風機があっちを向いているすきにライターの下から海苔を一枚とって食べるのです。ライターはすぐに戻さないと、扇風機がこっちを向いて海苔を飛ばしにかかります。カラオケがあまり普及していないので、お店の人はおしゃべりが上手です。知識が豊富でどんな話にも合わせてくれました。今のように客が勝手にカラオケで盛り上がっていて、ときどき水割りを作るだけ、という感じではないのです。

 「扇風機」は夏の季語。歳時記を開くとこの季語の「本意」が伝わってきます。私の思い出の中の扇風機はこんなふうに首を振っています。

 

 

 

 

 

『す』・・・睡蓮

 睡蓮を描いて「モネの真似」と書き添えました。睡蓮といえば印象派の巨匠クロード・モネの名が思い浮かびます。エドゥアール・マネという画家もいて、名前も活躍した時期も似ているので、混同されることもあります。たしかマネの方が8歳年上だったと思います。マネにはピクニックをする3人の人物を描いた「草上の昼食」という作品があり、モネはその絵をオマージュした「草上の昼食」という作品をものしています。モネによる「マネの真似」と言えそうですね。ややこしいですね。

 マネは睡蓮の絵を連作していて、200点以上が残っているそうです。亡き妻への追想や懺悔の気持ちが込められているという説もあります。私なんぞがちょこちょこっと睡蓮を描いて「モネの真似」というのもおこがましいのですが、ダジャレということでお許しいただくことにしましょう。余談ですが、マネの「オランピア」をゴーギャンが模写した絵が残っています。つまりその絵はゴーギャンによる「マネの真似」です。また、マネもモネも自画像を残しています。マネの自画像はマネによって描かれたマネ、つまり「マネのマネ」、モネの自画像はモネによって描かれたモネ、つまり「モネのモネ」ですね。と、ここまで書いてどうしても気になったので調べてみて、わかったことがあります。マネが描いた「庭のモネ一家」という作品があるそうです!マネによって描かれたモネ、つまり「マネのモネ」も存在します。

 睡蓮は俳句では晩夏の季語に分類されています。蓮も晩夏の季語ですが、蓮が水面から花茎を立ち上がらせて、いわば「空中で」咲くのに対して、睡蓮は水面に接した状態で、いわば「水に浮かんで」咲くという違いがあります。おえかきのお題に出た時には気を付けたい相違点です。

 

 

 

 「はがき絵いろはうた」と称して今までに描いたはがき絵をいろは順に紹介していくシリーズも、これで3周目が終わりました。

 4周目は「あつまれ!おえかきの森」というおえかきのチャットゲームで合作した絵をたくさん紹介していく予定です。解説文を新たに加えてご覧いただいておりますので、4周目もぜひお付き合いくださいね。

 


楽六題(その1)

2024-04-21 17:06:59 | デザイン書芸

 「風」や「月」といった文字をいろいろにデザインして書いたものを集めて並べてみると新たな発見があって面白く感じたので、今度は「楽」という字を並べてみます。「楽六題」です。

 「楽」を何と読みましょうか。「らく」と読めば「苦労しない」というような意味になりますし、「がく」と読めば音楽の調べなどを表します。「たの(しい)」と音読みすればそのような心情をあらわしますね。読み方によっても微妙にニュアンスが変わる文字です。

 デザインした文字ははがきに書いて、ある方に宛てて送ります。するとその方がご自分のブログにアップしてくださるという仕組みになっています。ずいぶん回りくどいようですが、書いた文字を一度投函して「旅をさせる」ことが面白く感じますのと、各地の郵便局に依頼して風景印を押印してもらうという楽しみもありまして、このようなことになっています。

 作品についている番号は文字を書いた順番です。投函して発表した順番と違っています。日付順に並んでいないところがあれば、そういう理由です。

 

 

 

 

 『楽1』 2019年3月

 「君がいて楽しい」

 

 

 

 

 

 『楽2』 2019年4月

 「君と一緒にゆっくり まったりした時間を過ごそう」

 

 

 

 

 

 『楽3』 2019年5月

 「楽しい話だけしたいのです」

 

 

 

 

 

 『楽4』 2019年5月

 「楽しむことは楽をすること」

 

 

 

 

 

 『楽5』 2019年5月

 「人生を楽しむことは達人の技です」

 

 

 

 

 

 『楽6』 2021年12月

 「私が学んだのは目的地ではなく 道を楽しむことです」

 

 

 

 同じような文字にならないように気を付けて書いたことを思い出します。筆や用紙、技法などを変えて色々試して書いています。『楽1』は紙をはみ出して書いてみました。

 「楽」ではなく「樂」という旧字体の方が面白くデザインできると考えて、1,2,3,4は「樂」、5,6は「楽」の字体を用いてデザインしています。

 「かすれ」や「墨はね」、「にじみ」、「墨抜け」などがあった方が「景色」になっていい感じになることが多いです。運筆の速度で線に表情が出ることが楽しいです。


はがき絵いろはうた三周目(その14)

2024-04-13 08:08:01 | 日記

今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズも三周目に突入しております。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もないだろうということで、一周あたり四十四作品を紹介できると思っております。

 三周目の第十四回目、今回は「し」、そしてそして「ゑ」をとばして「ひ」、「も」です。

 

 

 

『し』・・・シクラメン

 シクラメンの花とつぼみを描いて「冬を楽しく 明るく生きる」と書き添えました。花もつぼみもうつむき加減で、花弁は上に反り返る用に咲きます。つぼみはうつむいたままで、きりりとねじれています。この特徴を描けば何とかシクラメンに見えるものですね。葉は地面に近い位置に広がっていて、少々描くのが厄介かなと思い、省略することにしました。

 私が住む大阪あたりは冬の気温がそれほど下がらず、晴れた日も多いです。雪に閉ざされることもなく、外を歩けば垣根のサザンカやツバキ、鉢植えのシクラメン、ナンテンの赤い実などに出合うことができます。早春にはウメやスイセンなど香りの強い花が咲き、目だけでなく鼻も楽しませてくれます。この記事は三月末に書いているのですが、今はモクレンやコブシなどの木の花が咲いています。我が家のユスラウメもほぼ満開です。先日からの雨でサクラが咲き始めています。

 冬の鉢花の代表ともいえるシクラメンですが、元来の花期は春で、俳句でも春の季語です。調べると種子から育てることもできるようですが、我が家では鉢植えを買って飾っています。

 

 

 

 

 

『ひ』・・・ピラカンサ

 ピラカンサの赤い実をアップで描きました。「向寒の砌(みぎり)に朱(あか)きピラカンサ」と書き添えました。俳句ではピラカンサの花を春の季語、ピラカンサの実を秋の季語にしている歳時記もあるようですが、私が持っている歳時記には載っておらず、はっきりと季語には定まっていないのかもしれません。この句では「向寒」という時候の季語を使って季節をはっきりさせました。「向寒の候」は時候の挨拶に使われる語で、11月の立冬から12月の冬至まで、あるいは1月の小寒まで使えるということです。

 センリョウやマンリョウ、ナンテン、アオキなど、赤い実をつける植物はたくさんありますが、中でもこのピラカンサは実の数が多く、びっしりと重そうに実ります。人がこの実をとって利用したり、小鳥が好んでついばんだりということを見聞きしたことがありません。鳥が食べないのだから、きっとおいしくないのだろうと想像して、まだ試していません。ひょっとすると毒があったりするのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

『も』・・・木魚

 木魚と撥、風鐸、木魚にもたれて居眠りをする修行僧を描きました。見慣れぬ形の木魚かもしれません。韓国のお寺で見た木魚はこの形で、片手で取っ手の部分を下、叩くところを上にして立てて持ち、もう片方の手で持った撥で打ち鳴らしていました。風鐸には魚の形の錘がぶら下がっています。魚は一部の種を覗いてまぶたがなく(ないようにに見える、と言いかえておきましょう)夜も眠らない、と考えられていました。眠気は修行の妨げになるので、木魚や魚版を打ち鳴らしたり、魚の形をした風鐸の音で目を覚まそうとしたのでしょう。目を覚ますための木魚に寄りかかって居眠りをする、というのは割とある画題です。

 「汝聴観音行 善応諸方所」と、観音経(妙法蓮華経 観世音菩薩普門品第二十五の中の「世尊偈」のこと)の一部を書き添えてあります。居眠りしている修行僧が聴いているのは観世音菩薩の行についての説法でしょうか。それとも心地よい風鐸の音でしょうか。


縁六題(その1)

2024-04-07 09:19:04 | デザイン書芸

 「風」や「月」といった文字をいろいろにデザインして書いたものを集めて並べてみると新たな発見があって面白く感じたので、今度は「縁」という字を並べてみます。「縁六題」です。

 デザインした文字ははがきに書いて、ある方に宛てて送ります。するとその方がご自分のブログにアップしてくださるという仕組みになっています。ずいぶん回りくどいようですが、書いた文字を一度投函して「旅をさせる」ことが面白く感じますのと、各地の郵便局に依頼して風景印を押印してもらうという楽しみもありまして、このようなことになっています。

 作品についている番号は文字を書いた順番です。投函して発表した順番と違っています。日付順に並んでいないところがあれば、そういう理由です。

 

 

 

 

 『縁1b』 2019年3月

 「千里離れていようと 思いは一つ 同じ夜空の 月を見る」

 

 

 

 

 

 『縁2』 2019年4月

 「縁あって友だちになりました」

 

 

 

 

 

 『縁3』 2020年1月

 「태어난 장소도 숨을 하고 있는 장소도 멀리 떨어져 있지만 너와 나는 지금 여기에 있어요.

 (生まれた場所も息をしている場所も遠く離れていますが、あなたと私は今ここにいます。)」

 

 

 

 

 

 『縁4』 2020年1月

 「이 별의 한 구석에 꽃의 씨앗을 뿌리고 있는 너와 나는 지금 여기에 있어요. 

 (この星の一隅に花の種を蒔いている あなたと私は今ここにいます。)」

 

 

 

 

 

 『縁5』 2020年1月

 「애달픔도 기쁨도 때와 하늘을 넘어서 서로 울리는 불가사의 너와 나는 지금 여기에 있어요.

 (苦しみも喜びも時と空を越えて 互いに響く不思議 あなたと私は今ここにいます。)」

 

 

 

 

 

 『縁6』 2020年1月

 「朝鳴く鳥はお腹がすいて鳴く 夕方鳴く鳥はあなたが恋しくて鳴く」

 

 

 

 同じような文字にならないように気を付けて書いたことを思い出します。筆や用紙、技法などを変えて色々試して書いています。『縁1』と『縁2』は紙をはみ出して書いてみました。

 「かすれ」や「墨はね」、「にじみ」、「墨抜け」などがあった方が「景色」になっていい感じになることが多いです。運筆の速度で線に表情が出ることが楽しいです。