今までに書いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズの「二周目」です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばしましょう。「を」と「ん」で始まるはがき絵もないのでとばしてしまいますね。
二周目の第十二回目、今回は「あ」「さ」そして「き」です。
『あ』・・・あじさい
ガクアジサイの花を描きました。アジサイは漢字で「紫陽花」と書きます。梅雨の頃に花を咲かせますので、俳句では夏の季語になっています。
書き添えてあるハングルは、「二人並んで見る紫陽花に 傘のいらない雨が降る」という都々逸を翻訳しようと試みたものです。「アジサイ」の部分は「수국」というハングルをあてて書きました。「수국(スグㇰ)」は「水菊」という漢字語で、韓国ではこれが「アジサイ」を表します。そうと知らずに「紫陽花」という漢字をハングル読みして「자양화(チャヤンホヮ)」と言ってみましたが、これも通じました。
『さ』・・・桜
日本の国花である桜。お花見という習慣もあって、つぼみが膨らんでくるとなんだかそわそわします。韓国にも桜が結構植えられていて、桜の名所とされているところも何か所かあります。「벚꽃노리(ポッコンノリ)」と言って、韓国でもお花見を楽しむ習慣があります。日本から移植されたソメイヨシノが咲いているところも見たことがあります。花を見るための人々が屋外に繰り出しますので、川の土手などに桜を植えて、花見客に土手を踏み固めてもらうという目的も隠されているようで、桜の名所は川の土手が多いです。
日本ではただ単に「花」と言えばそれは桜を表すのだ、というぐらい桜は花の代名詞になっています。俳句ではもちろん春の季語です。
書き添えたハングルは「日本では桜がばぁーっと咲いていますよ!」です。
『き』・・・煙管(きせる)
煙管(きせる)はたばこを吸うための道具です。西洋から伝わった喫煙具のパイプが変化したものだと言われています。煙草のみは年中たばこを吸っていますので「煙管」は俳句の季語ではありません。「煙管 季語」というワードで検索すると「ナンバンギセル」という植物が出てきました。「思い草」という素敵な別名を持つ植物で、秋の季語でした。
韓国では昔話の冒頭に、「昔々、虎がたばこを吸っていたころ・・・」と語り始めるのが通例となっています。とてもおもしろい表現ですね。
身の回りに煙管で喫煙している人を見ることはなくなりましたが、時代劇ではよく目にします。紙巻きたばこができるまでは煙管での喫煙が一般的だったのですね。高価なたばこを少量の葉で喫することができる優れものでしたが、雁首と吸い口の中間部分である羅宇(らう・らお)に脂(やに)が詰まるので掃除が面倒だったそうです。羅宇の掃除を専門にする職業もあったようで、落語にも登場します。